第16話 ラスボスに挑む冒険者1

「やばい、やばい!!」

冒険者レオンは今スケルトンの大群に終われている。

トラップに嵌ってしまい、モンスターハウス状態となってしまい、逃げ出しているのだ。


レオンは不運だった。

幼い頃に村が魔物に襲われて村を失い、両親も失った。

その後は、ある鍛冶屋に拾われた。そこでレオンは奴隷のような扱いを受けていた。殴られるのは当たり前、仕事は朝から夜まで。ベッドは壊れており、ゆっくり休むこともできず働かされていた。だが行く宛もなく、幼いレオンは逃げることもできなかった。

その鍛冶屋の男はある日、冒険者に詐欺をしそれがばれて殴り殺されてしまった。

レオンは虐待から解放されたが、行く宛もなかった。その頃にはもう13歳だったため、鍛冶屋の少ない蓄えを持ち出し街で冒険者として生計を立てた。

そこでも、まだ13歳のレオンは冒険者にいいように使われた。通常より安く荷物持ちとして雇われ、なにかあると囮として使われた。

レオンが15歳となったとき、ある男に出会った。


勇者 ルーカスとそのパーティー。


初めてだった。レオンを人として扱い尊重してくれた人間達は。

レオンはいつものように荷物持ちとしてある冒険者チームに使われていた。

そして、そのチームがオークの討伐に失敗したのである。


「ぐぁ!いきなりな、にを…」

レオンはその冒険者チームのリーダーに急に蹴られて足を折られた。


「俺たちが逃げるまでの囮になれ。そのくらいなら使えるだろ?」


「そんな…」

レオンは逃げ足には自信があった。だから今まで囮にさせられても逃げ切ることができた。だけど足を折られてしまっては…


冒険者達はレオンから荷物を奪い、逃げ去っていく。


オーク達がレオンを囲んでいく。


「あー、くそ。ここまでか。碌でもない人生だったな…」


キンっ!


オーク達が次々と切られていく。


「大丈夫か!?」

駆けつけたのは勇者ルーカスとその一行だった。


「ヒール!」

美しい僧侶が僕にヒールをかける。


筋肉もりもりな強そうな武闘家の男がオークの頭を潰す。


ドラゴニュートの女性が次々とオークを切り殺していく。


あっという間にオークたちが倒されて行った。


カッコ良かった。圧倒的な強さで魔物を倒していく彼らが。


ルーカスはレオンの状況を聞き、怒ってくれた。そのまま冒険者ギルドに行き、告発した。

レオンがどれだけ冒険者ギルドに訴えても聞く耳を持たなかった冒険者ギルドがルーカスからの告発を受けた途端冒険者ギルドは、レオンを囮に逃げ出した冒険者達を捕まえ、冒険者登録を取り消し、警備兵に引渡し、牢に投獄した。


感謝してもしきれなかった。初めてだった。レオンのためにここまでしてくれた人は。

まさに勇者。弱者を救い、悪を挫く。


憧れた。優しくて強い勇者に。


それからレオンは街を出た。そして、レオンは20歳となり、強くなるためにある迷宮都市に行き着いた。

ラストダンジョンと言われる死の迷宮がある迷宮都市クーリッチに。


そして今、僕は大量のスケルトンに追われている。


「不運だ!あっ、行き止まりだ!くそー!!」

やるしかない!

レオンは壁を背に剣を構える。


レオンは自分に身体強化Lv2をかけ、スケルトンに切り掛かる。


スケルトンの剣が肩に刺さる。

痛いし、苦しいだが、止まるわけにはいかない。


スケルトンを次々と倒したが、僕も満身創痍だ。


スケルトンは残り3匹。


スケルトンが僕に切り掛かる、僕はその攻撃を避けるが、背後にいたスケルトンに背中を切られる。


「ぐあっ!くそ!」

僕は背後にいたスケルトンの首を刎ね、次のスケルトンに切り掛かる。

スケルトンは押し切られ僕に倒される。


最後の1匹が僕の腹を突き刺した。


「ゲホっ。これで最後だ。」

最後のスケルトンが突き刺した剣を僕は掴み、スケルトンの首を跳ね飛ばした。


僕は壁に寄りかかり、地面に座り込む。

血が流れて僕から流れ出る血で水溜りができる。どんどん暖かい血が流れて、体が冷えていくのがわかる。



「ゲホッ、ゲホッ。さ、寒い。あぁ、もうダメかな。強く…なりたかったなぁ。」



ー強くなりたい?ー


「えっ?」


ーここで終わらしたくないでしょ?ー


「だ、誰ですか?」


ーまだ生きたい?ー


「い、いぎたいです!」

誰でもいい。僕は強くなりたい。勇者 ルーカスのように!


ーじゃあ、約束してよ。俺を楽しませるってー


「楽しませるってどうすれば…ゲホッ」

あぁ、意識が薄れていく。


ー死の迷宮の最下層、玉座の間に来てよ。そしたら褒美になんでも君の願いを叶えてあげるー


「わかっ…た。行…くよ。最下層の玉…座の、間。」

さっきまで寒かったのになにも感じなくなった。手先の感覚も辛かった体の痛みも。


ー約束だよ、レオン君。君の冒険を僕に見せてくれー







ーパーフェクトリザレクション!そして、このスキルはサービスしておくよー



名前:レオン

レベル:10


職業:魔法使い


HP: 200

MP:80


攻撃力:70

防御力:50


敏捷:150

精神:85


スキル:身体強化Lv2 危機感知Lv1

成長加速(new)

特記:不運なる者。ーーーーと約束した者。







「主、なにをしているんですか?」

黒騎士が聞いてくる。


「あぁ、面白そうな子を見つけてね。この子なんだけど、この玉座の間まで来れると思う?」


「…天地がひっくり返っても無理でしょう。」


「そう思うよね。でも、もし来れたら…面白いでしょ?」

俺はそう言って笑う。


「その時は私が必ずお守り致します。」

黒騎士は膝をついて俺に忠誠を誓う。


「あぁ、いいね。その戦いも見たいな。」


ちなみに、このかっこいい黒騎士さんは俺が膨大なダンジョンポイントを使い、作り出したダンジョンの管理を任せている俺の側近だ。

俺を除き、我がダンジョンで最強の戦力だ。




名前:終末の亜神 アステリア

レベル:500

ランク:SSS

HP: 1200000

MP:1000000

攻撃力:80000

防御力:50000

敏捷:60000

精神:1100000

スキル:不滅 不死 トップモンスター 死の魔法Lv10 魔道Lv10 星の女神 星魔法Lv10 空間魔法Lv10


特記:死の迷宮のダンジョンマスターの側近。


決して近づいてはならない。









彼は生き返ったのは幸運だったのか。いや、不運だろう、ダンジョンのラスボスに目を付けられてしまったのだから。

彼にはさまざまな試練が課されるだろう。まさに不運である。


しかし、その不運を乗り越えた先にあるものは…

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