第7話 ダビデ王朝の滅亡と捕囚

 紀元前八世紀、まず北イスラエル王国は時のオリエントの覇者アッシリア王国 (注51)に滅ぼされ、王族や官僚はアッシリアの捕囚の民として連行された。一般のイスラエルの民の一部は世界中に離散し、北イスラエルの領土にはアッシリア人が植民したので、特に首都があったサマリヤ地方は混血が進み、異教がなだれ込んできた。幸いガリラヤ地方は田舎だったのでアッシリア人の流入は限定的だった。


 ダビデ王朝の弱体化を機に近隣のエドム人、アモン人、モアブ人はダビデ王朝から独立し、敵対関係が復活した。


 この頃からイスラエル民族の中から預言者が多数現れ、その預言者たちによりイスラエル国家の滅亡とその後のダビデの子孫からのメシヤの誕生、メシヤによる国家のイスラエル復活、世界平和の実現などが告げられた。


 紀元前六世紀、南ユダ王国は時のオリエントの覇者新バビロニア王国のネブガドネザル王に滅ぼされ、王族や官僚は新バビロニア王国の捕囚の民として連行された。

首都エルサレムは瓦礫の山となり、神殿も破壊された。


 新バビロニア王国の攻撃から逃れるために一部のイスラエル民族はエドム人の地に逃避したがエドム人はその民を惨殺し、エドム人はチャンスとばかりに南ユダ王国に攻め上った。しかし、神はエドム人を断罪し、新バビロニア王国にエドム人の地を占領させた。


 自分の国を失い全世界に散らされたイスラエル民族は各々の土地の言葉を喋ることになったが、オリエントの公用語はアラム語だったので、オリエントに残ったイスラエル民族はアラム語を喋ることが主流となった。アラム語とヘブライ語は似ていた。


 神殿を失ったイスラエル民族はシナゴーグという集会所を各地で造り、各々の地方で信仰を守った。



(注51)アッシリア 紀元前一〇世紀から紀元前七世紀に新バビロニア帝国に滅ぼされるまでのオリエントの覇者、新アッシリア帝国のこと。


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