第25話 新たな恐怖
「こんなものか、人間とは。」
ナクアは今、上層に送って人間たちと戦った5体の一族から報告を受けている。
ナクアは先発隊を出し、人間の力を確かめた。その結果、互角であった。戦いは一進一退。
ナクアの一族の5体も人間の冒険者も負けず激しい戦いであった。
ナクアが撤退命令を出し、今回の戦いはナクア側が引く形となった。
この世界のAランクモンスターのレベルとは魔王クラスである。つまり、魔王クラスのモンスター5体とその配下のモンスターと戦い、互角の戦いを見せる一都市でしかない迷宮都市のクーリッヒの実力はやはり世界でトップクラスであろう。
しかし、ナクアの感想はこんなものかというものかであった。
ナクア達蜘蛛の一族は99階層の魔物の蟻の一族とずっと抗争をしている。
お互いにお互いを脅威と感じているからだ。
ちなみに99階層も森が広がっている階層だ。
その抗争に比べば人間との争いはこんなものかと言わざるを得ない。
「これならば早めに潰せそうだ。ナラよ、マザースパイダー5体、スパイダーバトルマスター2体、マーダースパイダー3体を連れて一週間後に出陣して、外のニンゲンを一掃してこい。私は残りの戦力でこの森を蟻から守る。できるだけ早く帰ってこい。もしも半分の戦力でいる時に蟻の総攻撃を受けたら流石にまずい。」
ナクアの最大戦力であるAランクモンスターは21体いる。つまり21体の魔王級のモンスターを従えいるのだ。
そして、11体の魔王級のモンスターを迷宮都市クーリッヒに向けて進軍させた。
「了解した。」
ナラと呼ばれたナクアの部下の中で一番強いAランクモンスターであるゴールデンパラライズスパイダーが答えた。
一週間後。
「…外の世界。そんなものがあったのか。」
族長に人間の討伐を命じられたナラであるが、ナラは人間などにはあまり興味はなかった。
ナラの興味は外の世界。ここではない世界がある。どこまで世界は続いているのだろう。どんな生き物がいて、どんな食べ物があって、どんな景色が広がっているのだろう。
そして、その世界はここより住みやすい世界なのだろうか。
アリの一族たちもそこまでは追ってはこないだろう。
もしも、ここよりも住みやすいのならば…
ナラはそんなことを考えながら進軍していく。
Aランクモンスター10体と数千を超える一族を率いながらゆっくりと。
世界はまだ気づいていない。
ラストダンジョンから解き放たれようとしている新たな恐怖を。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます