第4話 シャノン、戦う

 シャノンは変身し、マジックステッキをモンスターの方に向けた。


「シャノン、ここにいる皆を守るよ」


 自信があるからなのかシャノンは前に出た。


 モンスターの名はサンダースパイダー

雷属性を持つクモのモンスターだ。


 勇者パーティーにいた頃、全員で倒すのにかなり苦戦した記憶がある。


 ただでさえ図体が大きいので幾ら変身したとしてシャノンに倒せるかどうかが心配だ。


「シャノン!私も行くよ!」


 じっと見ているだけじゃいられなかった私はマジックステッキを手に持つ。


 そして


「マジックアンドチェンジ!」


 私も変身した。


「イナミお姉ちゃん…」


「一緒に戦おう」


 私とシャノン2人で合わせてジャンプして飛んだ。


 サンダースパイダーは糸形の雷を放ってくるので避けながらの戦いになる。


「シャノン!雷に当たらない様に気を付けて!」


 シャノンはそれを知らないと思うので戦いながらではあるが、私から話しておく。


「分かったよ!」


 シャノンは素直に聞いてくれた。


「来るよ!」


 サンダースパイダーが雷を放ちそうになった瞬間、私はシャノンに声をかける。


「うんっ!」


 雷が放たれた瞬間、シャノンは避ける。


「上手いよ!」


 私の言う通りにシャノンは避けたので褒めてあげる。


「ありがとうっ」


 シャノンは、はにかんだ笑顔を見せて私に礼を言う。


「そろそろこっちも…」


 サンダースパイダーは何度か雷を放ってくるが、そろそろ隙を見せてくれるはずなのでそれに合わせての攻撃を狙う。


「シャノン!私がせーのって言ったら強そうな技出すそう?」


 シャノンがマジックステッキから放てる魔法がどんなのかを分かっているかは知らない。

けれど分かっていれば合わせて攻撃ができるので聞いてみる。


「きっと…できる!」


 シャノンは自身ありげに答えてくれた。

それなら一緒に合わせての攻撃をやってみよう。


「よし…」


 サンダースパイダーの攻撃の隙を狙う。


 そして


「いくよ!せーの」


 私が合図をかければシャノンはマジックステッキをサンダースパイダーに向ける。

そして私も向ける。


「とりゃー!」


 私は水魔法をサンダースパイダーに放った。

シャノンも奇跡的に私と同じ水魔法をサンダースパイダーに放った。


「おぉ偶然!?」


 同じ魔法を使ってくるとは思わなかったので私は驚いてしまった。


「だねっ」


 サンダースパイダーは今の魔法で怯み始める。


「ビーム、使える?」


 マジックステッキから放てるビーム、シャノンに使えるかどうかを聞く。

ビームを2人で放てばサンダースパイダーを倒せれるかもしれない。


「うん…いけるよ!」


 シャノンは元気そうに返事した。


「じゃあ…使おう!」


 私はサンダースパイダーにマジックステッキを向け、ビームを放とうとする。


 シャノンも私の隣でマジックステッキからビームを放とうとする。


「次もせーのが良い!」


 シャノンはせーのから放つのが好きらしい。

分かりやすいし私もそれに賛成だ。


「分かったよ」


 私は頷く。


 そして


「せーの!」


 私とシャノンは2人でサンダースパイダーにビームを放つ。


「ギャァァァア!」


 サンダースパイダーはビームにより倒された。


「やった…倒したよイナミお姉ちゃんっ!」


 シャノンは喜んでいる。


「本当だね…2人で倒したね…」


 まさか勇者パーティー皆で戦って苦戦したサンダースパイダーを2人で倒せれたので私は喜ぶだけではなく、驚いてしまった。


「サンダースパイダーが倒されたのか!?」


「あそこにいる2人が倒してくれたみたいだぞ」


 街中の人々が私とシャノンに注目する。


「シャノン、よく頑張ったね。皆、シャノンに注目してくれているよ」


 シャノンが一緒に戦ってくれたお陰でサンダースパイダーを倒すことができた。

なので、私はシャノンを褒めてあげた。


 何故、シャノンはマジックステッキの使い方が分かったのか?

何故、戦えたのか?とシャノンに聞きたいことは沢山あるけれど、まずはシャノンを褒めてあげよう。

シャノンはサンダースパイダーを倒せすことができて嬉しいはずだから。


「イナミお姉ちゃんも頑張ってたよ。私、ちゃんと分かる」


 イナミから頑張ってたと褒めてもらう。

そう言われたのはいつ振りだろうか?


「嬉しい。ありがとう」


「イナミお姉ちゃん大好き!」


 まさかのシャノンが私に抱きついてきた。


「ちょっと。まぁ…いっか」


 シャノンに抱きつかれるとなんだか落ち着いてくる。


「2人ともありがとう。まさか魔法少女がこんなに強かったなんて思ってなかったよ」


 街の人たちが私たちにお礼を言ってくる。


「いえいえ。私はただこの街と皆さんを助けたかっただけですので」


「そうか…サンダースパイダーが暴れていたら今頃この街はどうなっていたか…本当に感謝する」


「2人ともありがとう!」


 街の人々は私たちに拍手をする。


「わぁ…凄い」


「イナミお姉ちゃん、やったね!」


 シャノンが私に向けて微笑む。


「そうだね」


 勇者パーティーにいた頃から色々な戦いをしてきたが、ここまでの達成感を味わったのは今日が初めてだったかもしれない。

と、シャノンに抱きつかれながら思った。

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