異世界コンビニの深夜番
鳳亭風流
プロローグ
コンビニの多くは二十四時間営業である。
そして、深夜にご来店されるお客様は印象に残りやすく、あだ名で呼ばれることもある。
「そろそろ『勇者』が来る時間かな」
「だね」
「お、ウワサをすれば」
「らっしゃっせー」
以前『傷薬ありませんか?』と聞いてきたお客様がいて、それ以来スタッフ間では『勇者』と呼ばれているお客様もいる。
店の前にはヤンキーではなく、モンスターがたむろしている。
コンビニが異世界へ転移してからそろそろ一年。
オーナーに提案してキャンペーンでもやりたいな。
でも『本部に許可取れないから…』と渋るんだろうな。
レジや発注のシステムはそのまま使えるし、商品の配送も滞り無く来るし、ポイントカードやクレジットカードの利用もできる。
その上、ネット通販などの商品引き取りもできるので意外と繁盛しているのかもしれない。
「お世話んなりまーす」
今日もガーゴイルの『新聞屋さん』が納品に来て、昨日の売れ残りを引き取っていく。
「配送チェックお願いします」
ルートドライバーのスケルトン『深夜便』が週刊マンガ雑誌のネタバレをぶっ込んでくる。
「おつかれっすー」
ケンタウロスの『陸上部』が人気アニメのくじ引きをしに現れる。
「おやすみー」
ラミアの『ギャル』がサラダチキンと美容系ドリンクを買っていく。
今夜もそれなりに忙しそうだ。
異世界コンビニの深夜番 鳳亭風流 @fool108
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