第8話 アストゥーリアス

 2024年、既に絶滅していると思っていた日本のプログレのグループが、ライブを行ったりアルバムを発売してくれたのは嬉しい事です。

 6月に行われた浪漫座のイベント、行きたかったなぁ。(中島一晃さんに、よからぬ病気が見つかったとかで治療中だと。心配ですね)11月にはKENSOのアルバムが発売予定、これは楽しみです。

 そしてすでに発売されていますが、アストゥーリアスのユニットの一つであるアコースティック・アストゥーリアスがアルバムを製作しています。チェロやバイオリン、ピアノを使用した楽曲は、どちらかというとクラシック色が強い感じですが、時にはロックっぽさも見えてきます。派手さこそないですが、話題にはなってほしいですね。


 https://www.youtube.com/watch?v=BMWpvODuYJ8&t=1s



 では改めて。アストゥーリアスというのは、マルチプレイヤー、コンポーザー、マニピュレーターである大山曜さんによるソロプロジェクトで、1988年に始動しています。多重録音の第一人者といえ、『日本版マイク・オールドフィールド』と言われる事もあるくらいです。

(しかしながら、何故か自分の作品の中にマイク・オールドフィールドの名前が出てくるのが多いなと。熱狂的なファンとまではいかないんですけれど)

 特筆すべきは、初期の頃の参加メンバー。何と日本のプログレッシブロックのレジェンド的存在である『新月』のメンバーである津田治彦さん(g)と花本彰さん(key)の二人が参加している事です。『新月』に関しては、記事はもっと先に書く予定ですが、代表作であり、日本のプログレの一つの到達点ともいえる名曲の『鬼』のリンクが第1話にありますので、興味があれば聴いてみてください。当然ながら、タイトルを変更して『鬼』のタイトルを使わせてもらっています。それぐらい好きな曲だったりします。


 とはいえ、『新月』の持ち味は日本的なテイストですが、ここでは『アストゥーリアス』の持ち味である、北欧を感じさせるような穏やかな音を出しています。特にキングレコードから発売された1作目の『サークル・イン・ザ・フォレスト』の1曲目の『流氷』という曲は、まるでヒーリング音楽のような心を落ちつかせる音で、自分もゆったりとしたい気分の時は、よく聴いたものです。そしてタイトル曲の大曲では、あのザバダックの上野洋子さんがコーラスで参加しています。彼女の声質が生きている感じですね。という事で、穏やかな音楽を望むなら必聴ですね。ただ、大山さん本人は、気負いがあった分、満足がいかない部分があるとして、このアルバムが評価され過ぎたことを気にしているようです。


 https://www.youtube.com/watch?v=D0Vz0rhztkk&t=31s



 セカンドアルバムの『ブリリアント・ストリームス』もファーストの延長となりますが、完成度は高まったと思います。ゲーム音楽用の曲をバンド編成にした『ローガス』といった曲がいい感じかなと。ニューエイジミュージック色の強い曲もいいですが、サントラに近い感じの曲もまた魅力的かなと。そして大曲も1曲。前回に続いて、上野洋子さんがコーラスで参加しています。


 https://www.youtube.com/watch?v=5_dTbBn7d1Y



 そして初期アストゥーリアスの最後のアルバムは、『クリプトガム・イリュージョン』。発売された1993年は、所謂、小室サウンドが全盛の頃。プログレみたいな長ったらしい曲は敬遠されていた時代です。もう後がないという事で、大曲は無しにして普通の長さの曲を集めたものになります。花本さんは参加していないものの、津田さんとゲストの上野さんは引き続き参加しています。なお、上野さんはアストゥーリアス唯一の歌詞入りの曲での参加です。大山さん自身は、やるだけの事はやったので悔いはないという出来との事です。特に『ダンサ・ダス・ボルボレタス』という曲は、やりたい事を詰め込んだという事で。成程、そう来ましたか。最後のプログレらしい展開は好きですね。


 https://www.youtube.com/watch?v=PiSQ8jpAZ5k


 そして上野さんがボーカルの『オ・テンポパサ』を。やはり上野さんがコーラスのみの参加というのは勿体ない感じでして、こうしてボーカルの曲が収録されているのは嬉しいですね。


 https://www.youtube.com/watch?v=WEqJ78sblYY



 そしてこのアルバム発売後、10年近くの休眠期間に入ります。2003年になってから、アコースティック・アストゥーリアスとして活動を再開します。その後は3種類のユニットでの活動となります。多重録音のアストゥーリアス、バンド形式のエレクトリック・アストゥーリアス、そしてアコースティック・アストゥーリアスですね。多重録音のアストゥーリアスとしては、2008年に『In Search of The Soul Trees/樹霊』を発表しています。この辺りは自分もしっかりと把握していなかったので、調べていきたいなと。以後もアルバムを発売していますので。


 https://www.youtube.com/watch?v=zrI70nWy9MA


 今現在のメインは、アコースティックの方みたいですね。ライブも継続しているみたいですし、応援はしていきたいですね。クラシックが好きな人は、是非、聴いてもらえればと。


 https://www.youtube.com/watch?v=0O0L-6ywyxc


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