第24話 勇者の元へ行ってみようか

ギルドでの会議にて報告された内容は、蜘蛛型Aランクモンスター5体が徒党を組み、大軍で上層に上がってきているというものだった。現在は60階層にいるらしい。


討伐隊を組むことになり、いくつかのパーティーとクランが参加することとなった。


ちなみに、俺は参加しない。と言うか、白銀は一度この都市を離れようと思う。


これは蜘蛛とこの都市の戦争だ。俺は参加しない。ギルドマスターには参加しないと言ったら嫌な顔をされたが、まだこれは緊急任務ではない。ギルドに冒険者の強制性はない。

ちなみに、緊急任務だと冒険者に強制できるらしい。


おそらくAランクの蜘蛛5体は先発隊だ。そして、ナクアはその5体で人間の強さを確認する。


あいつは賢い。その5体で戦力を見極め、攻めに来る気だろう。



「急にこの街を離れるなんて、すぐ戻ってきてくださいね。」

アリが涙がみながら言う。


俺の出発にアリとルーファが門まで来てくれた。


「あぁ、用事を済ませたらまたこのクーリッヒに戻ってくるよ。それまで2人とも死ぬなよ。」


「死なんよ、無茶はしない。お前も気をつけるのだぞ、白銀。」

ルーファが軽く笑いながら言う。


そうして、俺は一度迷宮都市クーリッヒを離れた。

まぁ、スケさんとしてはまだいるんだけどね。




さて、どこに行くかだが。


勇者パーティーを見学しに行こうと思う。


勇者と魔王との戦い。胸が躍る!


魔王は世界に10人いる。

そのうち人類に侵攻を仕掛けている魔王が3人。


オークの王、オークロードの魔王ブーモル。

死霊系モンスターの王、アークリッチの魔王アルモルド。

魔族のルミオン魔導大帝国の帝王アナスタシア。


ルーカスはこの3人の魔王を倒すことを目指している。

10人の魔王の中でも別格の強さを持つ3人を大魔王と呼んでおり、始祖の吸血鬼 バーバル、竜王 ダイヤ、レジェンドソーサリーフロッグの ルー・チャルロイド。

この3人には絶対に手を出してはいけないと言われているらしい。この3人を三大王と呼ばれているらしい。

この3人主催の魔王全員が集まる魔王パーティーがあるとかないとか。


そして今、勇者パーティーはアークリッチのアルモルドと戦争をしている戦場にいるらしい。

俺はそこに向かう。

ちなみにかなり劣勢らしい。倒された味方が次の日にはゾンビとして、次の日には敵として戦わなければならない。

味方の士気が全く上がらない、そして相手はゾンビやスケルトンだから素材なども手に入らず旨みもない。旨みがないから冒険者も離れてしまっている。


先日援軍の教会騎士団も到着し、要塞都市アガルでなんとか侵攻を食い止めているが、放棄する話も出てきているとか。


出発してから俺は聖女のねぇちゃんに恩返しをしなければいけないことに気がついた。


死神との戦いはほんとにギリギリだった。何が欠けても勝てなかった。

決戦前の聖女のバフを含めて。


今回の戦いで恩返しできることがあれば俺は返しておきたいと思う。


「今回だけは少し手を貸してやるとするか。聖女ちゃん元気だといいなぁ。」





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