第20話 シャノン、お化けに会う

 私、イナミ

勇者パーティーを追放されたので、同じ魔法少女のシャノンと一緒に掲示板から依頼を見つけ、こなして報酬金を貰ってを繰り返して生きている。


 今日はどんな依頼が待っているだろう?


「シャノン、どの依頼にする?」


「えっと。これ!」


 シャノンはある依頼を見つけた。

その依頼は。


「お化け!?」


 夜な夜なお化けみたいなのが外でうろつくから見てほしいといった依頼だった。

お化けが来るとは予想していなかった。


「行ってみよっか」


「うんっ!」


 怖いかもしれないが、気にもなるので依頼の紙を剥がして依頼主の元へシャノンと共に足を運ぶ。


「いますか?」


 私は依頼主がいる建物のドアをノックする。


「はい。いますよ。どうぞお入りください」


 依頼主はドアを開けてくれて私とシャノンを中に招き入れてくれた。


「それで…お化け、ですと?」


 私は依頼の紙に書いてあったお化けについて依頼主に聞いてみる。


「はい…毎晩毎晩、私の家の前でうろついているみたいで…しかも近所の方はお化けを見たって言ってて…」


「なるほど…」


 どうやらお化けが依頼主の家の前で毎晩うろついているらしい。

お化け自体、本当にいるのか?と疑いたくなるが、近所の方の話によるといるみたいなのでお化けは、本当にいるのだろう。


「分かりました。私、お化けに会ってなんとか言ってみます!」


 お化けも話せば分かる可能性があるので私が直接会って話を聞いてみよう。


「ありがとうございます!では、お願いします」


 依頼主は安心した様な表情を見せてくれた。


 その日の夜。


「さぁ、後は待つだけ」


 私は依頼主の家の前でお化けが現れるのを待った。


 シャノンは依頼主の家で寝ている。


「いつ来るだろう?」


 お化けが現れるまで私は待っている。


 するとそこに。


「あれ?」


 何かの足音がそっと聞こえてくる。


「だ、誰?」


 足音はどんどん大きくなってくる。


「どこ!?」


 私の耳元へ足音は向かっていき。


 そして


「イ〜ナ〜ミ〜」


 話しかけられた。

しかも私の名前で。


「出たぁぁぁぁぁ!?」


 唐突に話しかけられたので振り向いたがそこにいたのは。


「あれ?クノア?」


 クノアだった。


「うん。イナミ〜驚いたぁ?」


 普通に驚いた。


「うん。驚いたよ」


「成功〜」


 私が驚いたことに対してクノアは喜んでいる。

相変わらずクノアは、何を考えているのかが分からない。


「で、何してたの?ここで」


 私はクノアがここで何をしているのかを聞いてみる。


「え?夜の冒険」


「何それ?」


 夜の冒険ってどんな冒険?


「そう。楽しくてたまらない夜の冒険。夜の冒険は夜を味わい、自らが夜を体験できる夜による夜の為の…」


「うん!分かったから!」


 クノアの説明は意味が全く分からないが、これ以上聞かされても私は何も分からないままだと思ったので、適当に分かったフリをして返事した。


「じゃあね」


 クノアはどこかに行った。

一体なんだったのだろうか?


「気を取り直そっと…」


 待とうとしていたらここで。


「あの…」


 誰かに話しかけられた。


「どうかした?」


 振り向くとそこには。


「一緒に遊ぼ…」


 透けている人がいた。


「え?」


「遊ぼ…」


 お化けだ。

絶対お化けだ。


「で…で…出たぁぁぁぁ!」


 まさかのここで現れたので私は驚いてしまった。


「イナミお姉ちゃんどうしたの!?」


 気になったからかシャノンが出てきた。


「シャ、シャノン!お化けが…」


「うーん…」


 シャノンはお化けを見ながら私の方を向いた。


「シャノン、怖くないや」


 シャノンはお化けを怖がらなかった。


「ま、まぁ確かに」


 実際見てみると怖くはない。

寧ろ可愛い見た目をしている。


「ご…ごめん」


 お化けは申し訳ないと思ったからか謝ってきた。


「私の方こそ…驚いたりしてごめん」


 話が通じそうなのと私自身、驚いてしまったことに申し訳ない気がしてしまったので謝った。


「毎晩うろついているっていうのは…本当?」


 私は依頼の本題に入ろうとお化けに本当に毎晩うろついているのかどうかを聞いてみる。


「…うん」


 お化けは頷いた。

どうやら本当みたいだ。


「どうして?私、何もしないし怒ったりしないから言ってみて」


 理由が気になった私はお化けに理由を聞いてみた。


「…寂しかったから」


 お化けは素直に自分の気持ちを打ち明けてくれた。

どうやら寂しかったからとのこと。


「そっか…寂しかったんだ…」


 私も寂しかった経験はあるのでお化けが寂しがる気持ちに同情した。


「シャノン、このお化け助けたい」


 シャノンはお化けを助けたがる。


 このお化けは話が通じるし、寂しそうなので私も助けてあげたい。


「分かったよ。何かやってほしいこととかある?私たちにできることだったらやってみるよ」


 私はお化けに何をしてほしいのかを聞いてみる。

そうでないと私もどうしていいかが分からないからだ。


「…遊んでほしい」


 どうやらお化けは私たちと遊びたいらしい。


「いいよ!」


「シャノン、遊ぶ!」


 私は遊ぶぐらいならしてあげられるしお化けと遊ぶなんて今までなかったので楽しそうだ。

シャノンも一緒に遊んでくれるみたいだ。


「ちなみに何して遊ぶ?」


「じゃ、じゃあ!」


 その後、私とシャノンはお化けと一緒に楽しく遊んだ。


 そして


「シャノン、楽しい!」


 シャノンは一緒に遊ぶのを楽しんでいる。


「そうだねっ」


 私も楽しんでいる。


「ありがとう…2人とも…凄く幸せだった…」


 お化けはそう言って後ろを向いた。


「え?」


 そして気付けば。


「うぅ…あれ?」


 朝になっていた。


「あれれ?お化けは…?」


 シャノンはお化けが姿を現さないので探す。


 けれどその後、お化けは現れなかった。


 報酬金を貰い、数日後


「シャノン、今日はどんな依頼にしよっか?」


「えっとね」


 私とシャノンは今日も掲示板から依頼を探している。


 すると。


「頑張って。これからも応援しているよ」


 何処からか声が聞こえた。


「あれ?今、声しなかった?」


「うん!シャノン、何か聞こえた!」


 けれど声の主は見つからなかった。


「もしかして前会ったあのお化け…どこかで私たちを見守ってくれているのかな?」


「うん!そうかもしれないね」


 あのお化けは私たちのことをこれからも見守ってくれているかもしれない。


 シャノンと一緒に掲示板の前でお化けと遊んだあの夜のことを思い出したのだった。

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