超巨大な王女様に転生したオレ氏、超でっかわいい!

プロローグ 『その日、人類は思い出した』


 いつだって人生というものは、なにをやっても絶対にうまく行かないものだと思う。

 小学校に行こうものならイジメに遭い、中学校で更に酷くなり、通信制の高校に行く頃には、あまりの出来損ないすぎる息子に父親から「お前の事を一生恨んでやる」と言われる始末。

 二十代を過ぎても失敗失敗失敗に、更に続く失敗の連続。

 この年になるまでに嫌になる程の失敗を繰り返してきた。


 でも、別にそれほど異常な人生ではないだろう?

 小学校に入る頃には学級崩壊という単語が世間をにぎわせ、中学校の頃にはアスペルガーだの発達障害だのの言葉がニュースで飛び交い、高校に入る頃には世間への不満を滾らせた異世界転生系のウェブ小説が溢れかえっていたのを今でも覚えている。

 みんながみんな、自分の人生は最悪だと嘆くのが今の社会だ。


「やっぱりさ、お前もそう思うだろ?」


 満点の星空の下、中央の篝火に照らされた森の中で、木の椅子に座りながらオレの話を聞いている目の前のエルフ耳の幼女に言う。

 そんな俺の持論に、エルフ耳の幼女は可愛らしいAIボイスチェンジャーの声で呆れ声をだした。


「はぁ。君さぁ、そんな話題ばっかりだからメタバースの古参ユーザーからブロックされまくるんだよ……」

「わかってるよ。まあ、お前は俺みたいな奴にはなるなよ? このメタバースの最古参のオレが言うんだから間違いない」


 エルフ耳の幼女はオレの言葉に、ヤレヤレといった様子だ。

 まったく、このカワイイおっさんめ。

 まあ今の自分もカワイイ美少女なので容姿の事は茶化せないのだが。

 そんな目の前のエルフ耳の幼女は言う。


「まあ、僕は君のその性格は好きだけどね」

「おう、ありがとな」


 こんな性格のオレを肯定してくれるエルフ耳の幼女に感謝の言葉を贈ると、エルフ耳の幼女は少しうれしそうな雰囲気だ。

 そんなエルフ耳の幼女は俺が作り出した薄暗い社会の闇の話題から反らす様に「そういえばさ」と話題を変える。


「今日のニュース見た? 北の将軍様のニュース」

「んぁ? ……ああ、あの核弾頭を詰めたミサイルを準備しているってやつか」

「そう、それそれ」


 そのニュースは今日、世間を大いに騒がせているニュース。

 核兵器を作りアメリカと西側に脅しを頻繁にかける北の将軍様が、なんと今回はガチで核兵器を積んでいるという話が流れているのだ。

 事の発端は三十八度線で韓国軍との不幸な行き違いによる銃撃戦が起こり、それを受けて韓国軍が巡航ミサイルで主要拠点を爆撃、それに怒った将軍様がソウルに数十発の迫撃砲を発射したことで、アメリカ軍が大量に韓国と日本へ海兵隊を派兵した事に端を発している。


 ほんと、日本を巻き込まないでほしいよ。

 まあ流石に核攻撃なんて出来ないとは思うけどさ。実際にロシアの大統領だって自国の領土を攻撃されても、核なんて使わなかったんだし。

 エルフ耳の幼女に言う。


「どうせ今回もハッタリだろ。ロシアの大統領だって核は使えなかったんだぞ」

「まあ、そうなんだけどね。でも、ちょっとワクワクするじゃん」

「格で脅されてワクワクって……」


 不謹慎な事を言うエルフ耳の幼女。

 まったく、昔はこんな事言うやつじゃなかったのに、いったい誰に毒されたのやら。

 そんなエルフ耳の幼女は嬉しそうにオレに言う。


「だって、もしこれで核弾頭を撃ってきてさ、それで死んだとするじゃん?」

「おう」

「そうしたらさ、僕たちこんな美少女の姿でメタバースやってるじゃん?」

「おう」

「てことはさ、もしかしたら『メタバースの世界で美少女になっていた俺、気が付いたら異世界で最強美少女になっていた!』的に、ありきたりな異世界転生が出来るかもよ!」


 草生える。

 本当にそんな事が起こったら、オレは北の将軍様に泣いて感謝する事だろう。



○○



 絢爛豪華な洋風の自室で、目の前の姿見に映る、輝く銀色のロングヘアをした碧眼の十二歳程のドレス姿の美少女を眺め、つい呟いてしまう。


「いや、本当にそうなるとは普通は思わないでしょう……」


 その碧眼の瞳で呆れ、その美しく輝く銀髪を後ろからメイド服の侍女に櫛で梳かれている、目の前の姿見の美少女。

 あの日、エルフ耳の幼女の姿をしたメタバースのフレンドが言った、何気ない上に不謹慎が極まる話。

 あの時はネタとして面白がっていたが、まさか本当に異世界転生するとは思いもしなかった。


 それにしても神様や。

 其方は何故この姿を選んだのか。

 まさか其方は偉大にも神様であせられるのに、野郎をTSした上で転生させる性癖をお持ちだというのか。


 残念ながら転生する時に神様らしき人物とは出会っていないので、その真相は分からずじまい。

 今後も判明する事はないだろう。

 そんな私の様子に、私の頭を櫛で梳いているメイドが不思議そうな様子で、今しがた私の自室に入ってきたメイド長に言う。


「メイド長、シルフィーナ様が変な独り言を呟いておられます……」

「よくある事です。気にせず仕事を続けなさい」

「は、はぁ…… そうですか」


 そう言って櫛で私の頭を梳き続けるメイド。

 それ見て満足そうにメイド長は言った。


「今日はシルフィーナ様の大事な晴れ舞台。このルナリア王国の第一王女、シルフィーナ・ルナリア様が祝福の儀を受ける大切な日です。心してシルフィーナ様を着飾るのですよ」

「は、はぁ……」


 張りきった様子のメイド長の言葉に、私の頭を梳くメイドは気の抜けた生返事を返す。

 そんな様子のメイドに、メイド長は語気を強くした。


「なんですか、その返事は! この日がルナリア王国でどれだけ大事な日か、分かっているのですか!? もっと…… それこそ女神メルナ様に慈悲を請う様に真面目に仕事をなさい!」

「め、女神メルナ様への祈りの様に…… ですか……?」

 

 女神メルナ様がなんたら、という、この世界での大人特有の言い回しで喝を入れるメイド長。

 まだ子供の私には女神メルナ様が何なのか知らないが、後ろに立っている二人の何とも言えない嚙み合わなさを、目の前の姿見越しで見ていて、なんだか少し落ち着いてくる。

 今日は、この世界の十二歳の大事な祝日。

 この世界の子供は十二歳で神殿にてスキルを授かる。

 そう、あの異世界転生でよくあるスキルを神様から貰うのだ。

 

 正直、緊張している。

 今日のスキル取得で、その後の人生が大きく変わると言われているし、良くないスキルを貰ってしまった時の事を考えておかないと。

 私は只の十二歳じゃないんだ。

 こんな大事なイベント、リスクヘッジの事はいつだって頭の中でシミュレーションしておかないと。



――――【あとがき】――――



・ついに始まりました!

 実質的な第二作目の『女神シルフィーナ編』です!

 このプロローグはどうでしたか? 気に入って頂けたなら、よければ★レビューをください!

 小説最新話の下記か、小説トップページの下記から★レビューが投稿できるので、よければ★レビューを沢山ください!

 それでは、続きをお楽しみに!


・皆様に質問というか、アンケートです。

 よろしければ応援コメントにて回答よろしくお願いします。

 早速の本題ですが、皆さまは、どういった経緯で私の小説を発見したのか教えてくれませんか?

 おそらくですが、私の小説を読む人はカクヨムの検索窓でキーワードを入力して検索結果から来たと思いますが、その際の「検索ワード」及び「更新順 or 週間ランキング」のどちらから飛んできたか、その二つをお教えしてほしいのです。

 大事なアナリティクスなので、よろしくお願いします。

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