神を名乗る女

女はユートピアの連中よりも魂が穢れていた。穢れすぎて外見すら分からない。どんなに穢れていても声は変わらないのでその声で女と言う事だけは分かった。

 

 連中どもが「神様!神様!」と口々に叫んでいる。どうやらこの穢れに穢れきった女が神様らしい。

 

「今日で私達人類の劣等種である不細工どもが滅びます。

 不細工どもはこの美しき世界ビューティフルにとって最大の汚点。生きていてはいけない存在なのです!

 それが今日、正確には1時間後に遂に全ての不細工どもが根絶されるのです!なんと言う素晴らしい日なのでしょうか!」

 

 その言葉に連中どもが歓喜の声を上げる。

 

 あの女は不細工達の事を汚点と言っていたが、私からしたら女も含めたユートピアの連中の方がよっぽど世界の汚点…いや、世界の癌である。

 

「よって今日この日を『不細工撲滅記念』と言う祝日とします!今日という日を祝いましょう!

 この素晴らしき私達とユートピアに乾杯!この美しき世界ビューティフルの大きな進歩に乾杯!私達の頑張りを見てくださっているビューティー様に乾杯!」

 

 もうこんな所一刻も早く離れたかった。

 

 私はこの世界の腐敗具合と崩壊具合に絶望しながらビューティー様の待つ神界へと帰るのだった。

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