第17話 アクシス・ムンディ【3】
その照明もなぜか私達が通り過ぎると徐々に光を落として消えてしまう。
ちょっとした
これも魔法、かな?
案内してくれている
いや逆に、これこそがエルフの城なのかも知れないな、とも思う。
そんな事を考えていた矢先、不意に私達の目の前に巨大な扉が出現した。
そこを開けばいかにも大物が
ローレンス氏がその扉に刻まれている魔法陣のひとつに右手を触れると、そこからぽわんと蛍光グリーンの光が輝き、重々しい
ある程度開ききったところでローレンス氏は脇に身を寄せ、私達を廊下とほぼ変わりない薄暗い室内へと導き入れる。
「よくぞ無事に戻って参られたな───!」
その薄闇を破るが
うっ、
「メグ………!」
別の声が叫ぶようにその名を呼びながら、私達の方へバタバタと駆け寄ってくる気配がしていた。
「あっ、父上、それはメグじゃ───」
と言うヴィンセントさんの制止する声も虚しく、眼の前に
ひぃー!?
私としては見知らぬ
「良かった……本当に良かった……メグ! 私のせいで、あんな……あんな目に、
「イヤ、だからお父さん、落ち着いて……ほら、鼻水が
「んぁ……? これが落ち着いて喜んでなどいられるものか! お前の妹が───私の娘が、やっと400年の眠りから戻って来たんだぞ!!」
「いや、だから、彼女はメグじゃ───」
「ん? メグ、その目と髪の色はどうしたんだい!? まっ、まさか、呪いのせいでそんな風になってしまったのかい!? 嗚呼、なんて
「だーっ! 少しゃー落ち着けこのクソ親爺……!!」
何、この台風みたいな親子……?
佳麗(?)な親子エルフに挟まれ、今度は私が400年の眠りにつくかも知れないと思うのだった。
どっとはらい。
×××××××××××
「───えっ?
ヴィンセントさんとイアンさんにどうにか
いまだに私の体をぎゅうと抱き締めたまま、困惑の表情を浮かべていた。
今この手を放してしまったら、またマーガレットさんが眠ってしまうのではないかと危惧しているかのように。
マーガレットさんがもう二度と眠ってしまわないように、と───
うん、そうだよね……私だってあんまり信じたくないもん、この状況。
「だから、前にも説明しただろ?
「……確かに言っておられたが、まさか、そんな……」
グリフィス氏は自分が今、確かに抱き締めている
あぁ……私が別に悪いんじゃないんだけど。
「ごめんなさい、マーガレットさんのお父さん。私も突然、里和ちゃんに呼ばれて(?)しまって
私が正直にそう口を開くと、更に
ほっとしたと同時に、体がすうっと寒くなった感覚に一抹の寂しさを覚える。
お父さんって、こんな感じなのか、な……?
ふと里和ちゃんに視線を移すと、思った以上に真顔な彼女の目線とかち合い、私はかなり動揺した。
私達は互いに父親を小さい頃に亡くしている。
本当は里和ちゃんも辛かったんだな……。
そうは気づけたのだが、内心再びあの引っ掛かりが再燃する。
何で彼女は私が彼女との約束を忘れたとは言え、わざわざ私をこんな目に遭わせなければならなかったのか?
「あぁ……私の娘……やはり、私のせい、で───!」
グリフィス氏は
私は驚いて手を差し伸ばすが、今度はその私の手を触ろうとはしなかった。
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