2章 お屋敷の仲間たち
第8話 バニーなユフィー
城下町へもどってきた俺たちは平民街を練り歩いている。
というのも、「困った人」「行き場のない人」を探しているからだ。まずはメイドにできそうな女の子だ。
メイドという仕事であれば特に特殊機能は必要ないので誰でもいいのだが……。
「教祖様。メイドをしてくれる子だったらどんな子がよいですかね?」
ユフィーは信徒探しにとても熱心なため、積極的に街を見回している。一方で元傭兵のクルネはそんなユフィーに戸惑っているようだった。
「そうだなぁ。掃除や洗濯が得意な子とか?」
「では、この辺で傭兵施設なんかがある通りを歩いてみませんか? あの辺は家政婦派遣施設なんかもいくつかあったような……」
クルネのナイス情報に俺たちはその路地へと向かった。
「あっ、そうだ。教祖様。ユフィーもクルネさんのように教祖様好みの洋服が欲しいですわ。一応、回復魔法も使えますし……それにクルネさんが羨ましいです」
ユフィーは魔法使い型のキャラだったから、着せるなら「過激なレオタード」か「過激なバニースーツ」だろう。
——どっちも買うか……。
「わかった。後で貴族街にある装備店に行こう」
「やったぁ、じゃあまずはメイドさん探しですねっ。そうだ、お城の掲示板に張り紙をしませんか? お困りごと募集! 的な」
「あぁ、クエスト掲示板の話か?」
「そうです。クエスト募集掲示板。クルネさんもモンスター討伐系でしたらいいでしょう?」
ユフィーの言葉にクルネが嬉しそうに頷く。
「適度に男手も欲しいが……2人はどうだ?」
俺の質問に2人は示し合わせたように首を振った。
「教祖様、私たちの目的は信徒を増やすことだけでなく教祖様の子孫を増やすことにもあります。ですから、領民は仕方ないとしてもお屋敷に出入りするのは女性だけでいいと思います」
「その点に関しては、私もユフィーさんに賛成です。私は男性にも負けないほど強いですし、力作業は任せて欲しいです」
全く違う点からの男不要論を唱えられるとなんとなく肩身が狭くなるが、ハーレムを作りたいんだしまぁいいだろう。
俺としては、ダンディなおじさま執事なんかが1人サポート役兼男同士の会話ができる相手として屋敷にいてくれたらいいなとか思ったんだけどな。
「まぁ、2人がそういうならそうするか」
しばらく通りを歩いているとメイドらしき人とすれ違ったりするものの、あまり困ってそうな人はいなかった。
「なかなかいませんねぇ。困っているメイドさん」
ユフィーが残念そうに首を捻る。
「そりゃ、なかなかいないな。先にユフィーの装備を買いに貴族街に行くか」
「はいっ」
「じゃあ、私はクエスト募集掲示板に教団のことを伝えてクエスト募集をかけてきますよ」
「クルネありがとう。頼んだよ」
クルネに掲示板のことは任せて、俺とユフィーは貴族街へのあの店へと向かった。
***
「ブルームーン」
合言葉と共に運ばれてきた「過激な装備」シリーズ。ユフィーは回復魔法使いなので過激なレオタードか過激なバニースーツのどちらかを選ぶことができた。
「レオタードの方は魔力アップ、バニースーツの方は回避率がアップか。どっちがいい?」
俺の質問いユフィーは悩みつつも
「どっちも試着してみていいですか?」
と答えたので俺は頷いた。
しばらくするとユフィーはまず、過激なレオタードを身につけて試着室を出てきた。過激なレオタードはその名の通りとんでもないハイレグのレオタードである。腰骨が余裕で見えるくらいに食い込んだそれは足が非常に長く見えるだけでなく、いろんなところが「過激」に見えてしまう。
「ちょっと……恥ずかしいですね」
グラマラスなクルネとは違って胸はあるがスレンダー気味で足の長いユフィーにはよく似合っている。
「魔力的にはどうだ?」
「結構、漲ってくる感じはあります。それよりも似合ってますか?」
ユフィーは恥ずかしそうにしながらもくるっと回ってみせると食い込んでいる部分を気にしてパチンと食い込みを直した。
「似合っていると思うが、恥ずかしいならやめておこう」
「と、とにかくバニースーツの方をきてみますね!」
内心、レオタードのエロさに爆発しそうだった俺は平常心を保とうと彼女が着替えている間、水を2杯も飲んだ。推し様のえちえちレオタード姿とか……たまらん。
「お待たせしました」
カラカラと赤いビロードのカーテンが開くと、そこには過激なバニースーツを着たユフィーが立っていた。
頭にはうさ耳バンド、「逆バニー」なんて呼ばれるバニースーツ。なんとか隠れるところだけが隠れているような形だ。上はハート型の極小ビキニにつけ襟とつけ袖。
下はハイレグの紐パンとガターベルトでつながっている網タイツ風のニーハイソックス。お尻にはウサギの丸い尻尾がついていたり……。
黒いガターベルトとハイレグの紐パンの相性が非常に良くへそ周りが非常にセクシーに見える。腰回りが細く、足の長いユフィーにはとてもよく似合っていた。
「さ、流石にこれは……恥ずかしいですぅ」
ユフィーは小脇を閉めて胸を寄せこちらを熱っぽく見つめた。
「これにしよう」
「へっ、でもぉ」
「これください」
俺は即決で「過激なバニースーツ」を購入したのだった。
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