第3話 嘘なんて
……ボク達は、街に向かって歩き出す。
途中、タンポポのいっぱいあるところがあって、少しだけれど、綿毛なんかも飛んでいた。それを見たみーみともーもーは大喜び。
少しだけ休憩することにした。
ボクとぺんぺんは木陰に座ってきゃっきゃと喜んでいる二人を目で追いかけていた。
「二人は元気だねー。ぺんぺんは一緒に遊ばないの?」
「僕は見守るのが性に合ってるんです。ぽてとさんこそ、一緒に遊んでこなくていいんですか? 耳と尻尾、パタパタしてますが」
「……! う、うん。ちょっと、遊んでくるね。みーみ! もーもー!」
「ぽてとー!」
「もーもー!」
二人はボクの名前を呼んで、仲間に入れてくれた。
そしてみーみに花の冠を作ってくれて、それをボクの頭に載せると「王様、ぽてと!」とみーみが言うと、もーもーも喜んで尻尾をぶんぶん振っていた。
凄く、優しくていい子達。ボクのお嫁さんと弟達は、嘘もつかないし。
そう、嘘なんて……。
「――嘘つきじゃない」
……お姉ちゃんの声が、聞こえた気がした。
冷たくて、何も映さない真っ暗な瞳。ボクは、お姉ちゃんのその眼が怖かった。
いつだって優しくて、面白いお姉ちゃん。でも、夜はそうもいかない。
お姉ちゃんは、いつもひとりで闘っていた。何かと。
「――ぽてと、お前は、私の味方だよね」
お姉ちゃんは、何度かボクに涙を見せた。誰も知らない、お姉ちゃんの裏の顔……。とても、孤独な。
「ぽてと!」
ハッとして、意識を戻す。そこには、心配そうにボクの右手をみーみが握っていて、左手にはもーもーの尻尾が絡んでいた。
二人共、心配そうだ。
「どうしたの?」
ボクがそう言うと、二人はそれはこっちのセリフだとでも言いたそうにボクに視線を送る。
「ご、ごめん……」
とりあえず、謝っておこう。そう思ってそう口にしたけれど、二人はあからさまに溜め息をついて、ぺんぺんのところに行ってしまった。
「……ぽてとさん! そろそろ街に行きませんか!」
「うん! わかった!」
ぺんぺんの声に、ボクはそう答えた。
そしてボク達は歩いて行く。
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