第30話 死霊騎士団
「これで俺の実力は証明されたか?」
「あぁ!十分だ、よろしく頼む。」
ルーカスが手を差し伸べる。
「まぁ、今回の戦いだけだけどな。」
俺はルーカスの手を取り、握手をした。
「よろしくね、私はマーミア。ガオの森のエルフよ。」
「俺はドルフ。よろしくな。」
「よろしくな。」
エルフはマーミア、獣人はドルフか。
「やっぱり、ジンさんとってもお強いですね!よろしくお願いしますね!」
「あぁ、借りは返す。あと、約束守れよ。」
「もちろん!」
大丈夫かなぁ?
さて、意外に戦争は佳境を迎えているようだ。
敵の将軍はデーク将軍というBランクのデュラハンナイトだ。
明日、こちらが攻勢に出て本隊が敵の主力と交戦している間に勇者パーティーが別働隊として敵の占拠された砦に攻撃を仕掛けて、将軍を打ち取るという作戦だ。
しかしこれには一つ大きな難所がある。
デーク将軍は強力な死霊騎士団に守られているということだ。死霊騎士団の騎士団長は来ていないらしいが、それでも強力な騎士団らしい。
アルモルドの自慢のこの騎士団を抜くことは難しい。
そこでもう一つ別働隊を作る。
もう一つの別働隊が砦を攻撃して、死霊騎士団が出てきたところで、本命の勇者パーティーが将軍を打ち取るというものだ。
たしかにこれなら行ける気がする。勇者パーティーもBランクのデュラハンナイトなら会敵すれば難なく倒せるだろう。
そして当日。
両軍が睨み合い、ついに攻撃が始まった。
人間軍と魔王アルモルド軍の主力がぶつかり合い、一進一退の攻防を繰り広げている。
そして一つ目の別働隊が密かに動きだし、こちらに通信の魔道具で合図を送る。
「これより我らは敵の砦に攻撃を仕掛けます。死霊騎士団が砦から出てきたら手筈どうりにお願いします。」
「わかりました。武運を祈ります。」
通信が入り、ルーカスが答える。
すぐに別働隊が雄叫びを上げて砦に攻撃を開始した。攻城戦となり、砦が開場し死霊騎士団が打って出てきた。
向こうで激しい戦闘が開始された。
俺たちは砦を攻めている別働隊とは反対側に周り、砦に侵入する。
「エスクプロージョン!」
マーミアが爆発魔法を唱え、大きな爆音とともに砦に穴を開ける。
「いくぞみんな!一気に攻めてデーク将軍を打ち取る!!」
俺たちはデーク将軍がいると思われる一番大きな建物に向かった。
「ん?先に行け。」
もう少しで一番大きな建物につくところで俺は急に止まり、勇者達にそう言った。
「ジン、どうしたの?」
アリルが俺の突然の行動に困惑する。
「外の別働隊がやられた。すぐに死霊騎士団が戻ってくるぞ。俺がここで足止めするからお前たちはデーク将軍を打ち取ってこい。」
「そんな!?いくらなんでも早すぎる!いくらここまでくるために、兵数が少なくしているとはいえ、向こうの別働隊も死霊騎士団としばらく戦えるだけの兵数と戦力を連れてきている。そんな簡単にやられはしない。」
マーミアがそう言うが確かに外の喧騒はなくなり、静かになっていた。
「まさか…ほんとに?」
アベリオが信じられないというように呟く。
「俺1人なら逃げ切れる。俺はできるだけ時間を稼ぐから早くやることやってこい。」
「わかりました。みんな行きましょう。」
アリルがそう言って前を向く。
「待て!アリル!ジンを置いていくということはどういうことかわかっているのか!?ジン1人を置いてはいけない!作戦は失敗だ引き返そう。このままでは死霊騎士団とデーク将軍を相手にしなくてはならなくなる。さすがに無理だ!」
「ジンさんなら大丈夫です。早くデーク将軍を倒しに行ってこの場を離れましょう。」
「ジンを見殺しにするつもりかアリル!!それでも君は聖女なのか!?」
ルーカスはアリルに怒鳴りながら詰め寄る。
やはり勇者なのだなルーカスよ。出会って間もない俺など捨てていけば良いものを。
助けられる命は見逃せないのだろう。
「ジンさんは大丈夫です。ジンさんは…本当は味方に着いてくれるなんて信じられないほどすごい人なんです。むしろこの好機、見逃してはなりません。」
アリルはまっすぐルーカスを見つめながら言った。
「まぁ、そういうことだ早く行け。できるだけ足止めしてやる。聖女よ、これで借りはチャラだ。あと、約束!守れよ。」
「わかりました。皆さん行きましょう。」
「くっ、ジン!必ずまたあとで会おう。絶対死ぬんじゃないぞ!」
「ふふ、あぁ、お前たちにはまだ仕事が残ってるからな。ここは少し手伝ってやる。行け、勇者よ!」
勇者パーティーは駆け出してデーク将軍を打ち取りにいった。
さて、俺はこっちかな。
ドカラ!ドカラ!
大きな死霊の馬に乗った黒い騎士を筆頭に死霊騎士団が姿を表した。
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