ステータス

翌日から早速戦闘訓練と座学が始まった。

朝起きて朝食を食べたあと、全員訓練所へと集められた。

まず集まった生徒達に黒色のカードのような物が渡された。不思議そうに眺める生徒達に、騎士団長ライラが説明してくれた。


「よし。全員配り終えたね。じゃ説明していくよ。これはステータスプレートと言って自分のステータスやスキルを表示してくれる物でこの世界で身分証代わりになるよ。」


非常に気楽な喋り方をするライラ。彼女は戦闘の時は騎士団長らしくカッコイイが素は普通に話している。


「じゃあまず使い方は血をプレートの上に垂らすだけ。それで所有者の登録ができるからやっていこっか。」

なるほど、と頷く生徒達。騎士団の人達が皆んなの指を剣で少し傷つて血をステータスプレートにつけると魔法陣とそれぞれ違う色が輝いた。怜も同じように血をつけると赤色の魔法陣が浮び表を見ると、


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

名前:鷹山怜 男 レベル:1

天職

体力:50

筋力:50

魔力:30

防御力:50

敏捷:50

スキル

◾️◾️◾️◾️◾️ 吸収 ◾️◾️

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


怜はステータスプレートを眺める。他の生徒達も自分のステータスに注目している。


ライラからステータスプレートの説明がなされた。


「全員見たね。じゃ説明するよ。まずレベル。レベルはステータスと共に上昇する。レベル上限は200だけど未だ200になった人は誰一人いないよ

次に天職。天職はその人が持ってる才能。天職はスキルと連動していて、かなりの才能を発揮する。」


怜は自分のステータスをみる。だが何回見ても天職の表示がなく冷や汗が出てくる。


さらにライラの次の言葉で一気に嫌な予感がし冷や汗が増える。


「後はステータスだね。各ステータスは魔物を倒したり訓練で上がったりするよ。この世界の大体レベル1の平均は20ぐらいだから皆は200ぐらいだね。

それじゃ各々報告してきてね。訓練内容決めないと行けないし。もちろんステータス高い人はそれだけ訓練は厳しくなるよ。」


(これ僕かなりまずくないか。レベル1平均20で僕は50。天職もないし、スキルも見えないし、、、)


ライラの呼び掛けに早速、奏汰が報告しに出た。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


名前:新城奏汰 男 レベル:1

天職:勇者

体力:250

筋力:250

魔力:300

防御力:250

敏捷:250

スキル

剣術 光属性 風属性 火属性 聖剣生成 魔法耐性

自動回復 身体強化

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


(まさにチートだな。終わった僕のステータスと違いすぎる、、、、、)


「君が勇者か。しかしレベル1でこのステータスは凄まじいな。それに魔剣生成って魔法は聞いた事ないからよく分からないが強そうだな。頼もしいね。頑張ってね。」

「ありがとうございます。」

ちなみに団長のレベルは67で、ステータス平均は450前後、この世界でトップレベルの強さを誇っている。奏汰はすぐに追いつきそうなステータスを持っている。

他のみんなも奏汰は劣るがあまり変わらないが十分チートだである。

どんどんとチートなクラスメイトを見て泣けてくる怜。報告の順番が来たのでライラ団長にプレートをみせる。

嬉しそうな笑みを浮かべていた団長だが、怜のステータスプレートを見た途端「?」と笑顔のままで固まり太陽に当てて見たり振ったりしていた。すごく微妙な顔してプレートを返してきた。

「まぁ、その、えっとぉ、、、天職が空欄ってことはいつか才能が出た時に出てくると思うから諦めるな。そのつもりで訓練しよう。」


かなり歯切れ悪く説明するライラにその様子を見ていた何故か怜を目の敵にしている佐藤健太が、ニヤニヤと大声で、

「おい、陰キャ。お前のステータスプレート見せろよ。どうせ雑魚なんだろうけど。」

怜の背中をバジバジと笑いながら叩いてくる。佐藤の取り巻きも笑いながら近づいて来ていた。

「おら、早く見せろよ。」

怜のステータスプレートを奪った佐藤は内容を見て、周りに見せながら爆笑した。そして、それを見た取り巻きたちも爆笑していた。

「ぶっははは、なんだこれ。一般人に毛が生えたぐらいじゃねぇか。」

「ヒァハハハハ。おい、鷹山。どうすんだよぉ〜。そんなんじゃすぐ死ぬぞぉ〜」

「フハハハハ。まぁ頑張れよ。無能。」


佐藤とその取り巻き達が笑っているのを他の生徒も傍観していた。

「 これから2週間訓練したら近くの迷宮で魔物と戦ってもらうから気合い入れて訓練してね。じゃこれから各々訓練するよ。前衛組と後衛組に別れてね。レイは前衛の方を学んでね。」

怜は言われた通り前衛組に行き2時間ほど剣術を習って休憩を取っていると、

「おつかれさま。しんどそうだね。」

桜が怜の元に来て話しかけてきた。

「そうだね。天職もスキルもないに等しいし、ステータスも低いから頑張らないと。」

「ごめんね。さっき佐藤くんたちのから守れなくて。」

(どうして宮野さんがそんな表情をしているんだろ。)

彼女は眉間に皺を寄せあたかも怒っているような表情をしており僕としては不思議で仕方なかった。

それから少し話して、怜は一足先に訓練所を出て足りない情報を補いお風呂に入りご飯を食べて寝る。ということを繰り返しで2週間がたった。怜は訓練してもレベルもステータスもひとつも上がらなかった。

夜ご飯を食べているとライラ団長が食堂に入って来て、伝えることがあると聞き皆食べるのをやめ、注目する生徒達にライラ団長は予定を告げる。

「明日とうとう迷宮に入り魔物倒してもらうよ。

私達も一緒だから安全だけど、君たちに戦ってもらうから気を引き締めてね。じゃ今日はお疲れ様。」

そう言い出て行くとざわざわと喧騒喧騒に包まれた。

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