第3話 ティル・ナ・ノーグ【2】
心の準備がないままに入ってきた相手に、思わずびくっとして反射的に身を起こそうとするが、
いっ……!?
悶絶したままその痛みに
「まだ無理しちゃ駄目だよー。
うえっ!?
その言葉に絶句したまま、
だから、アンタ誰よ……?
そこには見覚えのある
クリアな耀きを放つ
今回はその銀糸の輝きを有したロングヘアを逆三編みにして左肩口から垂らし、淡いピンクの組み
その髪から
以前見た時と同じ
ただその小柄な体には、丈が長めの白のパフスリーブのブラウスにウエストマークされた太めの革のベルト、ボトムはデニム生地に似た細身のスラックスを
この
すると沈黙したままで仏頂面になっている私に気づいた相手が、思ったよりも困った様子で口を開いた。
「……もしかして、怒ってる?」
「……っつーか、今回は心読まないの? つか、
「えっ……!? あ、ゴメン! そっか、判らないよね……
……やっぱり。
何故か声はあんま変わらないんだな、と思っていると、自称・咲良田里和と名乗ったエルフは、人の
私はどきりとした。
「
顔は全然違うんだけどなぁ……。
そう思って深く溜息をついていると、自称・里和ちゃんのエルフは独り
そんな表情も鬼可愛いのだから、エルフってホント得だなとつくづく思う。
「あんま驚かないんだね?」
「安心して、私はまだ夢だと思ってる」
「えー!? 夢じゃないよ〜!」
こりゃまだ夢の続きを見てるんだ。
それじゃなきゃ、ただの白昼夢───早く目覚めろ、私!
……普通に痛い。
目を開けてみる。
もしかすると目が覚めてるかも知れない。
不思議そうに
うぬぬぬぬぬ……。
まだ足りないか。
私が
「ちょっと! 何やってんの!!」
慌てた様子で里和ちゃんと思しきエルフはその私の手首を
「いや、起きなきゃなんで」
「イヤ、そんな事しても意味無いから!」
「……じゃあ、どうやって起きればいいの?」
「どうって、香月……やっぱあたしがした事怒ってるんでしょ?」
「……じゃ、億歩譲って、私に何してくれちゃった訳?」
「香月がいぢわるだぁ〜」
誰が意地悪だ。
意味判らん。
わざとらしく泣き真似をしてチラリと横目で私を見る相手に、思い切りウンザリした表情であからさまに
里和ちゃんってこんなヒトだったっけ?
こうなると
混乱したまま脳みそが溶けて耳から流れ出てくる心境だ。
泣きたいのはこっちだよ。
「……じゃ、単刀直入に───まだ信じてる訳じゃないけど、何で私を刺殺したの?」
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