マホウの世界
九条 聡希
第1話 出会い①
「10年ぶりかな、キミが魔法をみるのは」
そう、声をかけてくる女性の声が聞こえてきた。聴き覚えのある声だが思い出せない。意識が遠くなっていく。
「よかったよ、キミが無事で。今は、それで十分さ」
その声を聞き、意識を失った。
魔法と聞いて君は何を思うだろうか、僕は縁のない世界の話だと思っていた、今日この日までは。
2024年7月11日
俺、日野一は県立の高校に通う普通の高校生だ。
定期試験もがわり、帰宅中に駅近くのショッピングセンターへやってきた。平日なのにやはりショッピングセンターの本屋でお気に入りの漫画を買いに来た。俺は早く読みたい気持ちを抑え会計を終わらせて本屋を出ると、、
バンっ!少し離れたところから爆発音が聞こえた。
「きゃー、たすけてー」、「逃げろっっ!」
爆発音が聞こえた方角から怒号と悲鳴の声と我先にと逃げる人がこちらに向かってくる。
出口には、人がかなり押し寄せ従業員が誘導を始めている。
(俺も逃げなきゃ)
そう思った時、小さな男の子が泣いているのを目にした。周りに親らしき大人はいないようだし、周りの大人はこの混乱でその子に気づいていない。俺は、その子に声をかけた。
「大丈夫かい?お母さんかお父さんは?」
「わかんない」
「さっきまでは一緒にいたの?」
と聞くと小さく頷いた。
この爆発で親を見失ってしまったようだ。
「お兄ちゃんと一緒に逃げようか」
「うん」
俺は男の子の手を取り逃げようとした矢先
ズキズキズキと激しい頭痛に襲われた。
(なんだこの頭痛は?)
そんなことを思っていると、さらに急に寒気と視線を感じた
爆発した方を見ると爆炎と煙の中から30代くらいの男がゆっくりと歩いている。
男はこちらの視線に気がついたのかこちらを向く。
その時、その男からは圧迫感と体がすくむ程の恐怖を感じた。
(やばい、逃げなきゃ)
そう思ったが足がすくんで立てなくなってしまった。男はゆっくりこちらに向かってくる。
(やばいやばいやばい)
焦りと恐怖でパニックなっていると近づいてくる女性が一人いた。
「大丈夫ですか?」
女性が声をかけてきた。その声を聞き冷静になり、状況を説明した。女性は男の子の手を取り、自分にも手を差し伸べてくれた。
その手を握り立とうとするがうまく立てない。
なにか押さえつけられている圧迫感を感じる。
(くそ、うまく立てない、なぜだっっ)
焦りが増してくる。
女性はずっと「大丈夫ですか?どこか痛みますか?」と何度も声をかけてくれている。
立ち上がれない、なんで?
と思っていると男がこちらにさらに近づいてきている。距離が近くなるにつれ、頭痛や圧迫感がより強くなる。
俺はやばいと思い、
女性に「俺はいいんで、早く逃げてください!!」
と声をかけると女性は「でも!!」と
しかし続けて「いいから早く!!」
女性は「わかりました、必ず逃げてください!」
女性と少年は俺から遠ざかるように外へと逃げていく。
それを見ながら煙が充満する中這ってゆっくりと逃げ始めた。
しかし、男の方がやはり早く俺に近づいてくる。
そしてとうとう追い詰められてしまった。
俺は振り返り男を見るとその容姿や出たちに違和感を覚えた。
男の顔には、縦に大きな傷があり片目が閉じている。さらには左腕には大きな模様と中央にローマ数字でⅩと書かれた刺青?のようなものが彫られている。
俺が男の顔や容姿を覗いていると男は左手を掲げると圧迫感がさらに強くなる。
身動きなんて取れない、
(なんだこれは?動けない、やばい、、、、)
すると男は
「まだ、魔法を感じはずれど認識はできぬか、好都合だな」
と言った。
(何を言っているんだ?魔法?)
恐怖と同時に疑問が頭の中をぐちゃぐちゃにかき回した。
男は続けて
「さて、魔法が使えない内にキミは死んでもらうよ」
そう言い、男が指で空をなぞると。瓦礫の一部が浮遊し、足めがけてまるで弾丸のように飛んできた。
足に鈍痛と生暖かい感触があり出血をしている。
「ぐうっっっっっ、、、」
初めての痛みで動揺を隠せない。
(くそっ!!なんなんだこいつは!痛い痛い痛い!くそっ)
男は続けて指で空をなぞると次に男の指の近くに再び瓦礫の石が集まり始めている。石の周りに白いモヤのようなものが集まってきている。
(なんだあれは?今まで見たことがない、さっきあいつは魔法と言ったがこの白いもやが魔法なのか?)
そう考えていると白いモヤは瓦礫の中に収束していきやがて取り込まれるように消えた。
その瞬間、男は
「射出(インバル)」
と言うと瓦礫が俺に向かってまるで弾丸のように放たれた。
今度は打つタイミングがわかった為間一発で右に倒れるように避けることができた。
男は「二度、魔法を見ただけで魔法の視覚ができるようになったか、末恐ろしい子だ。」
そう小声でいうと
「次は外さん、避ける間もなく殺す」
そういうと先程と同じように瓦礫が宙に浮き始めた。ただ違うところは、さっきは一つだったが今回は無数に浮いている。
同じように一つ一つの瓦礫に白いモヤが漂い徐々に収束し始めている。
(また、同じやつか!ただ今回は多すぎる、避けられるわけがない、、、)
俺はこの時"死"を始めて実感した。
(あぁ、ここで死ぬのか、、、
くそぅ、なんなんだ。わけがわからないまま死ぬなんて。魔法?なんだそれは、知らないことを知らないまま死ぬなんて。俺が何をしたって言うんだ!)
俺は死への恐怖からこの理不尽に怒りを覚え始めた。俺はこの男に睨みつけるような強い眼差しを向けた。
男は、ニヤッと口元に笑いを浮かべると
「連続射出(リジェ・インバル)」
魔法の呪文だろうか、そういうと一斉に瓦礫の弾丸が俺に向かって飛んできた。
「くそっ、、、!」
俺は死を覚悟したが目を背けることなく男を凝視し、死ぬというのにこの男に対する怒りでいっぱいだった。
すると
「物理防御結界(プロテクシオン)」
俺の周りにガラスのような透明な丸い結界が貼られた。
その結界は飛んできた瓦礫を全て防いだ。
俺は何が起きているかわからず呆気にとられていると後ろから女性の声が聞こえてきた。
「危ない、危ない。間一発だったよ。
まさか、こんな状況とはね。
君が殺されたら私のメンツ丸潰れだよ、、笑笑」
そう声がした。
俺は声がする方を振り向くと黒髪の長髪の女性が立っていた。
これが俺と師匠 九条凛 との出会いだった。
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