第15話 こどもの森
飛行船の中は客室がいっぱいあって、空いているところならどこでも使っていいみたいだった。
なんと、ベッドまである……!
みーみともーもーはベッドにダイブして、しばらくすると二人して眠りに就いた。
そしてボクとぺんぺんは二人でソファーに座って外の様子を見ていた。
「お空を飛んでるよー! うわぁ……! 凄いなぁ……!」
「そうですね。それに空を飛ぶということは人類の長い長い夢でもあるそうですよ。その意味が、わかるような気がしますね」
「うん! それにしてもぺんぺんって頭いいね! なんでそんなに知識があるの? こっそりお姉ちゃんの通っていた大学にでも連れて行ってもらったの?」
「いえ、そんなことは……。それに、ぽてとさんより後に来たんですよ。僕。お姉ちゃんが大学卒業してからですから、僕がぽてとさんの弟になったのは。知識に関しては、日頃、ニュースなどが流れている時に覚えたんですよ。あと、考えることが好きですから。もし、鼻にかけたようなことを言ってしまうことがあったらすみません」
「そっか! ぺんぺんはいろいろ知ることや考えることが好きだとは思ってたのだけれど、ボクが思ってた以上にもっともっと大好きだったんだね! 納得! あ、ねえねえ。見て! 空の色が変わって、なんだか、凄く綺麗……!」
「……そうですね。とても綺麗ですね。空の表情は一度として同じものはありませんから、余計に美しいのでしょう」
ボクは滅多に見れなかった夕日を見て、凄く嬉しかった。
いつもお部屋の中だったし、窓から夕日が見えるようなところにはいなかったから、こんな景色を見られるなんてとても嬉しい。
でも、欲を言えばお姉ちゃんとも、一緒に見たかったな……。
いつか。いつかは一緒に見よう。お姉ちゃんと、彼氏さんをぬいぐるみ王国に招いて、夕暮れを皆で見るんだ!
ご馳走をいーっぱい並べて、いろいろお話しもして、それから皆で笑うの!
ボク達に涙は似合わないからね!
「ぽてとさん、ぽてとさん。何だか、とても楽しそうな顔ですが、何を考えているのか、教えてくれませんか? 僕も笑顔になりたいです」
「うん! ぺんぺんにも教えてあげるね! ボクのぬいぐるみ王国について!」
それからしばらく、ボクはずっとぺんぺんにぬいぐるみ王国の理想について話した!
ぺんぺんは相槌を打ってくれて、そしてよく話を聞いてくれるから、ボクは調子に乗って長く話してしまった。
それでも嫌がらないでぺんぺんは話を聞いてくれて、ボクが気づいた時には結構な時間が過ぎていて、「ごめんなさい」と謝った。
でもぺんぺんはボクを怒らずに「一生懸命になれることがあるのは幸せですからね」と言って笑って許してくれた。
懐が大きい。ボク、ぺんぺんにいろいろ学んだ方がいいのかもしれないなぁと思った。
そうしてボク達はのんびりと飛行船の中で過ごしていると、アナウンスが入る。
「まもなく、こどもの森。こどもの森。大人も大歓迎。こども達による、森でのおもてなしをご堪能ください。きっとあなたに寄り添えるこどもがいる、こどもの森へようこそ。そして、こどもの森で降りる方々は太陽がもう一回昇って、傾き、夕陽が差し込むようになる時間にまた次の飛行船が参りますので、再び飛行船に乗りたい方々はそのお時間までに飛行船乗り場までお集まりください。よき旅をお祈りしています。グッドラック」
「みーみ、もーもー! 起きて! こどもの森に着いたよ!」
その言葉に二人は飛び起きた。
「新しいところー!」
「ももー!」
大きな木々が集まって空を覆うようにしていて、茜色が幻想的なその光景を見た二人はため息をついた。
「素敵……!」
「もーもー……!」
そしてボク達は飛行船を降りて、ぺんぺんがうーちゃんから貰った世界のガイドブックを見て、とりあえずホテルに行こうという話になった。確かに、今日はもう疲れたから、その方がいいとボクも思う。
ぺんぺんが先導をして、ボク達はその背中を追いかける。
道を歩いていてわかったのだけれど、こどもの森の街頭は光る花で、見ていて心が凄く落ち着く感じがした。
なんだかちょっぴり不思議。
それから、ログハウスがいーっぱい! 並んである! ここのお家はログハウスがメインみたいだ。
歩き続けて、大きめのログハウスが建ち並ぶところにボク達はやって来た。
看板があって、そこには「好きなところで寝泊まりしてください。大人も大歓迎。でも人が居るのがわかるように、表側のドアにある空室と書かれているプレートをひっくり返して在室中にしておいてください」と書いてあった。子供にしては上手な字だけど、でもやっぱりちょっと読み難い……。ボクは字を書いたことがないから、この字より下手かもしれないけれど……。うーん、王国を築いたらまず字の練習でもしようかなぁ。
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