第15話 シャノン、橋を直す

 私、イナミ

勇者パーティーを追放されて居場所がなくなったから、このシャノンと一緒に街の掲示板に貼ってある依頼の紙から依頼をこなしながら生活している。


 今日はどんな依頼が待っているのだろう?


「今日の依頼は…」


 今日も依頼の紙が沢山貼られている。


 その中で1つ、気になる依頼の紙が貼られているのを見つけた。


「壊れた橋を直してください…だって」


 橋が壊れてしまっては街の皆が困ってしまうのでこれは気になってしまった。


「シャノン、直してあげたい!」


 隣で見ていたシャノンは善意で直してあげたくなったからなのか私の見ている依頼の紙を隣から注目していた。


「じゃあ…今日はこの依頼にしよっか」


「うんっ!」


 私はその依頼の紙を剥がして現地に向かった。


「すみません。いますか?」


 依頼主がいる家のドアをノックする。


「あぁ…いるよ」


 依頼主が家から出てきてくれてドアを開けてくれた。


「お邪魔します」


「まぁ座れ」


 依頼主が用意してくれた椅子に私とシャノンは座る。


「わざわざ来てくれて悪いね…」


「いえ、橋を直してあげたいので」


 依頼主は暗そうだ。


「何者かが橋を壊してしまってね…そのせいで皆が困ってしまっているんだ…けれど私1人じゃどうもね…だから直してほしくて頼んだんだ…」


どうやら誰かが壊してしまったことが原因で橋を直してほしいみたいだ。


「お任せください!私、頑張りますので!」


「シャノンも!任せて!」


 私とシャノンは自信を持った。

報酬金の為ではあるけれど、今の依頼主に元気になってほしいからだ。


「頼りになるね…ありがとう。依頼金も払うからね。じゃあお願いするよ」


「分かりました。じゃあシャノン、行こっか」


「うんっ!」


 私とシャノンはそこから外に出てその壊れた橋の場所まで移動した。


「うわぁ…大分壊されちゃってるね…」


 橋を見ると大分壊されてしまっていた。


 これは直さなくてはいけないだろう。


「それじゃあ直そっか。私、向こうから材料取ってくるね」


「うんっ!」


 そうして私とシャノンの橋を直す作業が始まった。


 私もシャノンも橋を直したい気持ちは同じだったので着々と橋は直っていった。


「今日はここまでにしよう」


 段々と夜が近づいてきてしまっているのとシャノンも疲れてきているだろうから今日はここまでとシャノンに提案した。


「うんっ!また明日ね」


 そうして私とシャノンは宿に戻り休んだ。


 そして次の日

私とシャノンは橋の場所まで向かった。


 が。


「何これ…」


 橋はまた壊されてしまっていた。


「酷い!」


 シャノンは怒っている。

せっかく直していたのにこうなってしまっては怒るのは当たり前だろう。


「だよね。これはないよ…」


 直している次の日にこうなっているのだ。

また壊されてしまう可能性は高い。


「今日さ。ちょっとだけ直して隠れて見張らない?」


 橋をちょっとだけ直して、壊しに来る様子を見張る作戦を立てた。

これから誰が壊したかが分かるかもしれないからだ。


「分かった!じゃあシャノン、ちょっとだけ橋直すね」


 で、私とシャノンは完全にではなくちょっとだけ直して木の後ろに隠れた。

後は誰かが来るまでを待つだけだ。


 そうして待っていると。


「あれ?作りかけだな。まぁいっか」


 明らかにモンスターみたいなのが現れた。

そのモンスターみたいなのはハンマーらしき武器を持ち、橋を壊そうとした。


「見つけたよ!」


 そうして私とシャノンがその目の前に現れる。


「げっ…見つかっちまった…」


 向こうは焦っている。


「何しようとしていたのさ?」


「決まってんだろ?この橋、壊してやるんだよ!」


 どうやら橋を壊すのが目的らしい。


「どうしてそんなことするの?橋を使いたい皆が困ってるよ」


 橋を壊す理由を聞く。

壊すには何かしらの理由があるのだろう。


「決まってんだろ?橋を渡りたいのに壊されてる…あの人間の絶望顔がたまらねぇんだよ」


 ただの悪い敵だった。


「俺様はハシコワスン、橋を壊す最強のモンスターだ!」


 名前からして橋を壊すのが好きそうなモンスターだ。

でも、このままではいつまで経っても橋が壊され続けるので倒すしかない。


「シャノン、いくよ」


「うん!」


 私とシャノンはマジックステッキを持ち、こう言い放つ。


「マジックアンドチェンジ!」


 そして私とシャノンは変身した。


「変身した…魔法少女か?俺様の相手ではないっ!このハンマーを…くらえ!」


 ハシコワスンはハンマーを振り。私たちを攻撃しようとしてきた。


 が。


「はっ!」


 私はマジックステッキでそのハンマーを抑えた。


「何!?」


「マジックステッキ…意外と重たいハンマーとかぐらいなら抑えられちゃうんだよね…」


 この世界ではあまり知られていないのだが、マジックステッキはハンマーだったり岩だったりと多少程度なら抑えられる作りになっている。


「飛んでって!」


 そうしてそのまま私はマジックステッキを振り、ハンマーごとハシコワスンを奥へ投げ込む。


「ぐわぁぁぁっ!」


 ハシコワスンは川に飛ばされた。


「このっ!」


 陸に上がってきたハシコワスンはまたハンマーを持ち構えた。


「イナミお姉ちゃん!シャノン、魔法使う!」


 そうしてシャノンが飛び上がり。


「くらえー!」


 シャノンはマジックステッキから雷魔法を放った。


「ぐわああぁぁぁっ!」


 ハシコワスンは雷魔法の影響でその場で倒れた。


 今だ。


「シャノン、せーの!」


「せーの!」


 そうして私とシャノンと2人でハシコワスンに向けてビームを放った。


「橋は…橋だぁぁぁっ!」


 ハシコワスンを倒せれた。


「やったね!イナミお姉ちゃんっ」


 シャノンが私に抱きついてくる。


「そうだね…やったね」


 そうして私とシャノンは橋を直して依頼金を貰い、皆が橋を渡れる様になったのだった。

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