第6話
朝起きると既に桐花くんがスーツ姿に着替えていた。
ネクタイを締めてカバンを手にしている。
「あら……? 薫くん今日非番じゃないの……?」
眠そうな目を擦り寝ぼけながらやってくる春那がやってきた。
今の時間は午前6時。もう起きる時間か。
「そうだったんだが、水原の両親の連絡先とかいろいろな。見つかった報告をしないとならん」
「そうね……。わかったわ。行ってらっしゃい」
「いってきます」
そう言って桐花くんは出て行った。
私はソファに座る。身体がバッキバキだ。床で座りながら寝てたから当たり前だと思うが。
「あら起きてたの」
「さっきな。ん〜……。我ながらよく寝た」
「あんたってどんな体制でもどんな場所でも寝れるわよね」
「特技だからね」
ぐっすり熟睡はできた。
私はとりあえず顔を洗ってくることにした。お風呂も入ってないから後でシャワーだけでも借りようかな。
「春那」
「……ランニング?」
「そう!」
「私はもういいわ……。30越えてるし」
「えー! 毎日いつも付き合ってくれてるじゃん!」
「昔の話でしょ……」
春那は食パンをトースターにぶちこんでいた。
「若いっていいわよねぇ」
「なにおばさんっぽいこと言ってんの」
「おばさんだもの。あんたはまだ16でしょうけどねえ」
年齢って怖いな……。
身体を動かしたいというこの欲求はどうしたらいいんだ。
とりあえず腕立てでもしておくか。
「それよりあんた服とかどうするの?」
「しばらくこれでいいよ。これしか着るもんないし」
「ほのかと一緒に買いにいってきなさい。下着も変えてないでしょ。下着も一緒に」
「えぇめんどくさ……」
「あんた自分のことはズボラなんだから……」
私は別に最低限でいいんだ服とかは。
私服だって基本動きやすさ重視だし。Tシャツとズボンがあればそれで過ごせる。
「いきなさい」
「うす……」
ということでほのかちゃんと街へ繰り出した。
「ここ渋谷ね!」
「渋谷も変わったなぁ」
「ママから服のお金貰ってるし夏月さんのだけ買って私は推しに……」
「それほのかちゃんの服の代金もあるでしょ?」
「私の服は最低限でいいんだよ最低限で! 他所行きの服と普段着る用のがあればいいの!」
「わかる! 最低限揃ってりゃいいよな」
「でしょー? でもママは女の子らしい可愛い服買えって言うんだよね〜」
「厳しいよな春那って」
「わかる」
ほのかちゃんも最低限の服でいいと言ってる。
私もそれでいいか。最低限で。
「私は普段外でめっちゃ遊ぶから汚れるんだよ。可愛い服買ってもすぐ汚すんだよな」
「そーなの? でもたしかにアクティブっぽいもんね〜」
「公園で砂場とかに思い切りダイブしたりジャングルジムで鬼ごっこしたりとかしてたんだ」
「公園で?」
「そう! 帰り遊んで行くか!」
「あー、今はどこの公園も遊べないんだ」
「え、なんで?」
「近所からクレームがあるからって封鎖された」
そんな……。
クレームに屈するなよ!私は子どもは外のどこで遊べばいいんだ。山か? 山の中か? いいぞ受けて立つ!
「とりあえず服屋いこ! 最低限でいいんだよね?」
「もちのろん! 他所行き一つとTシャツとジーンズとかジャージとかでいいよん」
服はもうどうでもいいんだ。
私のあだ名は山猿だからな。クラスメイトからは可愛い見た目してるけど行動がもう女の子じゃないって言われてる。
見た目はもう明らかにプリチーって感じの見た目だとは言われる。性格は弁慶とかそこらへん。
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