3-2.親友、今市優馬の忠告
「で、なんだよビックニュースって」
問いかけると思い出したのか嬉しそうに「そうそう!」と声にした心奈が話し始める。
「今日の放課後、女子バスケ部が他校と練習試合するんだって!」
「それのどこがビックニュースなんだよ......」
「相変わらず甘いなー京ちゃんは! 夢咲さんをチェックできるいいチャンスじゃん!」
「ああ、それか」
再び腕に顔を埋める。
「男女問わず、結構な人が応援行くみたいだよー大人気だね夢咲さん」
「別いいって。言ったところで何すんだよ」
「
再び顔を上げてみれば、悲しいかな
「さっき先生が言ってた言葉を堂々パクるな」
「失礼なパクリとか言わないでくれる? オマージュだから! オマージュ!」
頬をぷりぷりとむくれさせる心奈をなだめる様に適当にあしらっておく。
出会ったばかりなのに妙に慣れてしまって困る。
「何このベテランバカップルっぽい雰囲気......」
「そうなのー。実はあたし達未来で......もがぁ!?」
危ない事を口走りそうになる心奈の口を慌てて塞ぐ。
未来では夫婦。
なんて言われてしまったら、クラス中からまた視線を集めてしまうだけでなく、あらぬ誤解を与えかねない。
「未来で?」
「なんでもないよ」
バタバタ暴れる心奈を拘束しつつ口を塞ぎ、優馬に、「これ以上聞くな」という想いを乗せた視線を送る。
「え、ちょっと京介?」
「だからなんでもないって」
「や、でも......」
「しつこいな!?」
普段は察しのいい優馬が妙に食い下がってくるので声が大きくなってしまう。
「えっと......そうじゃなくて、ね?」
「ん?」
苦笑いする金髪イケメンがすっと指をさした先。具体的にはオレの胸あたり。
視線を落とすと、さっきまでとれたてのマグロみたいにビチビチしていた心奈の顔が土みたいな色に変わっていた。
「おわっ!?」
「ゲホッゴホッ! こ、殺す気かぁー!」
慌てて塞いでいた手を離した瞬間、盛大に
「京ちゃんにもう拒否権なしっ! 放課後一緒に女バス見に行くよっ!」
「は、はあっ!?」
「じゃあ僕も同席させてもらおうかな」
会話の流れからどうやら同席してくれるらしい優馬が荒ぶる心奈を抑え込む京介に、生温かい視線を送ってくるのだった。
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