第14話 シャノン、歌を歌う

 私、イナミ

今日も掲示板から依頼を探している。


 今日は一体どんな依頼が待っているだろう?


「増えてるね」


 依頼は毎日貼られているが今日は依頼が沢山貼られている。

この掲示板はそれぐらい信頼されているからだろうか?


「イナミお姉ちゃんどれにする?」


「待っててね」


 増えているのもあるからかどれを選べば良いか迷ってしまう。


「これにしよっと」


 でも、私は決めた。


「何それ?」


「大きな会場で歌を歌うんだって。2人でだから私とシャノンと一緒に歌うよ」


「歌って何?」


 シャノンは歌を知らなかった。


「歌ってのはね?こんな感じで…」


 私は知っている歌を歌ってみた。


「歌!シャノンもやってみたい!」


 シャノンは歌に興味を持ってくれた。


「じゃあ、やってみよっか」


 私は掲示板から紙を剥がしてシャノンと一緒に依頼主の元まで足を運んだ。


「すみません。いますか?」


 依頼主がいると記載されている建物の場所まで来たので、その建物のドアをノックして依頼主がいるかどうかを確認する。


「はい」


 依頼主らしき人物が現れた。


「私、掲示板の紙を見て来ました」


「ありがとうございます。こちらへどうぞ」


 何をしに来たのかを話したら依頼主は建物の中に招き入れてくれた。


「助かりました。空いている枠がまだあったのでどうしよう迷い、あの掲示板に頼りました」


 どうやら掲示板に頼った理由は空いている枠が理由だったらしい。

誰かに出てほしかったところで私が依頼を見つけたといったところだろう。


「シャノンも出るよ!」


 シャノンはやる気に満ちている。


「可愛らしいですね。ありがとうございます。この建物に練習部屋がありますのでもし良かったら使ってください」


「ありがとうございます。シャノンには私が歌を教えます」


 シャノンはまだ歌をよく分かっていないので歌を教えるところから始めようと思っている。


 で、練習が始まった。


「シャノン、私の真似をしてみてね」


「うんっ!」


 私が最初に歌を歌い、それをシャノンに真似してもらうところから始める。

聞いて真似して身につけるのは私も歌を歌う際にはよくしている。


 で、歌ってみて。


「はい。シャノン」


 シャノンが私の真似をして歌ってみる。


 で。


「どうだった?イナミお姉ちゃん…」


 シャノンは私に感想を聞いてくる。


「えっとね…」


 とにかく上手い。

歌声が綺麗で聞くだけで耳が癒される。


「凄い上手だよ!シャノン、歌の天才なんじゃないかな?」


 シャノンは歌の天才だと思った私は拍手をしながらシャノンを褒めた。


「ありがとう〜。シャノン、頑張る!」


 練習すればもっと伸びるかもしれないし、シャノンは今、やる気に満ちているのでこれは私も練習頑張れそうだ。


 そして私とシャノンの練習の日々が始まった。


 シャノンは歌詞を覚えるのが早く、歌もすぐに歌えれる様になったので一緒に練習している私自身も楽しく練習に励めれた。


 そして本番当日


「イナミお姉ちゃん、歌えそう?」


 シャノンは私が歌えるかどうかを聞いてきた。


「うんっ!歌えるよ」


 シャノンが隣にいてくれているので歌えそうだ。

今日まで頑張ったこの成果、会場に来ている皆に見せてあげたい。


「始まるよ!」


 そうしてカーテンが上がる。


 が、ここでまさかの。


「すー…すー…」


 観客は全員寝てしまっていた。


「いや、全員寝てる!?」


 1人や2人が寝ているならまだ分かるが、全員寝ているのは予想ができなかった。


 一体何が起きてしまっているのだろうか?


「へへっ。作戦大成功」


 1番端の方に何かがいる。

モンスターに違いない。


「何してるのさ!」


 見つけた私はそのモンスターに注意する。


「見つかっちまった!?」


 モンスターは焦りながら杖みたいな道具を手に持つ。


「誰?何しに来たのさ?」


 まずこのモンスターは誰かのかと何かしら目的があってここにいるはずなのでそれを聞く。


「オイラはネムラセルン。人の寝顔を見るのが大好きなのさ。だから沢山人が来ているここで大勢眠らせてやったんだ」


 モンスターは名をネムラセルンと名乗った。

どうやら人の寝顔が見るのが大好きらしく、人が沢山いるこの会場で大勢の人を眠らせたのだろう。


 しかし、私とシャノンは皆に歌を聞いてもらいたいので、そんなことをされてしまうのは困る。


 なので、今から説得を試みる。


「お願い。起こしてあげて。私たち、ここにいる皆に歌を聞いてほしいからさ」


 さぁ、ネムラセルンはどう答える?


「嫌だね。オイラは寝顔が見たいんだからそれは無理な願いさ」


 話が通じないので変身して倒すしかない。


「シャノン、いくよ」


「うんっ!」


 私とシャノンはマジックステッキを出す。

いつもこれを使って変身している。


「マジックアンドチェンジ!」


 私とシャノンはそのまま変身した。


「魔法少女か?オイラが勝ってやる!」


 ネムラセルンは自信満々だ。

けれど私たちはせっかく頑張って練習したので、皆に歌を聞いてほしいからネムラセルンを倒すしかない。


「くらえっ!」


 ネムラセルンは杖からビームみたいなのを放った。

恐らくこれに当たれば眠ってしまうのだろう。


 なので。


「はっ!」


 私とシャノンは避けた。


「何!?」


 ネムラセルンは何度もそのビームみたいなのを放ち続けるが、私とシャノンは避ける


 そして。


「イナミお姉ちゃん!」


「いいよ!」


 シャノンはせーのからのビームが使いたいのだろう。

狙うなら今が良さげだし、使うとしようか。


「せーの!」


 2人でネムラセルンにマジックステッキを向けて。


「ビーム!」


 ビームを放った。


「ギャァァァァア」


 無事にネムラセルンを倒せた。


「イナミお姉ちゃん!倒したね!」


「うんっ」


 すると。


「あれ?寝てた?」


 寝ていた観客の人々が起きる。


 そして私たちは変身を解除する。


「じゃあシャノン、歌うよ」


「うんっ!」


 そうして私とシャノンは歌った。


 歌の評価は良く、練習した日々も含めて、私とシャノンの思い出に残る依頼になった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る