第34話 自衛隊員たちは黙って耐えています!
自衛隊員たちは黙って耐えていました。
反論すると百倍になって返ってくると思っているのでしょうか。それとも、黙って耐えなさいというマニュアルがあるのでしょうか。
怒号を発する団結鉢巻さんの目をジッと見つめたまま、直立不動の姿勢を自衛隊たちはとっていました。10人くらいの自衛隊員がまるで銅像のように微動だにしないのです。
トイレから戻ってきた1人の自衛隊員もその隊列に加わり、手を後ろに組んで銅像のように立ちました。
羽交い締めにされた筋肉質の団結鉢巻さんが、自衛隊員の胸板を小突いていました。倒れるような強い突き方ではなく、肩が少し揺れる程度に2本の指でツンツンと突いているのです。
突きながら「何だよ、テメエはよぅ。何さらしてくれてんねん。アイツらアメ公は、日本の敵だろうが。アイツらがいまだに日本を占領してるんじゃねぇか! 日本の女が弄ばれてんだぞ。いまこそ戦えよ。ワレェ!」
酔っているのでしょうか。筋肉質な団結鉢巻さんは、フラフラした足取りで、自衛隊員さんから離れたり近づいたり、ときにぶつかったりしていました。
自衛隊員さんは、何も言いません。黙ったままです。
米兵を襲っていた団結鉢巻さんたちを外へ連れ出したあとの指示を待っているのでしょうか。店のなかで米兵たちと話し合っている隊長さんを見守っていました。
団結鉢巻さんたちは、米兵を殴ったり、噛みついたりしていましたから、間違いなく傷害罪が成立します。警察を呼んで引き渡すこともできますが、隊長さんは、どう判断するつもりでしょうか?
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