第2話 走る前にランニングウエアやシューズは買うな

 もしかして「ランニング始めるにあたって、ウエアとかシューズとか買ってモチベーションをあげよう。何買おっかなぁ」とか思ってません?


 悪い事は言わない。金の無駄だから買うな。アタイのランニング塾では一切買わせんぞ。なんせスパルタだからな。アディダスとかナイキで全身を一式揃えようとか、そんなウキウキするイベント一切無いから覚悟しろ。


 まず、最初に一番大事なキーワードを書いておきます。


『モチベーションを上げるな』


 これが一番大事。

 モチベーションは高いほどいいと思っていたら大間違いですよ。モチベーションはやる気の前借りなので、上がったら上がった分だけ落ちます。

 だから大会とか期限がきまってるものに合わせてモチベーションを上げるのは効果ありますけど、趣味みたいな延々と続くものにモチベーションは逆効果です。特にアナタたちみたいな意志の弱い人には。


 走る素質のない人間がランニングを長続きするコツは『モチベーションを上げないこと』です。

 もうダラダラ走れ、一生懸命走るな。

「走るのが楽しい!」とかそんな行動原理で動ける走る才能がある人はほんの一握りだ。で、残念だけど、アナタはそれじゃない。だから、そんな人の行動原理を真似してたら、走るのがどんどん辛くなって二ヶ月で辞めます。

 何度も言いますが、アタイみたいな走るのが嫌いなど底辺は十年走ろうが百年走ろうが、走るのが楽しいとは思えません! 

 だから「なんか知らんけど、ただなんとなく走ってます」このモチベーションを貫き通せ! 


「なんか走ってる」


 これ大事! すごい大事! マジで大事! もう「神様に命令されてイヤイヤ走ってます」って感じで走って下さい。とにかくモチベーションは極力上げないで下さい!



 あと、他にも買わないほうがいい理由を列挙していきます。


0、そもそもランニングなんて、家にある在り合わせの服と靴で事足りる。


1、そもそも続くか分からないから、金をドブに捨てる事になる可能性の方が高い。


2、高い買い物をした事が走ることのプレッシャーになる。


3、買うべき時がいつか来るから、その時まで待ちなさい。



順に説明して行きます。


0、そもそもランニングなんて、家にある在り合わせの服と靴で事足りる。


 剣道着がないと剣道はできませんが、ランニングは全裸でも背広でもできます。


 アタイはまず親からランニングシューズを貰ったので、ただ何と無しにランニングを始めたと、最初に言いましたので、事前にシューズは持ってました。ニューバランスだった。

 で、走り出した時のアタイの服装は寝巻きでした。正確にはTシャツと寝巻き用のハーフパンツ。

 走るのなんて、これで事足りるんです。

 家にハイヒールと下駄と鎧しかないって人は流石にシューズと服を買って下さい。でも安いので構いません。

 初期投資はなるべく0円に抑えて。これ、結構大事です。

 なぜなら初期投資が安いほど、止めた時に後ろめたさとかないでしょ? アナタたちは走るのに向いてないんだから、無理して走らなくていいのよ。むしろ、止める為に走るんだから、安いのでいいのよ。



1、そもそも続くか分からないから、金をドブに捨てる事になる可能性が高い。


 勢い余って、上の項で話してしまいましたが、その為です。と言うか止める可能性のが高いですから、高い確率で無駄金になります。

 アタイの周りにもアタイに感化されて、ランニングを始めた人が何人かいました。そんで、遅れて初めて奴に限って、なんか見栄張って高い靴とかウエアを買うんです。で、アタイに自慢してくるんです。クソうざい。

 で、アタイは内心で「うわw そんなもん買ってもどうせゴミになるのにw」と思ってました。

 で、半年後、ランニングを続けていたのはアタイ一人でした。


 だから、走る前に高い投資をしないで下さい。高い投資をすると止める時に自己嫌悪になって、別の趣味を始めるハードルが上がってしまいます。


 後腐れなく止める為に、金は使わないで。



2、高い買い物をした事が走ることのプレッシャーになる。


 行動もしていない時点でモチベーションが高いと言うのは、凡人の趣味にとって大敵です。

 ランニングを始めて暫くすると、なんか走るのが億劫になって来ます。その時に内心では「今日はサボりたい」とアナタは思います。

 でも、最初に高い金を払ってしまっていると「勿体無い」という気持ちが働いて、走りたくも無いのに走る。言わば『走らされる』と言う状態になります。

 しかも、これだけでは終わりません。

 走る前に高い金使って見栄を張ってしまった手前、周りの人たちには「いやぁ、走るの楽しくて仕方ないよぉ」って人生をエンジョイしているフリをしなければならなくなります。馬鹿だから。「あんな高いもの買って、ドブに捨ててるw」って陰で笑われたくない一心で。

 こうなったら、「ああ、あと一ヶ月で止めるな、こいつ」と内心、みんな確信します。で、辞めます。

 大体、「怪我した」ってアホな嘘吐いて止めます。「走りたいのに走れないで止める」って感じを作るために。全然、足引きずらずに歩いてるのに。

 辞めた後は「あんなもんするだけ無駄」とか自分を正当化しようとランニングの悪口を言い出します。

 嘘を嘘で塗り固めた感情ほど厄介なものはありません。こうなったら、どんな趣味でも長続きしません。


 だから言います。モチベーションを上げるな、と。過度な期待をせず、安い服と安い靴で、ちんたら走って下さい、最初は。


 で、合わないと思ったらスパッとやめて下さい。他行け、他。



3、買うべき時がいつか来るから、その時まで待ちなさい。


 だからと言って、一生、安いもので走ってろとは言いませんよアタイは。

 そりゃ、ナイキの二万以上する厚底シューズがどれだけ凄いかもアタイは嫌と言うほど、知ってます。アタイも履けるなら履きたいよ。


 でも、最初に買うものではありません。


 安い服と靴で走っていると、買うべき時ってもんがやって来るんです。

 

 例えば、夏の暑い日に普通のTシャツで走ってたら、汗が染みたシャツが背中や腹にベトベト張り付いてきて不快極まりません。

 

 その時に速乾性のドライシャツが欲しくなります。


 この時に買って下さい。

 それで、それを買って走ったら全然体にシャツが張り付かない。この喜びったらありませんから。「人類の科学すげー!」って感動しますよ。

 靴も、なんか足が痛いと感じ始めたら、ナイキとかのシューズを買えば良いのです。もう、ナイキの地面を弾き返す勢いに感動しますよ。


 そう、最初にこう言う良いものを買うと、ろくにランニングをした経験のない人は、その高性能さの「何が凄いのか」が分からないのです。


 だから走る前には買わない方がいい。

 

 長く続けたら、絶対に買うべき時が来ますから。


 まぁ、それでもアタイはユニクロのドライシャツ以上のものはいらないと思いますけど。




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