第7話 冒険者ギルド

俺は静かに恐怖のオーラLv5をワイバーンに手を向けて発動させる。


するとワイバーンはピタリと動きを止める。

そしてガクガクと震え始める。


俺は剣を抜いてゆっくりとワイバーンに近づいていく。


ワイバーンは後ずさる。


「ど、ドラコちゃんどうしたの!?早くやっちゃいなさい!」


もう主人の声など聞こえていない。それほどドラコは目の前のスケルトンが恐ろしくてたまらなかった。


どんどんワイバーンとの距離を詰めていくとワイバーンは飛んでどこかに逃げて行ってしまった。

レベル5は強すぎたかな?



「ドラコちゃんがスケルトン相手に…逃げた?」

縦巻きロールは信じられない状況に力が抜けペタンと地面に女の子座りになる。


「すごい!すごいよスケさん!」

アリアはぴょんぴょん跳ねて喜んだ。


へへ、逃げてくれてよかったぜ!普通にフィジカルで負ける。

スキルをもっと積めれば勝てるだろうけど、それはちょっとね。スケさん強くなりすぎちゃうし。





学校が終わると俺たちはギルドに向かった。


「ギルドでたくさん依頼をこなしてランクを上げるんですの!スケさんも手伝ってね。」


俺はダンジョンポイントで見つけた念話と言うスキルでアリアに話しかける。


ーなんでギルドランクを上げたいの?ー


「わぁ!?い、今頭の中に声が聞こえましたわ!だ、誰ですの?」


ーあっ、ごめんごめん。俺だー

そう言って俺は自分を指差す。


「スケさん!?あなた喋れたのですか!?」


ーうん。すごい?ー


「凄すぎますよ!喋れるモンスターなんて上位の賢いモンスターのだけですわ!やっぱり私のスケさんはすごいですわー!」

そう言ってアリアは俺に抱きついてくる。


ー別にお金に困ってないだろ?なんでギルドのランクを上げたいんだ?ー


「私、人々を助ける高ランク冒険者に憧れていますの!まぁ、1番は勇者様ですけれど!だから強くなってみんなを助けたいんですの!それが私、伯爵家ハードル・アリアの勤めでもあると思いますの!」


うんうん、いい子やなぁ。でも、勇者に憧れるのはやめなぁ。あいつ仲間置いてどっか行ったやつだし。まぁ、9割は俺が悪いけど。


ーじゃあ、俺がアリアを強くする手伝いをしよう!ー


「ありがとございます!勇者様の様に強くなりますわ!」


あいつあんまり強くないけどなぁ。


スケさんは知らない。

勇者が人間の中でどれだけ強者なのかを。そもそもここ数百年ラストダンジョンの本当の最下層に着けたのは勇者パーティーだけなのだ。それも初回でだ。

それだけでもどれだけ勇者と勇者パーティーが強いのか推しはかれるであろう。

しかし、本気で勇者パーティーがダンジョンを攻略しようとどれだけ時間をかけたとしても、本当の最下層は今までのそれとはレベルが違いすぎるため、勇者パーティーがラスボスの門までたどり着くことはなかったであろうが…



そうして気づいたら俺たちはギルドについていた。


「では、最初にどこかのパーティーに入れてもらいましょう!パーティーで動くのが冒険者の基本ですの。ちなみに今日はパーティーに入れてもらうだけで明日学校休みなので、明日依頼をこなしますよ。」


そう言ってアリアは受付に向かった。


「すみません。明日で臨時のパーティーメンバー募集しているところはありますか?」


「ありますよ。アリアさんは確かE級の魔法使いですよね。魔法使いを募集しているパーティーですと、今はE級冒険者のチーム、青い牙、虹の橋、賢い狼たちですね。おすすめは青い牙です。バランスがいいですからね。三チームともゴブリン討伐の依頼ですね。」


「じゃあ、青い牙で!」


「わかりました!あちらにいるのが青い牙のメンバーです。」


おい、待て!こいつらこないだ俺を追い回して殺した奴らじゃんか!


「受付に紹介されてきましたE級魔法使いのアリアです。よろしくお願いしますわ。」


「お!思ったよりはやく来たな!よろしくな!俺は青い牙のリーダー 剣士のヤームだ!」


「可愛い子がきてよかった!私は斥候のリカよ、よろしくね!」


「よろしく!私は僧侶のアムよ。」


おぉ、確かにバランスいいな。優しそうだし。でも、あの恨みは忘れねぇ。おい!ヤームがつけてる剣、俺が持ってたやつじゃねぇーか!くそ、食い殺したい!


「もしかして、そのスケルトンは君の従魔かい?」

ヤームがアリアに聞いてくる。


「はい!スケさんといいますの!とっても賢くて強いんです!」


「スケさんか!よろしくな!」


ーあぁ、よろしく頼むー


「「「喋った!!!?」」」


ふふふ、驚いてる驚いてる。少し溜飲が下がるな。

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