第4話 魔法とは

「ここは国立魔法専門学校、魔法を学ぶ園さ。」

九条凜は俺に言った。


「魔法?専門学校?」


「そうさ、魔法は君も見たでしょ?というか私の戦い見てたでしょ?」


「魔法、あれが魔法なんですか?というか俺はここにいていいんですか?」

おれはまず襲ってきた男の顔が浮かんだ。

(今度はこの人たちに殺されるのか、それとも口封じのために何かされるのか、、)

俺は、安堵したのもつかの間、男へ感じた恐怖心が蘇り、顔がこわばる。

顔がこわばっているのを感じたのか、凜は俺に話した。


「私たちは君が魔法を見たからって殺そうとはしないよ。というか、君、おそらく魔法が使えるんじゃないかな?」


「え、俺が?どういうこと?魔法を?」


「あの戦いで、君も魔法を視認でき、、、」


凜が何か話そうとしたとき、八乙女 裕奈が話を始めた。


「魔法について凜から何か聞いているかい?」


「いえ、何も、、」


「はぁ、、あんたは全く、、」


早乙女はあきれたように凜を見つめた。


凜は少し困り顔で


「だって、あの時、君は傷追ってたし、そんな説明できる状況じゃなかったの!!」


凜は、頬を膨らませて怒ったような感じで返答していた。


早乙女は続けて


「ごめんね、、。こいつ、説明が下手すぎて向かないから私から説明するね。」


「はい、ありがとうございます。」


「まず、人間の脳は運動や知覚、触覚、言語など生きていくうえで必要な機能が備わっている。私たちが見ているもの、感じているものはすべて脳の運動や脳からの信号により認識したり、運動の信号を送り運動することができている。そのため、体の臓器の中で一番エネルギーを使うところでもし、それは血管を通して流れてくる。


我々、魔法師は、この脳の構造と役割が違う。我々は、この脳の機能がさらに向上し、本来普通の一般人が見えないもの、感知できないものを視認し、触れ、運動させることができるものたちのことを言う。」


「それって、魔法師は脳みそが違うって、、、。そうすると脳はエネルギーを使うが、その、エネルギーって何を使うんですか?」


「いい質問だね。我々魔法師はエネルギーの代わりに魔力を使う。

魔法師はこの魔力を視認、活用できる。我々はこの魔力を蓄積、体内で循環し、外に放出しそれを使い魔法としてモノを動かしたり、現象を起こしたりする。」


「魔力を循環する?血管のようなものが流れているのですか?」


「そうだね。まぁ、言葉より見せたほうがわかりやすいか。」


そういうと八乙女は自分の右腕を前に出した。


すると、、、


八乙女の腕に青白い光の線が複数浮かび上がった。


俺は

「きれい、、、。」

つい言ってしまった。行ったことが恥ずかしく少し顔を落とし顔が赤くなっていると


九条凜は

「わはははは!!!きれいだって!面白れぇ!」

大きな声で笑っている。


八乙女が、咳払いすると話を進めた。


「今、君が見ているこの光の線を我々は’魔術回路’と言っている。この回路に魔素が流れることで魔法として外部の事象に干渉できる。」


「血管のようなもの?」


「そうだね、血管も皮膚に近いものから体の臓器に栄養を送る血管まで様々あるが、この回路も同じで血管のように体の中をめぐっている。そうすることで我々魔法師は魔法を使い、ものを浮かせたり、飛んだり、治したりすることができる。」


「そうなのか。すごい。魔法自体が初めてだけど、話を聞くと余計に現実味がわくなぁ。

ただ、なんで俺が魔法を使えると思っているんですか?」


八乙女は話をつづけた。

「まだ、使えるとは言っていない。’魔法がみえる’これだけでもかなり希少なんだ。使えるかどうかは君次第かな。」


九条は八乙女の話を遮るように


「まぁ。私の予想ではこっち側(使える側)だけどねぇ。かける?」


八乙女は

「あんたがそういうんだからそうでしょ。かけないわよ。」

八乙女はため息をついて話をさらに進めた。


「そもそも今出した魔法回路や魔力を認識して見える人自体ほとんどいない。日本国内でも数百人、世界でも数千人くらい。さらにそこから魔法を使える人となるとその中の半分くらいになる。」


俺は魔法について改めて話を聞き、さっきの恐怖心はなくなり、どきどきと高揚感に変わっていた。


ただ話を聞くと疑念が残った。

(なぜ、魔法についてここまで丁寧に教えてくれるんだ?)

俺はこの疑念について単刀直入に聞いてみた。


「魔法については何となくですがわかりました。一つ疑問なんですが、なぜ、そこまで教えてくれたり、治してくれたりするんですか?これがもし仮に俺がみえない一般人ならやばい話じゃないんですか?」


八乙女は答えた。

「結論から言うと我々の仲間になってほしい。魔法師や魔法にかかわることのできる人間は少なくてね。万年、人手不足なんだ。ただ、ならないからと言って、殺したりはしない。ここでの会話や病院、戦闘の記憶は消させてもらうけど。今までの生活に戻すことは保証しよう。」


俺は戸惑っていた。

急な話はもちろんだが、今までの生活や日常とはかけ離れすぎていること。

また、やはりあの魔法の戦闘が脳裏にあり、恐怖や不安な気持ちがかなり強い。


凜は言った。

「まぁ、無理もないよ。急な話だしね。簡単にすぐ決められることじゃない。」


「そうだね。我々、魔法師の仕事について少し話そうか。ただ、話の前に君はこの日本で行方不明者、失踪者が何人いるか知っているかい?」


今までのへらへらした顔とは違い、九条凜は真剣な顔で話し始めた。


俺は彼女の話を聞き、魔法と世界の関わり、そして歴史の偽りと真実、今の世界の問題と異変を知った。


今まで生きていた世界はなんだったのか、虚無感と衝撃に襲われた。





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