第14話 しばしの別れ

 大樹の上の方へと行くと、うーちゃんとみーちゃんが待っていてくれた。

 そして側には飛行船が停まっていた。

「あ、ぽてと君達! やっと来たんだね! よかった!」

「もうちょっとで……とは言わないけれど、飛行船が出る前に戻って来れてよかったわね」

「うーちゃん、みーちゃん、お見送りに来てくれたの?」

 ボクは嬉しくなってそう聞くと、二人は頷いた。

「君達は知らないかもしれないけれど、僕達にとって、君達はとても大切な人なんだよ。だから、お見送りくらいはするよ。ね、みーちゃん」

「そうね、うー。ああ、それから贈り物も渡さなくちゃ」

 そう言って、みーちゃんは大きなリュックを一つ、ボクに渡してくれた。

 ずっしりとしていて、結構重い……!

 手が震えちゃうよぉ!

 そう思っていると、ぺんぺんがリュックをひょいっと持ち上げて背負った。

「あ、ありがとう。ぺんぺん」

「このくらい、多少力のある僕に任せてください」

 飄々とそう言うぺんぺんに、ボクはちょっとかっこいいなと思った。

「リュックの中身は、旅に必要なものをほとんど詰め込んであるよ! 食べ物は食べなくてもこの世界では死なないけれど、嗜好品ということでいろいろ入れておいたから、食べたい時に食べてね。それと飛行船の行くところのガイドブックも入れておいたよ。危険なことはそうないだろうけれど、気をつけてね……」

 うーちゃんはそう言うと、一歩下がった。

 みーちゃんはそんなうーちゃんの頭を撫でた。

「ところで、二人って兄妹、なんだよね?」

「一応、そうだけど、それはご主人様が決めたからなんだよね。血の繋がりはないよ。……多分。だけど、本当の兄妹と同等に、僕達はお互いのことを思い合ってる。……君達も、似たようなものでしょ。ぽてと君」

 なるほど、とボクは納得した。

 そこへ鐘の音が鳴り響く。

「さあ、時間だよ。次に会う時を、楽しみに待ってる。僕もみーちゃんも。この世界を楽しんでね」

 ボク達は二人に見送られながら飛行船に乗り込んだ。

 窓の外を見ると、二人が手を振ってくれていたから、ボク達も手を振った。

 そしてしばらくして飛行船が動いて、二人が見えなくなるまでボク達は手を振り続けたのだった。

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