第31話 死霊騎士団 騎士団長 アーガスト

ドカラ!ドカラ!

大きな死霊の馬に乗った黒い騎士を筆頭に死霊騎士団が姿を表した。


「まさか別働隊が二つあるとはな。こっちに来ているのは勇者か?そこを通してもらおう。」


低い声で先頭の大きな黒い騎士がそう言う。


「騎士団長は来ていないと聞いていたんだが?」


「ふはは、そんなこと私は言った覚えないが?」


それはそうだ。


「ここを通す訳には行かないんだ。少し足止めに付き合ってくれ。」


「押し通る!」


俺は召喚魔法でアンデットナイトを無数に召喚する。


「やってみな。」


「ほう!我が名は死霊騎士団 騎士団長 黒霊騎士のフルモンド・アーガスト!其方の名は?」


「俺か?俺はジン。迷宮都市クーリッヒの冒険者だ。」


「覚えておこう。皆のもの突撃せよ!」


「お前らここを通すな!」


死霊騎士団と俺のアンデットナイト達がぶつかり合った。


「はぁ!」

アーガストは大剣を振り下ろし俺に切り掛かる。


ガキン!

くぅ!重い。


こいつかなり強い!凄まじいステータスに卓越した剣技。


「ファイアーボール!」

俺は無数のファイアボールを無数のにさまざまなな軌道で放つ。


「ダークオーラ!」

アーガストからダークオーラが放たれた全てのファイアボールがかき消された。


「身体強化!」


「身体強化、ダークボール!」

俺が身体強化をかけるとアーガストも身体強化をかけて続けてダークボールを複数放つ。


「くっ、お前、強いな!」

俺はダークボールを全て避けて一旦距離をとる。


「其方もなかなかやりおる。だか、急いで向かわないとこちらの大将がやられてしまう。悪いが死んでもらう。スキル 腐食の纏い」

アーガストは馬から降りてスキルを発動させる。


そして俺に切り掛かる。


「なに!?その剣、鎧はミスリルか!それもこんなに純度が高いミスリル…どれだけ金をかけているんだ。」

どうやら腐食攻撃で俺の装備をダメにしようとしたらしいが、ミスリルは腐食しない聖なる金属だ。


「残念だったな!」


「ふっ、だが、周りを見てみろ。」


あぁ、周りをみなくてもわかってる。


俺の召喚したアンデットナイト達が全滅してるんだぁ〜!

どうやら死霊騎士団はかなり練度が高いらしい。


「絶対絶命?」


「死地であろうな。」

アーガストは一旦距離を取る。

そして死霊騎士団が魔法やら弓やらを構える。

おいおいまさか。


「いやいや、流石にオーバーキルじゃねぇーか?」


「これが軍の強さというものだ。放て。」

アーモンドの号令とともに無数の魔法や弓が放たれる。

俺は考える。

魔法で防壁を張る?この数の攻撃だ、大量のアンデットナイトを召喚した今の俺の魔力量では一瞬で破れるだろう。

逃げる?いや、全方位から攻撃されていて逃げられない。

こういう時便利なのがアイテムだ。

俺は防御系のアイテムを購入して使用する。


俺を中心に半円状の聖なる結界が展開され全ての攻撃を防いだ。


神の守りの十字架

ランク:遺物級

神の強い加護がかかった十字架。聖魔法の最上位防御魔法 サンクチュアリを即座に発動しすべての攻撃を防ぐ。


「おいおい、なんだそのアイテムは。」


「いいアイテムだろ?」


その時。俺とアーガストが同時に大きな建物の方を向く。


「ふむ。デーク将軍がやられてしまったか。」


「俺たちの勝ちだな。」


「仕方ないか。だが、お前と勇者はここで葬っておこう。それだけで我らは大きな戦果を得たと言えよう?」


やっぱり、そうなるよな。今の勇者達にアーガストは少々荷が重いな。


「なぁ、手を引いてくれないか?」


「引くわけなかろう?こちらは将軍が1人打ち取られているのだ。」


「なら取引だ。ここで勇者達を見逃してくれたら情報をやろう。」


「情報だと?」


「あぁ、この情報でお前たちなら大幅な領地拡大、戦力の拡大ができる。」


「仮にその情報が勇者やお前を逃すに匹敵する情報だとして、その情報の信憑性は?」


「これを担保として出そう。それでいいだろ?このアイテムはお前たちの脅威になり得るはずだ。」

俺は神の守りの十字架をアーガストに見せる。


「…いいだろう。お前のその情報とはなんだ?」


「本当に見逃してくれるのか?」


「あぁ、騎士の誇りに誓って約束しよう。」


「わかった。」


「で、その情報とはなんだ?」










俺はニヤリと笑いながら言った。


「魔王 ブーモルが堕ち、新たな魔王が誕生するだろう。」

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