第2話 裏の顔

 人とは隠し事を持つ生き物だと俺は考えている。

 なぜなら俺が隠し事だらけの歪な人間だからだ。



「ただいま…って誰もいないんだけどな。」


 人気のない家に入り声を掛けるも反応はない。

 それはさも当然だ。

 なぜならここに住んで過ごしているのは俺一人だからだ。

 親と呼べる人はもう返ってくることはないので何もかもを一人でこなせるように俺は努力してきた。

 いや、努力をするしか無かった、ただそれだけだ。

 自室に戻るとそこは手入れされていることが分かるぐらい綺麗なお面が飾ってあった。

 カバンから携帯を取り出し椅子に腰を掛ける。

 そして未読のメールを見る。

 学校からのお知らせや鬱陶しいぐらい繰り返し送られるスパムメールがあるだけだ。

 そこで俺はアカウントを切り替える。

「Unknown」

 そのアカウントのアイコンは見慣れたお面がアイコンとなっておりとてつもない怪しさを放っている。

 そしてアカウントが切り替わると同時に俺も気持ちを切り替える。


 溜まっているメールを確認する。

 先程まで目に写っていたくだらないメールではない。

 表で見るような小物の注文から倫理的に危ない依頼までの多種多様な依頼が入っている。

 取り敢えず確認は終わったので携帯に充電器を差して充電をする。

 そして机の上のパソコンとモニターに電源をいれる。

 それと同時にお面をつける。

 ここからは弱者の垣村 結人ではない。

 裏の世界で生きる狂人だ。


 依頼をさばいていくときはパソコンのほうが効率がいいからだ。


 パスワードを打ち込み再びメールボックスを開く。

 簡単にさばける依頼は一般の業者や知り合いの小売店に注文をしておく。

 ここから面倒臭いのが倫理的に危ない依頼だ。

 ここらへんの商品は実物がまだあるかが分からない為いちいち確認をしないといけない。

 これが薬物や人身売買ならまだ楽だ。

 最も面倒臭いのは情報に関係する依頼だ。

 なぜならその狙われている会社からも依頼を受けている場合があるからだ。

 情報漏洩を防ぐ。

 フェイクを流す。

 といった依頼を受けている。

 取り敢えず依頼を受けた会社の報酬と狙われている会社から貰っている報酬金を比べてみる。

 狙われている会社からは定期的な資金をもらっているので継続的な関係と売上を比べる。

 今回は元の会社のほうが高く払ってくれているからお断りのメールを依頼してきたメールアドレスに送る。

 この作業は今までの契約した契約書を探して継続的な面で見ないといけないから面倒臭いのである。

 取り敢えず単純作業に近いので少し集中して作業に移る。


 ある程度をさばき終わった。

 時計を見るとすでに11時を過ぎていた。

 日に日に数が増えていっているから数を減らさないといけないな。


 そこでメールボックスを見るとメールが届いてた。

 どうやらもう一つのアカウントのメールボックスに届いているみたいだ。

 アカウントを切り替えてみると新着メッセージが1件だけ来ていた。


「学園都市のご案内」


 これは……

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