第74話 雀桜祭、開幕
大変お待たせ致しました。更新再開します!
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目が覚めて、すぐにカーテンの外を確認した。予報では曇りまたは雨だったけど空の大部分を水色が占めている。ホッと一息ついてリビングに移動すると、母さんが既に起きていて朝の情報番組に視線を向けていた。
「夏樹、良かったわねえ晴れて。一織ちゃんの晴れ舞台なんでしょう?」
「晴れ舞台かは分からないけどね」
「晴れ」と「晴れ舞台」がかかっているのか考えながら冷蔵庫を開け、キンキンに冷えた麦茶を手に取る。大き目のコップに注いで喉に流し込むと、体に纏わりついていた眠気が一気に吹き飛んでいく。
「私、見に行こうかしら。将来家族になるかもしれないんだし。後になって後悔しても遅いものね」
うちの母は一織にゾッコンだ。
流石に一織も彼氏の母親にはいつもの調子で接する事は出来なかったようで、それなりに余所行きの性格で「初めまして、夏樹さんとお付き合いさせて頂いている立華一織と申します」なんて挨拶していたんだけど、それにも関わらず母さんの目は最初からハートマークになっていた。
普通なら『男装』と「お付き合い」という言葉に疑問を持ったりするはずで、俺もそこはどう説明しようかシミュレーションを重ねていたのに、全てが無駄になった形だ。あとになって母さんは「息子の判断を信用しているだけよ」なんて得意げに言っていたけど、どう見ても一織の見た目に惚れこんだに違いなかった。
「いいんじゃない? でも一織が何をするのかいまいち分かってないんだよね。ミスコンには出るらしいけど」
「ミスコン? 一織ちゃんが?」
「うん。去年は出てなかったんだって。優勝確実って言われてるみたい」
「そりゃそうよ。一織ちゃん、とっても可愛いもの」
気恥ずかしいと同時に、凄く誇らしい気分になる。彼女を褒められるのってこんなに嬉しい事なのか。何より、カッコよさではなく可愛さを褒めてくれたのが嬉しかった。
「そうと決まれば準備しなくちゃね。夏樹は朝ご飯食べていく?」
「んー、俺は向こうで食べようかな。色々あると思うし」
「はいよ」
母さんがキッチンに歩いていく。テレビに目を移すと丁度星座占いのコーナーだった。占いを信じている訳じゃないけど、今日だけはしし座が1位であって欲しい。しし座のデネボラは春の大三角の一つで、一織の星座だ。
『今日の一位は…………しし座のあなた! 何をやっても上手くいく、そんな日になるでしょう。勇気を出して行動してみるのもいいかもしれませんね』
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