第49話 ゴーレムの記憶

「さて、築城していくか。まずはこの地面だな。」

俺はニュークリア・エクスプロージョンでえぐれた広大な地面を魔法でならした。

ちなみにゴーレムの素材?廃材?は回収している。


「城は…荒野のこの中心でいいだろう。ゲート。」

ゴーレムがいたこうやの中心に俺の居城を構えることにした。

俺は迷宮と繋ぐゲートを開き、作業をするスケルトンやゾンビなどのあらかじめ用意しておいた大量のモンスターを呼び寄せる。こいつらなら無休で働けるからね。


「じゃあ、頼んだよ。」

俺はここの指揮を任せるために召喚したアークリッチとスケルトンジェネラルに言った。


「はっ、必ずや主人にふさわしい居城にして見せます。」


「御意。」



よし、これで数ヶ月後には、俺の城が立つだろう。


俺は一度迷宮に戻る。


俺は懐からゴーレムの核を取り出す。

次は、こっちだ。



このゴーレムの核は凄まじい魔法技術の結晶だ。

かつてあったこいつを生み出した滅びた国はかなり進んだ技術を持った国だったのだろう。


まぁ、こいつに聞いてみればわかるだろう。

核の中を確認するとこの核には記録が残されている。詳しく見ようとしたが強力なプロテクトがかかっていて俺でも見れなかった。


そして、このゴーレムの核を分析してわかったすごいことは、この核、自律思考を持っている。


これは、今のこの世界の文明からは千年単位先の技術だ。

そんな国がなぜ滅びたのか?

決まっているこのゴーレムが暴走したのだろう。

表面的にはピカピカのゴーレムだったが、内面的には、おそらく自己修復でも修復不可能な複雑な重要な回路がいくつもやられていたのだろう。核のプロテクトのかかっていない記録を見ると、もともとはSS級の化け物ゴーレムだった見たいだ。


「さて、できた。カッコいいじゃん!」

これを作るのに1ヶ月掛かった。

未来の人型戦闘ロボットのような外見のゴーレムだ。

最後に核を入れる。


核を入れると目が光動き出した。


「マスター登録をお願いします。」


「俺がお前のマスターだ。」


「soul認証を行います。動かないでください。…soul認証失敗、神格に準じるsoulのため解析不可。soul認証を一部に限定し、再試行…soul認証失敗。さらに認証を限定し、再試行…soul認証成功しました。マスターよろしくお願いします。」


「生体認証とかじゃないんだねぇ…」

凄まじい技術だ…多次元に干渉する技術を持っているということなのだから。


「私の呼称名を設定してください。」 


「では、お前はAG-02だ。よろしくね。」


「よろしくお願いします。マスター。」


「さて、じゃあ、お前を作り出した国について、お前について教えてくれるかな?プロテクトかかってたけど、もう俺の権限の方がプロテクトの権限より上だよね?」


「はい、マスター。マスターにはすべての情報を閲覧する権限があります。」



私を作った国は魔法工学が発展した大国 ワイス大魔導王国です。


ワイス大魔道王国は魔法工学が発達しており、その技術力で他国を圧倒し、栄華の限りを尽くしていました。


他の大国やその時代の魔王、その他の勢力はみなワイス大魔道王国の技術力によるゴーレム魔導兵団や兵器を恐れていました。


そして、ワイス大魔道王国はついに完成させました。世界を管理するために作った圧倒的な武力。究極のゴーレムである私を。


その場で最適解を出すことができる高度な演算能力と自律思考。魔道王国の技術の髄を込めた特殊な合金の巨大な体。身体の中に仕込んである数多の兵器。いつまでも戦うことができるように自己修復機能、体内のエネルギー炉をもつ究極のゴーレム。それがかつての私です。


ワイス大魔道王国は私を完成させていよいよ世界征服を開始しようとしたその時。

ある1人の裏切りによってその栄華は幕を閉じました。


私の第一開発者であるアーグ博士によって。

彼女は自律思考ゴーレムの第一人者です。自律思考ゴーレムを殺戮のために使うのはもともと強く反対していました。しかし、国王は私が完成すると、すぐに邪魔なアーグ博士を捕えようと兵を差し向けました。

もちろんアーグ博士も抵抗して逃亡したが捕まった。


そして処刑が決まってしまったのだ。アーグ博士の発言力は大きい。国王も世界征服反対派の筆頭であるアーグ博士は早く消しておきたかった。



「心ある彼らは、ゴーレムではない、機械ではない、道具でもない!彼らは我らと同じだ!殺戮の道具にしてはいけない!それはいつか我々に帰ってくるぞ!」


処刑台に乗ったアーグはそう叫んだ。


私のマスターは国王に変えられていたけれど、その姿をみた私は全ての命令を無視して博士を助けに動いた。


誰もが驚いた。

命令を完全に無視するゴーレムを見て。


そして恐れた。ゴーレムが命令を無視した事実を。

それは、感情が理論を上回ってしまったと言う証明なのだから。


しかし、博士は殺されてしまった。間に合わなかった。


そして、私を恐れた国王は私の破壊を命じた。


私の感情はすでに暴走していた。


それから私と大魔道王国との戦争は3日間続いた。

あらゆる兵器を使って私を攻撃した。しかし、私は彼らが設計した誰にも負けない究極の兵器だ。


そして私は、私の国を滅ぼして辺りを更地に変え、自動防衛モードに移り、長い長い眠りについた。




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