第2話 出会い②
俺を護ってくれた黒髪の長髪の女性はゆっくりと近づいてくる。
「いやー危ない危ない、ギリギリだったよー笑笑」
緊迫した状況にも関わらず、その女性は、ヘラヘラして笑っていた。
「え、えっと、、、誰?」
「あぁ!!初めましてやね!私の名前は、、」
女性が話を続けようとした矢先
男が会話に割って入った。
「な、な、何故お前がー!!!
ここにいるっっ!!クソが!!」
男は、先程の冷静さを失い、明らかに焦っている。
それと同時に俺を抑えていた謎の圧迫感も消えていた。
男は凄まじいスピードで俺達と距離を取った。
女性は続けて
「まず、ゆっくり話す前にこの状況なんとかしなきゃだね!ここを動かないで」
そう声をかけるとさっきまでのまるで緊張感がない雰囲気と打って変わり、真剣な顔つきに変わった。
その時、男は左手で空に文字を描き始めた。男は続けて
「火の玉を作る魔法(ヴォリバ)」
そう唱えると男の前に周囲の炎が集まり、大きな火の塊が現れた。火の塊の周りにもやはり先程の ”飛ぶ瓦礫” と同じ白いモヤが浮いている。
肌が焼けるように熱い、さらには周りの物にも火が燃え移り、広がりはじめた。
火の周りの白いモヤが収束すると同時に、火の塊が放たれた
(やばい、なんだこれは。逃げようがない!!)
俺は心の中で目の前で起きていることの出来事の驚きで足がすくんでしまった。
先ほどまで俺の後ろにいた女性が俺を守るかのように火の玉の前に現れた。
女性は男同様に空に文字を書き始めた。すると周りに、男同様に、男より濃い白いモヤが俺達の周りに広がると水が集まってきた。
それが終わると女は
「水の壁を作る魔法(アクア・プロテクシオン)」
と呪文を唱えると、俺達の周りを囲うように水の壁ができた。
水の壁は俺と女性を包むように厚く作られ、男が放った火の玉と水の壁がぶつかると
<ぼこぼこぼこぼこぼこぼこ>
と激しい音がした。
火の玉に水が熱せられており、厚い水の壁が蒸気とともに少しずつ薄くなっていく。
すると、女はさらに空に文字をかいた
手のひらの上に先ほどと同じ白いモヤが集まりかなり濃くなった。
女はそれを水の壁に向けてぶつけた。
「強化付与(ゲインパッカー)」
呪文を唱えると水の壁の水量が倍以上に増えた。
それを見ると男は更に呪文を唱えた。
「炎よ、収束せよ(ヴォルセクト)」
呪文により火の玉は、更に小さく、温度が上昇した。それによりぶつかる音が更に高音になり、接触面の気泡も激しくなる。
(な、なんなんだ。これは、魔法?超能力?マジック?)
俺は今目の前で起きている現象がまだ何なのか、頭の中はパニックで何も考えられず呆気にとられていた。
そんな俺をみて、女は少し笑みを浮かべた。
「魔法を見るのは初めてかい?’今の君は’、」
「は、はい」
「そっか」
そういうと女は先程の魔法と似た呪文を唱えた。
「水球を作る魔法(アクア・ローレン)」
そう唱えると俺たちの周りの水の壁が解除され、火の玉を包み始めた。
先ほどまでよりさらに激しくなり、水の塊から水蒸気がさらに吹き上げていた。
轟音が大きくなってきたかと思うと
"ドカンっ!!!”
先ほどの魔法同士のぶつかり合いでできたものが爆発したのだ。
周囲には熱せられた水蒸気が立ち込められた。
俺は完全に男の姿を見失った。しかし、男も同様に我々の姿を見失っていた。
男はかなり焦っていた。
(くそっっ、、見失った、、あの女、魔力を周囲と同化させて気配と魔法の使用するタイミングが取れない、、先手を取らねば。)
男は再び魔力を込め新たな魔法を放とうとしたとき、、、
女は魔力を込めると、周囲の煙が晴れ、白い濃いモヤが現れた。
同時に先ほどまでとは段違いの速さで白い濃いモヤが収束すると、霧が晴れ、女の目の前に再び水が集まってその周りに白い靄が濃く、集まった。
ここまでの魔法を放つ流れのスピードはこれまでとは比べるまでもなく早かった。
「水圧を形成する魔法(アクア・プレジオン)」
女はそう唱えると
"キーーーーン”
甲高い音とともに
男の右わき腹に向けて水が噴射され、男の脇腹を貫通した。
男はわき腹を抑え吐血をした。男は額からかなりの汗をかき、先ほど俺に見せていた余裕は消えていた。
俺もあっけにとられていたが、男は俺以上に驚きと痛みで顔をにじませていた。
「凄い、、。これが魔法か。魔法の世界なんておとぎ話とか空想の話だと思っていた!!!!」
今の俺はさっきまでと違い、目の前に起きた現象に心躍らされていた。
興奮気味な俺の言葉に女性は女性は大きな声で笑った。
「わははははっ!死にかけでこんな状況なのに、そんな言葉が出てくるとはね!君、やっぱり見込みあるね。」
女は少しうれしそうにそういった。
男は我々の会話に割って入るように
「今日のこと必ず後悔するぞ、この先、さらなる地獄になるからな」
(後悔、いったい何のことだ、俺を殺すことと何がかかわっているのだろうか?)
俺は不思議に思い、男に声をかけた。
「おい、それはどうい、、」
俺の会話の途中で、男は
「転送魔法(トランス・ムートゥス)」
そういうと透明な水晶を床に叩き割った。
すると男の周りに先ほどまでと違い魔法陣が作られた。先ほどのように白いモヤは作られることはなく魔法が展開された。
俺の前にいた女性は
「しまった!!油断した、、」
女性が慌てて空に文字をかき始めようとしたが、、、
男は一瞬にして姿を消した。
女性は、
「くそっっ、、逃した、、」
顔が少しこわばったがすぐに先ほどの余裕のある顔に変わった。
「いやー危なかった、危なかった。よかったよ無事で、」
女性は俺に笑顔を向けてそういった。
俺は危機が去ったことをその顔をみて安堵したのか急に眠気と意識が飛びそうになった。
(そういえば俺、足から出血してるんだった、、、)
そんなことを思っていると女性はふと俺に向けて
「10年ぶりかな、キミが魔法をみるのは」
俺は女性が何と言っているか聞き取れなかった。
俺が振り向くと女性は少し微笑んだ。俺はその顔を見ると同時に気を失った、、、。
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