第6話 適性と才能

俺は病室を後にした。


八乙女と九条の後をついていった。


国立魔法専門学校の中は大きくビルや研究所?、病院がある近代的な施設がある場所(研究エリア)と古風な寺や竹林や雑木林、学校のような校舎がある(学術エリア)二つのエリアに大きく分かれていた。俺がいた病室は研究エリアのほうだったらしく外へ出て、学術エリアへと向かっていた。


「この学校凄い大きいね。こんな大きい学校があるなんて知らなかった。そういえば、ここは都内なんですか?」


八乙女は歩きながら答えた。


「そうだよ、ここは東京と神奈川の間八王子市の高尾山の近くにある。都内といっても東京23区内に学校があれば人目が付きにくいし、田舎過ぎても有事の際に対応が難しくなるからね。明治維新ぐらいのときに候補地の中からここが選ばれたんだ。」


「へぇ、結構人がいるけど、ここにいる人はみんな魔力が使えたり見えたりするの?」


八乙女は

「いや、見えない人も多いよ。見えない人は事務や我々、魔法師のサポートをやっていたりする。もちろんこの学校自体もイメージでいうと高校より大学に近いかな。大学には研究員や事務職の人が多いだろ?それと同じさ。」


俺は

「いや、まだ高校生だから、大学のイメージなんてわからないんすけど。まぁ、要は大きな学校ってことですね?」


八乙女は

「いや、あっているような、違うような。」


九条は俺の話を聞き、

「大きな学校?ぷははは、なんだそれ。おもしれー!!!!」


俺は九条があまりにも笑いすぎるのでイラついて


「おい!笑いすぎだろ!」


と少し怒鳴り、胸ぐらをつかもうとすると


九条は、か弱い乙女を演じるような様相で


「あら、DV?こわーい」

と目をウルウルして俺を見た。


俺は舐めた態度が気に食わなくなり


「かわい子ぶんな!」


俺がそういうと


八乙女がぱちんと手をたたいた。


「はい、九条も挑発しない。それにDVは家庭内暴力ね、今のそれはただの暴力だから、言葉間違えてるよ。」


九条はそう諭されると少し顔が赤くなり、

「お前は真面目か。正論ばっかじゃもてねぇぞ」

というと八乙女は


「ご忠告どうも。私より自分の心配したら  せんぱい」


九条はぐうの音も出ないのか


「フン」と言い俺の手を払いのけた。


そうこう会話をしていると大きな教会の前まで来た。


その教会の中の一室の扉の上には「特別技能室」と書かれている。


その部屋の中には大きな水晶があった。


八乙女はこの水晶を指さし、


「これから、君が魔法を使えるか見せてもらう。

この水晶は魔水晶と呼んでね魔法を使える場合はこの水晶に触れると水晶が発光をするんだ。この発行の度合いや発光色で使える魔法が変わる。基本は赤色と緑色と青色のどれかかこれが組み合わさって発色する。


我々、魔法師にも大きく使える魔法や得意な魔法が違う。


この三色の色が得意な魔法を分けている。


赤色は強化魔法、青色は操作魔法、緑色は精霊魔法と分けられる。」


「魔法にも使える系統があるってこと?」


八乙女は


「そうだね、実際に私がどんな色か見せてあげようか」


そういい八乙女は水晶に触れた。すると水晶の色が明るい赤紫に発光した。


「発光色の系統から私は強化系と操作系が得意なんだ、特に強化系の魔法がより得意なんだ。私の回復魔法は回復させたい人の魔力を一時的に強化させて体内の損傷した組織の細胞を魔法で操作、強化させることで必要な細胞の細胞分裂を促して回復をさせているんだ。回復魔法にもいろいろあってね、魔力しか回復できない魔法師から私のように魔力をもとに肉体を作り替えることのできる魔法師まで様々いる。この水晶はあくまで魔法の使用の有無と適正がどれかを教えてはくれるがそこから回復魔法が使えるかは自分の魔法をどう使うかのイメージで大きく変わる」


俺は少し驚いた。魔法って心のどこかでまだ疑心暗鬼だった。ただ、ここまで話を聞いて魔法は現実として存在し、なおかつここまで魔法という現象に説明がされて現実なんだと納得をせざるおえなかった。


「魔法って今まで半信半疑だったけど今の話とこの水晶でなんかすごい現実的に思えてきた。」


八乙女は

「やっとわかってくれてうれしいよ。それじゃ、本題に触れようか。君が魔法を使えるかどうか、水晶に触れてみて。」


俺はその言葉を聞き


「うん」


そういい水晶に触れると水晶からまばゆい光が部屋一帯を包み込んだ。ただ、先ほどの説明にはなかったことが起きていた。水晶の中心に黒い靄が広がっていた。


俺は思わず

「光った!」


そう叫んでしまい恥ずかしながら彼女らの顔をみると

八乙女は驚いた表情で、九条は驚いてはいたが、それよりもどこか顔が少しうれしそうに見えた。


俺は興奮気味に


「これって俺も魔法が使えるってことだよなぁ!」


俺は気になり振り返ると八乙女は驚いた顔で九条は対照的にうつむきながら口に手を当てていた。指と指の間から見えたが少し口角が上がっていた。

俺は二人の表情からどうとらえていいかわからず、話しかけようとしたところ、


パチパチパチ。九条は手をたたきながらしゃべり始めた。


「おめでとう。そうだね。君は魔法師になる資質がある。それに何より、、」


と話している途中で八乙女がはっとした顔になり会話に割って入った。


「おい、待て待て。今、そこまで話をしなくてもいいだろ。それに、これ、隊長案件だろ。この子、魔法の資質どころじゃないぞ。お前、偶然か?」


九条は会話の真意がわかっているようで顔を少しにやつかせながら答えた。


「私の目でもここまでとは思っていなかったよ。魔法量はかなりのものだなとは思っていたけどね。」


八乙女は

「まずは緊急招集かけて会議だろ。」

そういいスマホを手に取ると。


九条は

「いや、会議には欠けないよ。この子はうちで面倒を見る。」

そういうと九条は俺の肩に手を寄せぐいと自分のところに寄せた。


「はぁあ?上への報告は?まさか知らせないつもり?」


「知らせるよ。時期を見てね。八乙女もわかっているでしょ?上に知らせたところでこの子がどうなるかは。だから、黙っててよね!」

そういうと八乙女はため息をつきながら、


「はぁぁ。黙ってはいるけど、ばれても助けないからね。」


「それでいいよ。」


俺はすごい大事な話とすごいやばいことに巻き込まれたのは分かったが、何もわからずただぽかんとするしかなかった。


九条は

「さてさて、魔法もかつかえることも分かったし、次に行こうか」といい部屋を出ようとするので制止するように


「俺は結局魔法は使えるけどどんな魔法が使えるの?」


そう聞かれ、九条は振り返ると、

「予定外のことが起きたから部屋を変えて詳しく話そうか。」

そして八乙女には

「ここからは彼に色々話すけどどうする?ついてくる?」


八乙女は

「また、あんた一人だけだとややこしいことになりそうだからついていくわ。」

そういうと俺をじっと見つめて小声でつぶやいた。


「あなたも苦労するわね、頑張って」


俺は九条の後をついて別の部屋へ向かった。



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