第33話 本当の敵は誰なんでしょうか?
団結鉢巻さんたちは自衛隊に抗議しました。
自衛隊を囲んで「お前たちは違憲なんだよ!」とか「人殺し集団!」などと怒気を含んだ声を向けていました。
店内で最初に暴力行為をしたのは団結鉢巻さんのほうです。黒人米兵の胸ぐらをつかんだのは、筋肉質な団結鉢巻さんでした。
黒人米兵はその手をねじ曲げて取り除いただけですから、ある意味専守防衛といえるでしょう。そのあと、黒人米兵が団結鉢巻を突き飛ばしました。
そこから、騒ぎが大きくなったのです。
そこで、わたくしがすぐに警察を呼べばよかったのかもしれませんが、警察が駆けつけるまで何分かかるでしょうか?
その間に、何人かの怪我人が出てもおかしくない状況でした。
それを無事におさめてくださったのが自衛隊の方々でした。
いままでゴー・ホーム、ヤンキーと言っていた団結鉢巻さんたちは、今度は自衛隊を責めはじめたのです。
わたくしは心配になりました。
クリシュナさんに「わたくし、ちょっと外の様子を見てきます」と言って出てきました。今度、暴力が出てくるようでしたら躊躇することなく警察を呼ぶつもりです。
沖縄の大晦日の夜は、少し肌寒い感じがしますが、風は心地よいものでした。
団結鉢巻さんたちは、騒いでいました。常に敵を作らなければいけないのでしょうか?
思えば、団結鉢巻さんたちは、いつも敵がいて、その敵を激しく攻撃しています。日本という国を潰そうと考えているのでしょうか。
テレビでデモ隊が機動隊と衝突する場面を見たことが何度かありますが、政府が悪い、天皇が悪い、神道が悪い、自衛隊が悪い、アメリカが悪い、アメリカの基地はいらない、平和憲法を守れ、などと言っていつも怒っているようにわたくしには見えるのです。
そんなことをやって幸せになるのでしょうか?
もっと笑顔で暮らせないものなのでしょうか。
本当の敵は誰なんでしょうか?
私には、善良な人間同士がいがみ合っているだけのように感じるのです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます