第18話 アクシス・ムンディ【4】
すっかり
私はそれを黙って見送ったまま、ぽつねんと立ちつくす。
「真夜さん、済まなかったね。ちゃんと説明はしてたんだけど、あのヒトそそっかしくてね……理解してなかったみたいで」
同じくその自分の父親を困ったように見送っていたヴィンセントさんが、振り向きざまに私にそう謝ってくる。
いえ、と私は少し笑いながら応えるが、自分でもそのぎこちなさをどうにもしきれないでいた。
場が一気に静まり返る。
「儂からも謝罪をさせてくれ。自己紹介が遅れたが、儂はアーロン・ライオネル・オハラ───このアールヴヘイムのエルフの王を務めさせてもらっている者だ。この度の弟の非礼、心よりお詫び申し上げる」
すると、この大広間に入った瞬間に聞こえた声の主が、
ああ……この人がエルフの王様───
私は
ずっとそこに居たのかグリフィス氏の騒ぎで正直、全く視野に入らなかったのが不思議なぐらいの圧倒的な存在感でその場に
ストレートロングのプラチナブロンドに、
弟さんや甥っ子さんとよく似た
淡いアイスブルーの
白の細身のボトムに、同じく白のボタンアップのショートブーツという出で立ち。
こうも美形ばかりが現れるとだんだん感覚が麻痺してくる。
「弟───グリフィスは、末娘だったマーガレットを目に入れても痛くないほど可愛がっていた。自分を
今はただ、その言葉に黙って
しかし、グリフィス氏に永遠の眠りの
すると今まですっと沈黙を守っていた里和ちゃんが、このタイミングで不意に口を開いた。
「でしたら陛下、何故ヴィンセント様とわたくしを
美女エルフの
やけに疲れている顔つきになり、先程の威厳がまざまざと色褪せてゆく。
一気に10年───いや、エルフの時間感覚で言えば100年と言った方がいいのかも知れない───老け込んだように見えた。
「ヴィンセント様やわたくしがこちらへ呼び戻されなければ、恐らくマーガレット様も呪われなかったでしょうし、マヨ・カヅキが私にこの世界へ
里和ちゃんってば、エルフの王様相手によくそこまで口さがなく言えるもんだなぁ。
つか、『取り替え子』って、一体……?
そこで段々頭が冷えてきた私は、はらはらしながらその二人のやり取りに耳を傾けた。
ようやく自分がここに来た原因が判明しようとしていのだから。
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