第16話 解放
「みーみ、このお家がいい! 皆、早くここ入ろう!」
みーみがそう言ってログハウスに入った。
その後ろに続いて行ったのはもちろん、もーもー。
そしてボクも入って、最後にぺんぺんがプレートを在室中にして、ログハウスにボク達は全員入ったのだった。
ログハウスの中は温かみのある雰囲気で、ライトも優しくて明る過ぎず暗過ぎない絶妙な明るさだった。
テーブルには「こども達からお願い」と書かれている紙や、街の地図、お店屋さんの紹介なんかがある。
ボク達はそれを見て、「明日が楽しみだね」と言いながら、こどもの森への期待を隠せずにいた。
やがてやってくる眠気……。ぬいぐるみの時はこんな風に眠くなったりしなかったのに、疲れを感じたりするということは、やっぱりボク達はこの世界で生きているんだなぁと実感した。
ベッドに入ったボク達は、それぞれ自分のタイミングで眠った。
ボクは窓から見える月を見て、明日は何があるのだろうという期待と、不安を感じ持っていた。
そう言えば、お姉ちゃんが言っていた。
「月は嘘つきだから、信用しちゃいけないよ。でも、優しいから、つい、その仮初の優しさに寄り掛かってしまうんだ。人間というのは弱い生き物だね。ぽてと達は、そんな風になっちゃいけないよ。全てに正しくあれとは言わない。だけど、嘘つきさえも信じる優しすぎる人にならないでほしい。その優しさは凶器にもなるんだよ」
言葉の意味はあまり理解出来ない。ボクはお姉ちゃんと違って学も何もないから。
だけど、わかるのは、信じすぎるのもいけないということ。でもね、お姉ちゃん。ボクは、お姉ちゃんの意に反することかもしれないけれど、騙される側でいいから、何でも信じてあげられる、そんな人になりたいんだ。
――そうすれば、お姉ちゃんだって苦しみから解放されるはずなんだ。
そんなことを思いながら、ボクの意識はゆっくりと闇の中に沈んでいった。
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