第11話 いつかお礼を
「あ、ご、ごめんね! 君達のことを置いてきぼりにしちゃった! うーんと、世界の本質についてはそんなところで大丈夫かな。えっと、じゃあ、次に、ここからどこへ行けばいいのか! 実は街から街へと繋ぐ、飛行船があります! それに乗れば、世界を一周出来ちゃうよ! ちなみに、この街の次は『こどもの森』というところに着くよ! そこでは子供達が出迎えてくれるんだけれど、イタズラが大好きだから気をつけてね。あと、嘘つきは嫌われるよ。全部、バレちゃうから。そもそも嘘なんてつかない方がいいよ」
「そうなんだ! 飛行船、ボク達初めて乗るからちょっと楽しみ! こどもの森、だね。ぺんぺん、みーみ、もーもー、あとで飛行船に乗るよ!」
みーみともーもーは嬉しそうな表情を浮かべていた。
多分だけど、ボクとうーちゃんの話を理解していないんだと思う。ぺんぺんは……表情が読めない。うーん、ボク、ぺんぺんのそんなところが好き。
「ぽてと君、そんなに極度に怖がったりしなくていいからね。子供達に何か鋭いことを言われても、無邪気に言ってるだけだから、あまり気にしちゃダメだよ。それでも心に刺さってしまうだろうけれど」
「……ボク達、大丈夫かな」
「大丈夫ですよ。ぽてとさん。僕もいますから」
そう言ってくれたのは、ぺんぺんだった。
ぺんぺんは「子供を躾けるのは大人の役目です」と、ボクの頭を撫でながら言ってくれる。
なんて頼もしいんだろう……! そう思いながら、ボクは頭を撫でられ続けた。
でもちょっと、耳の付け根の辺りを触られて、耳がゾクゾクする。
うーんと、セクシャルハラスメント? っていうので、ぺんぺんを訴えてみたい。
もちろん、冗談だけど。
「あの、ぺんぺん、耳の辺りはあまり……」
「すみません、つい、可愛らしくて」
「んにゃああああっ!」
今度は頬っぺたをムニムニされる! ぺ、ぺんぺんめ……! 王国を築き上げたら覚悟しててよね!
ボクだって、ぺんぺんの頬っぺたを好きに触ったり撫でたりしちゃうんだから……!
「ぽてとー、ぽてとー……」
みーみが眉を下げてボクのズボンの裾を握った。
「みーみ、どうしたの?」
「みーみ、お腹空いた……。うぅ、みーみ、お腹いっぱい食べたい」
困ったなあ。そう思っていると、うーちゃんが「あ、じゃあ贈り物を渡す前に食事にしましょう! みーちゃんは一人で食べたがるから、僕しかいなくてちょっと申し訳ないけど」と言ってくれた。
こちらこそ、ご迷惑をおかけしちゃってごめんなさい!
……そして、食事をすることになったのだけれど、見事なまでにベジタリアン。
うーちゃんもみーちゃんもうさぎだから、お肉とかお魚は食べないらしい。
でも、ボク達は何でも食べちゃう。不思議なことに、何でも食べられる。少し、嬉しい。
だってボク達は元々はぬいぐるみ! ご飯なんて、食べたことないんだもん。
「お腹いっぱいになるまで食べて大丈夫だから」
その言葉に、思い切り甘えさせてもらっちゃうボク達。
いつか、お礼しなくちゃ……! そう思いながら、ボクはバナナを頬張った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます