第5話 非日常
今日は珍しくあいつ等が俺の入るクラスに来なかった。
しばらく教室で待っていたが彼らが来る気配は一向にしなかった。
気づけば何時もの時間から10分が経過していた。
あいつ等が帰ったのか、はたまた俺以外のターゲットを見つけたのか知らないが少し興味が湧いてきた。
俺は校舎裏、体育館裏を見てみたがあいつ等はいなかった。
最後に屋上の階段に向かうと…
「空いてるじゃねぇか…」
屋上に続く階段の扉は開いており声が微かに聞こえる。
俺は階段を登り扉から少し除いてみると見知った顔がリンチに遭っていた。
沙良が男に囲まれてリンチに遭っていた。
本来ならありえない光景。
実力主義のこの世界で弱者が強者に刃向かう。
そんな事はあってはいけない。
しかし今回は奴らのリーダーが居る。
それ故にとてもめんどくさい。
リーダーのあいつはこの学校で戦闘面に関するランクで上位に存在するやつだ。
上位と上位がぶつかる。
それはよく聞く話だ。
しかし今回の場合はアタッカーVSヒーラーだ。
そのためいわゆる泥仕合というやつだ。
アタッカーが攻撃してヒーラーは回復をする
しかしそれを繰り返して疲れるのはヒーラーの方だ。
怪我を増やすのと治すのでは労力や体力の効率が違う。
沙良は見るからに疲弊していた。
…いつもなら見て見ぬふりをしていただろう。
しかし、俺はあいつに怪我を治してもらった借りがある。
どこかで返さないといけないと思っていたから代わりに殴られに行ってやろう。
早めに返せるものは返しておきたい。
ただ、それだけだ。
扉をゆっくり開き進んでいく。
あいつ等は扉が開いた音に反応してこちらを見たが出てきたのが俺と知ると笑っていた。
「何だよ、俺等のおもちゃくんじゃないか。」
「わざわざボコされに来てくれたのか?」
それに対して俺は
「いや、いつもの人達が来ないから何かあったのかなと思っただけだよ。
そいつは仮にもこの学校で上位に入る成績優秀者だ。
更に言えば世界記録の保持者だ。
そいつに手を出すのはやめたほうがいいんじゃないのか?
なんで急にそいつを?」
ただ単に思ったことを聞いてみた。
それに対してリーダーは
「いや、俺の女がこいつがボコされた姿が見たいって言ってきてな。
まぁ、ヒーラーならってことでボコしてんだよ。」
とのことだ。
くだらない馬鹿らしい理由だ。
そこでリーダーは嫌な笑みを浮かべた。
「なぁお前等、俺等のおもちゃくんが混ざりたいってよ!
遊んであげろよ!」
俺はとっさに左手を目の前に構えてしまった。
それが失敗だった。
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