第2話
見たこともない生徒、見たこともない先生。
私は思わずフリーズしてしまった。クラスを間違えたのだろうかと思い、学年を確かめてみるがたしかに私が在籍する1年1組と書かれていた。
じゃあなんで見たことのない先生が……? と思っていると。
「あなた誰ですか……?」
「え、水原……」
「水原? そんな生徒はうちに……。ふ、不審者!?」
「え、いや、怪しいものじゃ……!」
「みなさん、離れてください!」
と、見知らぬ先生が私と見知らぬ生徒の間に割り込んだ。
すぐに警察が呼ばれてしまい、私はわけがわからぬまま連行されていく。
何が起きてるんだ?
私は自分のクラスに戻っただけなんだが。クラスに戻ったら見知らぬ人ばかりでしたって……入学初日じゃあるまいし普通はないでしょ。
となると……トイレしたらパラレルワールドにいってしまったとか! ありうる。トイレの個室はいわば誰にも観測されてない状態。そういうことがあるかもってラノベであった気がする。
つまりここは地球によく似た異世界!
「ふっふっふ。この夏月ちゃんはお見通しですよ。ここは異世界だ。今は普通の地球と同じだがいずれかは魔法とかそんなのが登場するはず!」
「何言ってるんだお前は」
「怪しい言動だな……。とりあえず天光の制服を着てなぜ侵入した? 見たところ若いが……高校にはいってないのか?」
「もともとあそこに通ってたんですけど……」
というか天光って同じ学校名かー。パラレルワールドだからそうなのかもしれないな。
私は取り調べを受けていた。侵入した理由とかを事細かに聞かれたが、私は普通にトイレして帰ってきただけなので理由なんてもんはクソほどない。クソだけに。
「はぁ……。埒が明かん」
「えと、俺らが若手だからなめてんのかな。ちょっとベテラン刑事さん連れて来い」
「わかりました」
そういって、一人の警察官の人がその場を離れた。
なめてもいないし事実なんですけど……。というか、私って一応不審者扱いで注意を受けるだけだと思ってたけどこんな調べを受けるようなものなのかな。
疑問に思っていると私の腹の虫が鳴く。
そういえばもうそろそろ昼だしな。お腹すいたな。
「……あのぉ、おひるごはんって」
「……はぁ。何がいい? 出前を取るから」
「かつ丼で」
「お前自分の状況わかってやってんだろ」
取り調べといえばかつ丼でしょう。
かつ丼を注文してもらい、出前がやってくる。私は割り箸を割ってまずは漬物から平らげた。
美味い。ポリポリ触感がたまんねー沢庵。
そして次にカツを一口。肉厚ジューシー!
絶品のかつ丼に舌鼓をうっていると、取調室の扉が開かれる。
そこには30代らしき男性が入ってきた。少しくたびれたスーツを着て、怖そうに私をにらみつけて……その顔は見たことがあった。
「……桐花くん?」
「……水原?」
私と同じクラスの桐花くんが大人の姿になっていた。
え、どういうこと? パラレルワールドって普通同い年なものじゃないの? 私だけ成長を取り残された世界線?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます