第3話 新たな世界
目を開けるとかなり高価な服装を身にまとった男性と着物をきた女性が目の前にいた。
顔をみたいが、首が上がらず、口から下しか見えない。
二人とも優しい笑みを浮かべ俺に微笑みかけている。
その口元に見覚えがあった。
(誰だ、、どこかで見たことがあるような)
俺は顔を確かめようとしたが、やはり顔までは見えない。
(くそっっ、、誰なんだ)
そんなことを思っていると男が何か話しかけてきた。
しかし、口が動いているだけでなんて言っているか聞こえない。
「なんて言っているんだ!何も聞こえない!」
そう言おうと口を動かしたが俺も声を発することができない。
(くそ、喋れない。)
(ここはなんだ、どこなんだ)
この時俺は夢を見ているのだと分かった。
あたりを見回すとただただ白い何もない大きな部屋にいることは分かった。
(どこかに出口はないのか)
目を凝らすようにあたりを見回すと遠くに扉が見えた。
俺は見間違いではないかと目をこするとあたりが急に一変した。
先ほどまでの白い部屋とは違い、今度は日本家屋のような豪邸の一室にいた。
(今度はなんだ、、まさかこれも魔法か!?)
そんなことも思い、豪邸の中を散策していると急に炎が立ち込め始めていた。
(この家、まさか今燃えているのか!?)
そう気づき俺は豪邸の中心にある庭に降りた。見回すと西のほうからかなりもえているのがわかった。
この家から逃げようとしたとき、庭を挟んで反対の部屋の襖から人影を見つけた。
(まさか、逃げ遅れた人がいるのか。早く逃げないと)
そう思い、その人影のあった部屋へ入った。
部屋に入った時、俺は驚いた。
さっきみた男と女に似た男性と女性が座っていたのだ。ただ、顔はぼやけて見えない。なにか誰かに向かってしゃべっている。
二人が座り、喋っている先を見ると二人の子供だろうか、姉弟が座っていた。
姉は弟を抱きしめるように泣き、弟は目に涙を浮かべながらじっと二人を見ていた。
何か会話をしているのか、ただ俺には何も聞こえなかった。
「おい!!こんなところにいる場合か!早く逃げろ!」
そう怒鳴ったが、こちらの声は聞こえていないようだった。
(くそっ、、やっぱりこっちの声も向こうの声も聞こえないか)
子供たちの親はなにかあきらめたような、方や何かを託すような強く優しいまなざしで子供たちを見ていた。
男性が何かをいうとその姉弟は二人をじっと強いまなざしで見つめ返していた。
続けて女性が何か喋っていた。
(やはり、何を言っているかわからない。)そう思っていると一言だけ聞き取れた。
「生きて」
聞き覚えのある声だった。
(どこかで聞いたことのある声だ、、、思い出せない。)
記憶をたどろうとすると”ズキズキ”軽い頭痛が襲ってきた。
考え事をしているとこの部屋にまで火が回ってきた。
それを見ておれは子供に手を差し伸べようと動こうとしたとき
姉弟側の襖が開き、初老の男女が入ってきた。
泣いている二人をなだめるように弟は初老の男が抱きかかへ、姉は女に手を引かれるようにしてその部屋を後にした。
(よかった、ほかにも人がいたのか、、)
子供たちが部屋から逃げ安堵したとたん、先ほどの頭痛が激しくなった。
俺は今度は両親を助けようと
「早く逃げるぞ!」
俺は座っている二人に話したがやはり聞こえてはいないのか反応はない。
すると女性のほうが俺に顔を向けて話しかけてきた。
「あとは、お願いしますね」
確かに女は俺にそういった。
「どうゆうことだ、何を、、」
女は続けて何か言っていたがうまく聞き取れない。
意識が薄れていくのを感じた。
あたりは炎がさらに燃え広がり俺と二人を包み込んでいた。
(くそっ、誰なんだ。)
そう思っていると意識は消え辺りは真っ暗になった。
2024年7月13日 国立魔法専門学校 治癒室
窓のカーテンの隙間から日差しが入り込みその明るさで俺は目を覚ました。
「んんんっ、まぶしい、、」
目を覚まして辺りを見回すと見慣れない部屋にいた。
学校の保健室というよりかは大学病院の病棟のような感じで個室タイプの病室にいた。
(どこなんだろうここは?のどが渇いたな)
そんなことを思い辺りを見回すと、椅子に一人の女性が座っていた。
俺を守ってくれた女性だった。
「やぁやぁやぁ!起きたかい!青少年!」
満面の笑みでニコニコと話しかけてきた。
「あ、はい。何とか。」
「あ、はい。って冷めすぎじゃないかい。君、死にかけていたんだよ?」
そういうと個室の扉があいた。一人の白衣を着た女性が入ってきた。
「やぁ、起きたみたいだね。よかったよ」
そう俺に言うと話しを続けた。
「さて、ここはね、、、」
「ちょっと待って。ここはどこで?あなたたちは誰ですか?」
そういうと白衣の女が長髪の女を少しにらんだ。
「あんた、助けに行ったのに自己紹介もしていなかったの?」
「いや、まぁ。いうタイミングなくってさ、、、。」
「はぁ、、、、。まったく、あんたは。」
白衣の女はあきれたように答えた。
長髪の女はにやにやしながら、
「まぁ、今すればいいじゃん!
はじめまして、私の名前は九条 凛。よろしくー。」
白衣の女はあきれた顔をしていたが俺に話しかけてきた。
「ごめんねぇ、こいつ礼儀がなくて。
私に名前は八乙女 裕奈。ここでは医者のような仕事をしている。
君を治して、回復させたのも私だ。」
その言葉を聞き、俺は体を見渡すと
(確かに、腹の傷口も消えている。そもそも傷自体がなかったかのようになってい る)
「驚いた顔しているね。いい反応だ。さてと、ここはね、国立魔法専門学校。魔法を学ぶ園さ。」
九条 凛は俺にそういった。
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