第29話 アベリオ対白銀
「みんな、この人を今回の戦いでパーティーに入れようと思うの。だめかな?」
アリルは俺を勇者パーティーに入れるために勇者パーティーに俺を紹介した。
「アリル、どういうことだ?というか、その人は誰なんだい?」
ルーカスが動揺している。
というか、メンバー全員がぽかんとしている。
それはそうだ。どこから湧いて出たかわからない男を聖女が連れてきて、急に連れてきてパーティーに入れようとしているのだから。
「えっと、ジ、ジンさん自己紹介どうぞ。」
あっ、こいつ投げやがったな!
まぁ、仕方ない。
「あー、ジンだ。聖女様に借りがあってな。今回の戦いを手伝うことにした。よろしく頼む。」
「借りってなんだい?」
ルーカスが顔を傾けて聞いてくる。
「言わない。」
俺の回答を聞いて、ルーカスはアリルに顔を向けるがアリルはそっぽむいた。
「まぁ、詳しいことはどうでもいいけどよ、このにいちゃん本当に強いのか?手伝うもなにも足手まといを連れ歩くつもりはないぞ?」
筋肉モリモリの獣人が言った。
「それは大丈夫。この人たぶん本当に強いから。」
アリルが答える。
「一緒に戦ったことあるの?この人と。」
エルフの魔法使いが言った。
「な、ないけど。でも、たぶん私達よりも強いと思う。」
「一緒に戦ったこともないのになんで強いってわかるの?確かにその人の鎧は僕たちの装備より良さそうだけど。僕たちは仮にも勇者パーティーだよ?僕たちより強い人は世界でも限られてくるけど、ジン?なんて名前聞いたことないし有名な人ではないよね?」
ドラゴニュートの女性がアリルを詰める。
「うぅ、ジンさぁん。」
アリルが涙目でこちらを向く。
いや、そりゃそうなるわな。
「まぁ、実力が不安なら今ここで確かめてみるがいいさ。誰か俺と模擬戦をしよう。それなら納得するだろ?」
「そうそう、そういうことよ。誰とやりたい?選ばしてやるよ。」
筋肉もりもりの獣人が答える。
「誰でもいい。エルフなら魔法で、獣人なら格闘技で、ドラゴニュートなら剣でそれぞれ得意そうなもので勝ってやるよ。」
「あんまり僕たちを舐めない方がいいよ。わかった、僕がやるよ。表に出な。」
ドラゴンの血が入ってるからかこのドラゴニュートは結構プライドが高いほうなのかな?
「ジンさん、絶対殺しちゃダメですからね!絶対やめてくださいね。大怪我もダメです。いいですか。」
聖女が近づいて言ってくる。
「あぁ、もちろんだ。」
「…僕が負けると言いたいのか。」
聖女の発言を聞いてドラゴニュートの女はどんどん不機嫌になっていくのがわかる。
俺たちは練兵場の広場にやってきてお互い向き合う。ちなみに武器は木刀だ。
「先に降参したり、戦闘不可能、背中に地面が着いた方が負けね。」
ルーカスが、俺たちに言う。
「「わかった。」」
「では、初め!」
「僕の名前はアベリオ。由緒正しきドラゴンの末裔のドラゴニュートだ。君は?」
そう言ってアベリオはこちらにお辞儀した。
「迷宮都市クーリッヒで冒険者家業をしている。ジンだ。」
「ふーん。ランクは?」
「…Eランク。」
「話にならないね。駆け出し冒険者君。」
アベリオは駆け出した。
かなり早い、力も強そうだ。ドラゴニュート故の身体能力柄かなり高いのだろう。俺に切り掛かってくるが、ブレがあるな。
俺はそのブレに木刀を合わせ軌道をそらす。
何度も何度も切り掛かってくるがその全てを避けるか軌道を逸らして木刀を滑らす。
「くっ!ちょこまかと。身体強化!」
アベリオの身体能力が大幅に向上する。
しかし、俺の思考には全くその程度の速度では追いつけない。集中すれば全てがスローモーション、もっと集中すればほぼ止まっているように見える。木刀でブレを利用して流してしまえば力がどれだけ上がろうと関係ない。
「お前、挑発に乗りやすいタイプだな?お前の次の動きが手に取るようにわかる。確かに身体能力は目に見張るものがあるが、それだけだ。攻撃は単調だし、剣技はブレが大きい。」
「舐めるな!僕はドラゴンの末裔だ!ドラゴンパワー!」
アベリオの身体が鱗で覆われて顔や体も少し大きくなる。顔も少しドラゴンぽくなったか?
「すごいな、まだ身体能力が上がるのか。っとなるほど爪も生えたのね。」
鋭い爪でも攻撃を仕掛けてくる。
…これ木刀でやってる意味ある?って言うかこれ木刀で爪を受けたら木刀切れちゃうよね?
「そろそろ、攻撃しようかな。」
カキン!カキン!カキン!
俺は何度もアベリオに木刀を打ち付けるが全て弾かれる。
あぁ、鱗が硬くて木刀じゃ攻撃通らねぇよ。
アベリオもニヤリと笑う。
いやいや、俺のミスリルの剣だったらお前もう死んでるからな!
「身体強化。」
俺も身体強化を使い身体能力を上げる。
ドカ、ドカ、ドカ、ボフ!ドカン!
俺は木刀でめった打ちにする。木刀に魔力をこめて打ってるから木刀も相当硬いだろう。
「ガハッ!うぅ!あっ!いっ!」
アベリオは攻撃を防ぐので手一杯だ。
「もう負けを認めろ。俺がいじめてるみたいだ。」
「くそ!くそ!僕は負けない!!」
アベリオの口に魔力が集中し始めた。
「アベリオ!そこまでだ、やめろ!」
ルーカスがために入るが間に合わない。
「ドラゴンブレス!」
アベリオの口からドラゴンブレスが解き放たれる。
おいおいおい!それは反則!!
俺はすぐにアイテムをダンジョンポイントで購入して呼び寄せる。
ブレス避けの風車
ランク:最上級
ブレス攻撃を風の魔力で避ける。
俺はブレス避けの風車を出してブレスを凌いだ。
「熱っち!それはやりすぎだろ!」
俺はアベリオに非難の声をあげる。
「まさかドラゴンブレスを打っても勝てないなんて。」
「アベリオやりすぎた。もしも、誰かが大怪我したらどうするだ!」
ルーカスがアベリオに怒る。
「ごめんなさい。」
「これで俺の実力は証明されたか?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます