第23話 元カノと来た場所に今カノ連れて来たみたいなムーブしてる
服屋を出た後も、俺達は適当に店を見て回っていた。
ただ入ってはいないので、本当に見ているだけなのだが。
「これからどうすんだ? 当初の目的はもう達成したろ?」
「確かにそうですけど、せっかく来たわけですし、どうせならどこか回りたいところです」
遊びに行くか、買い物を続けるか。
一応、これから遠出するわけだし、必要な物をある程度揃えておくのも良いだろう。行く場所は海。都合よく店があるとも限らない。
ここでできることをやっておいて損はないか。
「ダークさんは他に必要な物無いんですか?」
「必要な物?」
「一回向こうに行ったら必要な物を買っている暇はないかもしれませんからね。幸い、ここはいろんな店が揃っているショッピングモールです」
「あーそうか。確かに、昨日博物館入ったから、割と道具使い果たしてんだよな」
「俺も食料とか見ておきたいです。あとは持っていく日用品なんかも。……そういえばダークさんって、道具なに使ってましたっけ。家では俺の物を勝手に使ってますけど、仕事の時になにか使ってるイメージ無いです」
「言ってなかったか? 俺は魔法使いじゃねぇからな。割と道具を使って敵を欺くことは多い。まずは銃弾」
「ここに銃弾なんてないです」
「いや、これはBB弾だ」
「なんて?」
「だから、これはおもちゃの弾だからどこにでも売ってる」
……てことは、俺が心ちゃんに使っていた銃弾も偽物……?
「なんだ、黙り込んで」
マジか……昨日は怪我させないように、心ちゃんが避けられるタイミングだけで銃を使っていたのに……これならもっと楽に戦えたじゃないか……
「他にはそうだな……硫黄が欲しい」
「硫黄……? そんなの理科の実験でしか使ったことないです。なにに使うんですか?」
「いろいろあるが、昨日の場合だと刀に塗ってたぜ」
「刀に?」
「こりゃ、テメェでもできないことっていうか、分かんねぇことがあるみてぇだな」
「そりゃ俺はダークさんみたいになんでもできるわけじゃないんですよ」
「そんなテメェに一つ教えてやろう。普通、ただ物を擦り合わせただけで火花は散らねぇ」
「そりゃそうでしょうよ。昨日銃で撃ったみたいに、猛スピードじゃないと」
「ちげぇな。それだけじゃ足りねぇ。少なくともあの刀みてぇに硬いだけじゃ一発で火花を散らすのは不可能だ」
「じゃあどうして燃えたんです?」
「硫黄を塗ってたんだよ。硫黄は燃えるからな。それで刀をでけぇマッチにしたわけだ」
「はえー……ダークさんって、そういうことできるんですね」
「どういう意味だコラ」
「それで、硫黄はどこに売ってるんですかね……」
調べてみると、薬局に売っているらしい。薬局なら硫黄の他にもいろいろと揃っているだろう。ついでに救急箱などなど、見てみるのも良いかもな。
そう思ってダークさんへと顔を上げると、ダークさんは俺の隣から居なくなっていた。
「あれ? ダークさん?」
まさか迷子か? ……と思ったけど、振り返ったら普通に居た。
なにかを見て呆然と立ち尽くすダークさん。その視線の先にあったのは……
「ああ、ゲームセンターですか」
「ゲームセンター?」
「はい。ダークさんは来たことないんですね。ここはいろいろゲームが揃っている、その名の通りゲームをする為の施設ですよ。ダークさんゲーム好きですよね。家のとはまた違ったものを楽しめるので気にいるかもしれませんね」
「なるほどな……なあ、行ってみねぇか?」
「そうですね。ちょうど、心ちゃんと来た時にダークさんを連れてこようと思ってたんです」
「……探偵とも来てたのかよ」
「え? はい、そうですけど」
「ムカついてきたな……おいひかり! こうなったら探偵よりもここを楽しんでやるぞ!」
「どうしたんですか、いきなり。まあ、心ちゃんとは仕事で来ただけなので、どのみち今日の方が楽しめますよ」
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