第5話 魔法の世界

九条凜は俺に魔法の世界について話し始めた。


「この日本では年間行方不明者は年間8万人に及ぶ。このうち八割は不明者が見つかるが、問題はこの二割の発見されず行方不明のままだ。この未発見者のうち魔法にかかわる事件、事故は約半数とされている。ただ、魔法の事件や事故は未発表のままになることが多い。我々、魔法師はこういった事件、事故の調査及び解決を生業とする。」


俺はこの話を聞き疑問があった。

「行方不明者と魔法って関わりがそんなに強いんですか?そもそも、魔法との関連ってわかることがあるんですか?」


九条は

「そうだね。魔法と関連があるかどうかってことだが、これの説明の前にまず、魔力と魔法について話そうか。まず魔法を使用するときの強さと使用するまでの流れの話をしようか。」


「魔法はね体内にある魔力を必要量体内で循環し、放つ。これが魔法を放つ流れだが、威力や速さは魔法はある意味、方程式に似ている。魔法は使う魔力量やレベルで使用量が大きく異なる。そのため、それに応じて、消費しなければならない。だが、魔力には人により量や濃さが大きく異なる。もちろん量が多ければ使用できる魔法が増えるし、魔力の濃度が濃ければ一回の使用量が少なくなる。そして魔法は、魔術回路に魔力を流し詠唱で魔法を脳に入力し放出できるがこの流れが早ければおのずと魔法の発動スピードも速くなる。」


俺は

「その、魔法の使用方法と何のかかわりがあるんですか?」


九条は

「そうだね。さっき魔法は方程式に似ているといったが、魔法師同士の戦いでは

    (魔力の純度×魔力量)+発動スピード=魔法の威力

という式のもとこの威力が高いほうがおおむね勝つ。このうち、元々の魔力の純度は素質そのもの。だが、魔法の発動スピードは魔法の使用回数や理解で大きく変わるいわゆる経験てやつだな。」


俺は話の結論が早く知りたいためせかすように質問した。


「だから、それと行方不明者に何のかかわりがあるんだよ?」


九条は

「だから、これから話すって。さっきの方程式で魔力量についてまだ話していなかったよね。魔力量はおおむね遺伝や先天的に量が決まっているし、魔力を大部分消費しない限りは消費後元々の魔力量にゆっくりと戻っていく。ただし、この魔力量を人為的に増やす方法がいくつかある。」


俺は九条がなぜ、魔法の使い方に関して先に説明したのか、ハッとなった。


九条は俺の顔つきが変わったのを眺めながら話をつづけた。


「なんとなくわかっていそうな顔しているね。魔力量を増やす方法のひとつに魔力を持っている人間から抽出し、蓄える方法がある。この方法なら一時的だが簡単に魔力量を増やすことができる。ただね、魔力を抽出された人は肉体ごと抽出されるため跡形もなくなる。」


俺は九条の話が終わると食いつくように話した。


「じゃあ、失踪事件にかかわっている人は同じ魔法師での犯行が多いってこと?」


「もちろん、魔法師がかかわっていることもある。そういう違法、犯罪を犯した魔法師は魔法連盟から除籍される。非認可の魔法師を我々は魔人(マジン)と言っている。ただしこの魔人以外にもかかわっている場合がある。厄介なのはどちらかというと魔物かな。」


俺は、魔物という言葉に少し心が躍っていた。


「魔物ってファンタジーとかに出てくるあの?ゴブリンとか?」


九条は俺が突拍子もないことを言ったのか、ケタケタと笑い始めた。


「あはははは、やっぱり面白いね、君!そうね、魔物と言われればそういうの想像するよね。ただね、魔物って言ってもいろんな形をしているんだ。動物の成りをしたものから人の成りをしたものまでね。魔物ってのはね死んだ肉体に魔力のみで動いている亡骸のことを言うんだ。」


俺は、驚愕した。


「まさか、死体が動くとでもいうんか?」


「そうだね、魔力に充てられた死体が自我を持って動くんだ。この魔物は死体だからと言って何かの目的なしで動いたりしない。私たち人間は食事をすることでエネルギーを補給するが魔物もエネルギー補給を必要とする。」


話の流れ的に魔物が何をエネルギーにしているかわかってしまった。


「そのエネルギーは人間の魔力か?」



凜は真剣な顔で


「そう。その通りだよ。魔力は生きている人間しかもっていない。だから、生きた人間から魔力を吸収するために拉致し魔力を抜き取る。魔力を抜き取られた人間は形もなく消える魔力の残絵を残して消えるからね。」


「残絵?」


「霊感がある人が死んだ人や動物を見たりできるだろ?あれは魔力を抜き取られた生き物が魔力の残絵が人や動物の形となり存在しているから視認できるといわれている。」


「魔法師はこの魔物や魔人の起こした事件解決及び討伐をする人たちのことなんだ。」


俺はその話を聞き、俺の知らない世界、理不尽なことを知り、さらに知りたい興味心と恐怖がごちゃ混ぜになった。


「まぁ、我々の仕事は今度実際に見てもらって、我々の仲間になるか決めても遅くはないしね。」


「まずは魔法師としての素養があるか見ようか。場所を変えようか」


俺は九条と八乙女の後についていき、大きな水晶のある部屋へ来た。

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