第4話 モチベーションはランニング以外にしろ

「ランニングを続けて、走れる距離が長くなった!」「いつものコースを新記録で走れた!」


 日々成長していく自分にワクワクして、どんどんモチベーションが上がって、走るのが楽しくて仕方がない。

 周りからは「最近なんか痩せて美人になった?」と言われていい事ばっかり。

 このようにモチベーションがグングンと上がっていき、いつの間にか市民ランナーになり、マラソン大会などにも参加するようになっていく自分。そこで出会うランニング仲間と日々励まし合い、切磋琢磨して、また階段を駆け上がっていく。


 そんなものを想像しているのだとしたら、そんなヤツ、百人に一人くらいのエリートだけだから、夢なんぞ見るな。

 まず、ランニングは筋肉があんまり付かない。もっと言うとスタイルが良くなるって言うより、やつれた感じになるので、スタイルが良くなりたいなら筋トレをしましょう。


 まず「走れる距離が長くなった」「走るスピードが速くなった!」「成長していく自分にワクワクする!」


 こんなものをモチベーションにするな。これは麻薬と同じ、ダメ人間をダメにする原因です。

 もしかして、アナタ、このランニングという趣味を通じて、規則正しい生活を送って自己管理ができる人間になろうとしているのだとしたら、寝言は寝て言え。ダメなやつは死ぬまでダメだから。


 本当はエリートなのに「自分はダメだ」と勘違いしていた奴が優秀になる事はままあります。 

 でも、ダメな奴は、ずっとダメです。たまに「なんか自分が変わった」って気がするけど、気だけ、本当に変わることはない。


 なぜ上の三つをモチベーションにしてはいけないのか?

 そんなものはすぐに頭打ちになって、全然成長しない自分に嫌気がさすからです。


 何度も鬱陶しいくらいに言います。

 モチベーションは上げるな。いずれ必ず下がるから。

 長続きしたいなら低い位置をキープして、ダラダラやれ。


 そりゃ最初は走れる距離はどんどん伸びます。だけど、それに託けて5キロ、8キロ、10キロって短期間に距離を伸ばしてしまうと、前にも言いましたが簡単に怪我をします。


「一キロのラップ、十五秒もタイムが縮まった!」


 これが一番タチが悪い。てか、お前、スマートウォッチ買っとるがな! 買うなって言っただろ!


 家にナマハゲ呼ぶぞ。


 なぜなら、縮まるタイムはどんどん短くなっていき、すぐに頭打ちが来ます。あと無理に速く走ったら、怪我をします。


 怪我は絶対にダメ。

 長期間の離脱は習慣化には天敵です。


 アスリートじゃないんだから、アナタたちはモチベーションを上げてはダメなんです。

「ただ、なんとなく走り出して、なんかダラダラ続けてたら、なんか二年とか走ってたわ」

 こんなのを目指して下さい。


 考えて下さい。

 アナタが習慣にしてることって、最初、モチベーションが高かったものなんてないでしょ?

 歯磨き、風呂、食事、会社。

 ただなんとなく続けてたら、辞める勇気もなくてなんとなく続いただけの物ばっかのはずです。習慣なんてそんなものです。


 動画とかの啓発物はやたらモチベーションを上げようとします。その日はやる気満々になります。

 でも、モチベーションを上げると、反動で下がった時に一気にやりたくなくなるのです。で、凡人の精神力では下がってしまったモチベーションでやり続けるのは無理、無理、無理!

 だからモチベーションを上げない状態で続けるんです。

 習慣になるまでその低いモチベーションを維持して逃げ切る。低いモチベーションで続けてしまえば、いつも平常心を維持できる。


 もっと言えば、昨日のタイムを上回るとか言って、ランニングで速く走っちゃダメです。

 自分が走れる一番楽な速度を維持して走って下さい。

 大丈夫。体が温まってくると、最低速度を維持していても、なんか知らないうちに速くなりますから。


 で、じゃあポテちゃん、アッシは何をモチベーションに走れば良いんだ? こんなのただの奴隷じゃないか! と思った方、安心して下さい。


 アタイだってバカじゃないです、多分。

 何にも楽しくないアタイのランニングライフにも楽しみはちゃんとあります。

 これは簡単です。

 走ることには何一つ期待しないのですから、走ること以外をモチベーションにして下さい。


 ストリートファイターのプロゲーマーのカワノさんがとても良いことを言っていました。

「なんで、筋トレをするんですか?」

「筋トレ後のシャワーが気持ちいいからです」と。

 

 はい。

「なぜ走るんですか?」

「走った後のシャワーとビールが最高だからです」

 モチベーションはこれだけで十分です。

 アタイのランニングの唯一のモチベーションは走った後の風呂が気持ちいいのと風呂上がりに飲むコーヒー牛乳が美味しいからです。


 だから冬よりも夏の方が走るのは好き。汗かけばかくほど、走った後が楽しい。て言うか、冬のランニングは本当につまらない。何にも楽しくない。


 だから無理に冬に走らなくていいと思います。


 要するにランニングって無料で入れるサウナだと思って下さい。


 夏の暑い日に走った後の風呂は本当に気持ち良いです。これは確かです。アタイなんて、無理に厚着して汗をいっぱいかく工夫までしているくらいです。


 別に飲み物とかは自由でいいですし、アイスでもなんでもいいです。走った後の楽しみをなんか作って下さい。


 決して走ることをモチベーションにしないように。

 走ることは、風呂上がりの楽しみのための過程にすぎません。

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