第30話 ついに勃発! 米兵と喧嘩に!

 ミドリさんの悲鳴にビックリしました。

黒人米兵は酔っているせいか、ヘラヘラと笑っておられますが、わたくしは、とっさにミドリさんが襲われているのではないかと思ってしまいました。


しかし、黒人米兵にはそんな乱暴を働く意図はなかったようです。

ミドリさんに謝っていました。


わたくしは、学生時代に英語留学をしていた経験がありますから、多少の英会話はできます。

黒人米兵が謝っていることや、美しい女性だったので挨拶しておちかづきになりたかったことなど、黒人米兵が話していることは理解できました。


しかし、ミドリさんには、理解できていないようでした。


 ミドリさんは震えていました。クリシュナさんに助けを求めます。

レジカウンターの扉を開けるようにクリシュナさんに言い、開いたら、すぐにカウンター内に入って、クリシュナさんにしがみつきます。


「怖い」と言って、ミドリさんは、クリシュナさんの影へ隠れてしまいました。


 クリシュナさんは黒人米兵の前に立ちはだかります。

鋭い視線を黒人米兵に向けています。


そして、ゆっくりとした口調で「ゲッ、ラ、ウト、ヒア(出ていけ!)」と言いました。そして、怒りを込めて睨みつけます。


 ヘラヘラ笑っていた黒人米兵の顔色が急変しました。


やるのか? やるなら、相手になってやるぞ、とでも言いたげな表情で、黒人米兵はクリシュナさんを睨みました。


黒人米兵は背が高くて二の腕も太く、たくましい胸板をしていました。



一方、クリシュナさんは、細っそりとした軟弱な体型です。喧嘩したら、ひとたまりもないでしょう。


 白人米兵たちがやって来ました。


さきほどまで、団結鉢巻とガンの飛ばし合いをしていた人です。

白人米兵は、黒人米兵の肩に手をかけて「何かあったのか? 塹壕の友よ!」と英語で言いました。


その後ろには、もう1人の白人米兵が控えていて、喧嘩になったらいつでも攻撃できるような臨戦体勢の構えでした。


背の低いアジア系米兵は、日本人女性たちと一緒に、こちらを注視していました。


2人の日本人女性は、こういうことに慣れているのでしょうか。

楽しそうに笑っていました。1人はチューイングガムを噛みながら、もう1人はカフェラテを飲みながら見物していました。


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