第3話
お風呂に入った雪乃は長い髪をバスタオルで拭きながら現れた。
服は私のTシャツと短パン。
私は寒がりなのなのだが、家の中をヒーターとエアコンでかなり温めるので、部屋の中なら夏のような服装でもさほど寒く無い。
「すみません。お風呂お先に失礼しました」
「いいよ。制服とかはかなり濡れてるからこっちに干しておくよ。シャツなんかは洗っちゃうからね」
「あの、流石にそこまでしていただくと申し訳無いのですが」
そう言って雪乃は困ったような表情を浮かべた。
「私の洗濯物と一緒に洗うから手間じゃ無いよ。それに、濡れたままにしておくと臭いの元になるから洗濯はさせてもらうよ」
そう言って私はさっさとネットに小分けにして洗濯を始めた。
「ほら、こっち来て、ドライヤーあるから」
「ありがとうございます」
素直にお礼を言う雪乃にドライヤーを渡して私もお風呂に入る支度を始める。
洗濯中だが基本は湯船に入りっぱなしなので水の使用は気にならない。
「私もお風呂にいるから、乾かし終わったらゆっくりしてて」
「はい」
素直な返事を受けて私もお風呂に向かう。
服を脱いで次に洗う洗濯用ネットに入れていく。
「寒っ」
ある程度は暖かいが脱衣所とお風呂場の寒さは如何ともし難い物だ。
先程雪乃が入ったばかりなので多少は暖かいがそれでも寒い。
さっさとお湯を浴びて湯船の中に入った。
若干温かったのでお湯を足すと丁度いい温度になる。
普段なら30分は入っているが今日はそれほどのんびりする訳にもいかないだろう。
体がある程度温まったところで髪を洗い、コンディショナーとトリートメントして身体を洗う。
普段ならその他の細々とした手入れもするが、長くなるので今日はそれも割愛。
どうせ見せる相手もいない肌だ。
一日くらい手入れを怠ることに憂いなどない。
最後にシャワーを浴びて湯船の栓を抜き、汚れを流して浴室を出る。
髪を握るようにしてある程度絞り、タオルを頭に巻いて身体を拭きあげて夜用の下着を身に付けていく。
そしてTシャツと緩めの短パン。
いつも通りの服になって脱衣所をでて雪乃の元に戻ると、雪乃は髪を乾かし終わったまま眠っていた。
「雪乃」
「……あ、すみません」
私が呼びかけると雪乃は目を覚まして、眠そうに目を擦りながら立ち上がった。
そんな雪乃に新品の歯ブラシを一本渡して歯を磨くように指示して私は髪を乾かす。
雪乃は歯を磨いている間も眠そうにフラフラとしていた。
おそらくかなり疲れているのだと思い、歯を磨き終わった雪乃を私のベッドへと連れて行き中に入るよう伝える。
何かを言おうとしていた雪乃だが眠さが限界を超えているらしく、ふらつく頭を抑えて大人しく横になった。
「おやすみ」
「おやすみ……なさい」
雪乃は最後にそう言うと、うっすら開けていた目を閉じて眠ってしまった。
洗濯物を干したあと、雪乃のベッドの隣に布団を敷いて私も横になる。
規則正しい寝息を立てる少女を横目にアラームをかけたあと私も目を閉じた。
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