はなさないで・・・

もる!

はなすなぁぁぁっ!!!

俺は、平凡で平凡で平凡な男子中学生。

今となっては、不登校だ。

あ、いじめとか暴力とか体罰とかそういう系統のではないから安心してくれ。

でも、引きこもりのままだと色々と危ないから、最近は外にきちんと出て散歩をするようにしている。

いいだろう?

引きこもりでもきちんと運動するやつだっているんだ。えらいってほめてくれよ・・・(誰も褒めない)

ん?あ・・・?え・・・?わー!!!!!!!!!

やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい!!!!

あそこに、崖から飛び降りようとしてる人がいる!!!

俺は、その人を死なせないために、大急ぎで走る。

俺のところからは一キロ以上離れている。

そして、俺は、5年ほど引きこもってたため、もとから早くない足がもっとおそくなっているのだ。

でも、俺は、走って走って走りまくった。

そして、やっとついた。

飛び降りようとしていたのは。

俺を、やつだった。

それでも、それでも。

俺は、助けるために、頑張って説得した。

「これから幸せがあるんだよ!絶対だ!賭けてもいい!」

「ほんと・・・?でも私は、幸せになる価値はない。権利もない。だって、あなたを、引きこもりにしたんだもの」

「でも、引きこもりにされた本人が言ってるんだからぜってーだいじょうぶ!」

「そう・・・ありがとうございます」

彼女はニコリと笑った。

************************************************

俺は、今日も散歩をする。

朝の空気はとても寒いが、それがいい。

空気がきれいだ。

小鳥の鳴き声や、子供のはしゃぎ声。

犬の可愛い鳴き声だって聞こえる。

車のエンジンの音。

5時を示す鐘の音。

スーパーに行くおばさんの独り言。

いろいろな音が、俺を、優しく包み込んでくれる。

「はははっ!愉快だなぁ!!!」

子供や周りの大人たちが、ぎょっとした顔で見るのがわかった。

あ。

また、あいつが飛び降りようとしている。

一応駆けつける俺。

「また降りようとしてるのか?」

「うん」

彼女は、飛んだ。

俺は、彼女の手首をつかむ。

「離さないでね・・・」

彼女はそう言う。

「私には幸せになる権利があるんでしょ・・・?」

そういう彼女。

俺はめんどくさくなって彼女の手首を手から離した。

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