中ボスはラスボス倒して最強ダンジョンを手に入れたので、好きに生きるとのことです。〜ラスボス倒した俺がラスボスってことでいいよね?最強の力とダンジョンの財力と兵力で好き勝手に楽しもうと思います〜
第46話 ラスボスに挑む冒険者3 白銀との会話
第46話 ラスボスに挑む冒険者3 白銀との会話
「深層の蜘蛛のモンスターか。遠いなぁ。」
身につけている赤い毛皮のフード付きコートを触りながら青年 レオンが都市を襲った蜘蛛のモンスターを思い出しながら言う。
そうこの赤い毛皮のコートは倒したクレイジースパイダーを装備に加工したものだ。
「でも、俺ももうCランクモンスターをなんとか倒せるまで強くなったんだ!この間までスケルトンを倒すのがやっとだったのに。」
そうやって独り言を話しながらレオンは酒場に入る。晩御飯を食べに来たのだ。
お店に入ると一際目立つ人がいた。
そう、あの白銀が居た。
「あっ、白銀さん!この間はありがとうございました。僕を迷宮の外まで運んでくれたんですよね?それに治療まで!」
この間クレイジースパイダーを倒したあと、レオンは気絶してしまった。気づいたらギルドのベッドで寝ており、素材もとっておいてくれたのだ。
ギルド職員から白銀が僕を担いでギルドに運び、アイテムボックスからクレイジースパイダーの素材を出して去って行ったと聞いてレオンはずっと白銀にお礼をしたかった。
「おぉ、少年。礼には及ばない。お前の冒険を楽しませて貰った。胸が躍る戦いだった。」
「いえいえ、白銀さんと比べれば僕の戦いなんて。」
「いや、そんなことない。見応えがあったぞ?そういえば、自己紹介がまだだったな。俺はジンだ。よろしくな。」
「あっ、失礼しました。俺はレオンっていいます。」
「レオン、座ってくれ。一緒に食べよう。」
「いいんですか?ぜひ!」
白銀、いや、ジンさんと一緒にご飯を食べることとなった。
ジンさんはステーキ、俺はオムライスを頼んだ。
「ジンさんはなんでそんなに強いんですか?どこかの騎士様とかだったんですか?」
「いや、騎士とかではないよ。強いと言っても俺のほどの力を持っているものなどたくさんいるだろう?」
「いやいや、そうそういませんって。なにか特別な修行をしてたんですか?」
「いや、ずっと俺は戦っていただけだ。ずっとな。強いものを倒すたびに自分が強くなって行った。」
「やっぱりジンさんは歴戦の戦士なんですねぇ。すごいや。俺もいつかジンさん見たいに強くなれますかね?」
「ふはは、俺みたくか?」
「え、ええ。ジンさんみたいに強くなりたいなって。」
ジンさんは兜をつけたまま食べている、表情は見えないが、口元は確かに笑っている。なんだか僕と話しているジンさんがウキウキしているように見えるのは、僕の自惚れだろうか。
「…今の俺を超えなきゃだろ?」
「えぇ!?」
「超えられるさ、今の俺を。迷宮に潜り冒険し続ければ。」
「超えられますかね、俺がジンさんを。」
「では、俺からも質問だ。なんでレオンは迷宮に潜るんだ?」
「なんでって…」
今まで俺の人生は碌なものではなかった。親に捨てられ、他人に裏切られ、利用され、置いて行かれた。そんな人生だった。
そんな時に勇者ルーカス様に助けられた。
最初はルーカス様みたく強くなりたいと思ったから。
でも、今はただ単純に冒険が楽しいんだ!
努力すればするほど強くなる。命をかけた冒険をすれば生を実感できる、場合によってはこのナイフやこのコートのような見返りがある。迷宮を探索するのはドキドキやワクワクが止まらない。
生きている!そう実感できる。
俺は冒険したいんだ。
そして、俺が死んだあの日、謎の声に玉座の間に呼ばれたあの日。
俺は思った。
そこはどんなところなんだろう。どれだけ険しい道のりなのだろう。なにを得られるだろう。どんな者が待ち受けているのか…
その全てが俺をワクワクドキドキさせる。
「…冒険をするためです。」
冒険。その言葉に俺の思いすべてを込めた。
「いいね。それでこそ冒険者だ。」
そう言って笑った白銀は英雄ではなく、どうしてか勇者を待ち受ける魔王のように俺は感じた。
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