狂人は、歪な笑みを浮かべ進んでいく
テラル
第1話 実力主義の底辺
この世界は異能力者が生きてる実力主義の世界だ。
実力があれば何をしてもいいといった考えが蔓延っておりそれは共通認識だった。
だから、俺みたいな実力の無いものは好き勝手される。
俺は校舎裏でリンチされていた。
「…………」
「チッ。何も反応がないと詰まんねぇな。
テメェ等、帰るぞ。」
男達はつまらなさそうに帰っていっていた。
男達の気配がなくなって声をかけられる。
「またこっぴどくやられましたね。」
そこには見慣れた顔があった。
「
彼女はこの学園で成績上位者と呼ばれており世界記録を持っている有名人だ。
いわゆる優秀な人間、いや天才と呼ばれる部類の人間だ。
俺みたいな無能と関わるような人間ではないことは確かだ。
なぜかわからないが彼女は俺に対してよく声をかけてくれる。
性格がいいのだろう。
しかし俺はいつも通り雑に返す。
「煩いなぁ、どうせすぐ治るんだから気にすんなよ。ってか、成績上位の沙良さんは何故ここに?」
「まぁ、いつも通りただの観察ですよ、
「観察ね〜、まぁ趣味が悪いことで。
取り敢えず俺は飯を食いに行きたいから放っておいてもらえるか?」
「はぁ、この有名人の私が声を掛けてあげてるのにそんな態度取れるのはあなたぐらいよ。」
彼女は軽く指を鳴らす。
それと同時に俺の傷は癒えていく。
「金にもならねぇことをよくできるな。」
「本来ならお金を取るのですけどね。」
「俺は意地でも払わねぇからな。
だって俺が頼んだわけじゃないしよ。
お前が勝手にやってるだけだからな」
そうだ、彼女の回復の技にはとてつもない金がかかる。
それぐらい効果はすごくそれを求めている人は多いのだから。
それを俺みたいな底辺がタダで受けてるなんてことが知られれば俺は下手したら殺されるだろう。
それぐらい危ないことだというのにこいつは。
「っしょ、俺は帰るけどお前さんは?」
「私はまだ勉強をしてからですかね。」
「そうか、なら危ないことに巻き込まれないように気をつけなよ。」
「そちらこそ。」
俺は近くに転がっていた汚れているカバンを背負い帰路をたどるのだった。
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