第17話 シャノン、レースに出場する
私、イナミ
今日はレースだ。
このレースに優勝すると絵本が沢山貰えるみたいなので、絵本が大好きなシャノンの為に絶対勝とう。
「よし!」
レースに使用する乗り物に私は乗る。
すると隣にまさかの。
「イナミお姉ちゃん!」
「シャノン!?」
まさかの隣にシャノンが乗っていた。
「どうしたのさ?」
「シャノン、イナミお姉ちゃんとレースに出場したかったから…」
どうやらシャノンが隣に乗っていたのはそれが理由だったらしい。
「すみません。2人でなんですけど大丈夫ですか…?」
丁度そこに担当の人が私の乗り物を見に来たが、そのついでに2人での出場は大丈夫かどうかを聞いてみる。
「は、はい…お2人ペアといった形で…」
2人でレースに出場することになった。
「やったね!イナミお姉ちゃん」
「そ、そうだね」
許可貰ったし大丈夫ではあるだろう。
で、私はスタート地点に乗り物を動かす。
「いよいよ始まります!このレース、果たして勝者は誰になるのか?」
実況が上から聞こえてきている。
これからこのレースが始まるのだろうと今から胸が高鳴る。
「出場者はザーソー選手、ウォーターゴブリン選手、イナミ&シャノン選手になっています!」
「誰か1人忘れていない?」
「そ、その声は!?」
ここでまさかの知っている声が聞こえた。
「やぁ〜イナミ〜私も出場しちゃうよ?」
クノアが乗り物に乗って現れた。
「まぁ…どうぞ」
クノアが来たところでいよいよスタートだ。
「それでは。よーい、スタート!」
レースが始まり、乗り物が一斉に走り出した。
「イナミお姉ちゃん、いけいけ〜」
「うんっ!」
私は乗り物を走らせながらライバルたちを追っていく。
「オイラは最強だぞ!」
ザーソーが乗る乗り物はかなりの速さで進んでいく。
が。
「あ、あの芝生は!」
ザーソーはコースにある芝生に注目する。
「レースなんかどうでもいい!オイラはあの芝生を満喫してやる!」
ザーソーはコースから外れて芝生に行った。
「おぉっと!?ザーソー選手、まさかの芝生に行った!」
実況もまさかザーソーが芝生に行くなんて想像してなかっただろうから意外な反応を見せている。
で、私はそれよりもゴールに向けて乗り物を走らせる。
「俺が勝つ!」
次は目の前にいるウォーターゴブリンだ。
ウォーターゴブリンは見るからに派手で速そうな乗り物に乗っている。
「速い!このままじゃ…」
が、またここで。
「あ、あの池は!?」
ウォーターゴブリンは遠くから見える池を見つけた。
「こうしちゃいられるか!俺が泳ぐ!」
ウォーターゴブリンは乗り物から降りて泳ぎに行った。
うん。
意味が分からない。
「おぉっと!また選手が行ってしまった!このレース…一体どうなる!?」
後はクノアだけ。
クノアは真っ黒な乗り物に乗っている。
黒い魔法少女だからか?
「イナミ〜勝っちゃうよ?」
クノアは余裕の表情を見せている。
「クノア!」
私は乗り物を走らせてクノアを追いかける。
「私の勝ちだ〜」
クノアの乗り物はもうすぐゴールへと近づいている。
このままではまずい。
何か?
何かないか?
するとそこで。
「イナミお姉ちゃん!頑張って!」
隣でシャノンが応援してくれた。
「シャノン…」
シャノンに応援されたことで私はなんだか元気になってきた。
そうだ。
私は今までもシャノンと共に依頼をこなしたり戦ってきたりしていた。
シャノンの応援はきっと私の力になるはずだ。
「行ける…私は…行ける!」
シャノンの応援の力とそれに応えたい気持ちが重なり合い、乗っている乗り物が反応し。
「は、速い!」
速くなった。
シャノンの応援が私の気持ちに響き、乗り物がそれに答えてくれた。
「何!?」
クノアもこれには驚いてしまっている。
私とシャノンの絆の力にきっと驚いてしまったのだろう。
さぁ、ゴールを目指そう。
もうすぐでゴールだ。
今の勢いを保てば行けそうだ。
「何やらイナミ選手とシャノン選手が乗っている乗り物が速くなった!」
実況は盛り上がる。
耳元でその実況は私にも聞こえてくるので同じく気持ちが盛り上がる。
「イナミ〜私の速さはもっとあるよ!」
クノアの乗っている乗り物も速くなる。
クノアも勝ちたい気持ちは私とシャノンと同じぐらいありそうだ。
こちらも速くなり、良いレースになっている。
もうすぐゴールだ。
「クノア!」
「イナミ〜!」
ゴールまで後ちょっとだ。
「さぁ、いよいよゴールまでもうすぐ!このレース、一体どうなる!?」
実況が聞こえる。
「イナミお姉ちゃーん!」
シャノンの応援が隣から聞こえる。
絶対に私が速くゴールする気持ちで乗り物は加速し。
そして。
「今、ゴール!」
私の乗り物はゴールに近づき。
「ゴール!…あれ?」
気付けばベッドの上にいた。
「あれ?レースは?」
何故だ?
レースは?
何故、ベッドの上にいる?
乗り物に乗っていたはずなのに。
「イナミお姉ちゃん、おはよう。どうかしたの?なんだか楽しそうに寝ていたけど…楽しい夢でも見てた?」
隣にはシャノンがいた。
「…夢か」
どうやらレースは夢だったみたいだ。
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